AIとは?意外と知らないAIの基礎知識を解説!活用方法も紹介
公開:2024年05月15日
AIは「人工知能」の略称で、端的に表すとコンピューターが自分で学ぶ技術のことです。近年の社会に浸透しつつある技術ではありますが、実際に「AIとは?」と疑問を抱えている方もいることでしょう。
本コラムでは、AIの技術がどのようなものなのかを具体的に解説します。あわせて、効果や課題についても紹介します。AIを正しく理解するきっかけとしてください。
【目次】
- AIとは?AIの基本を解説
- AIの学習方法「機械学習」と「深層学習」とは?
- AIの得意分野・苦手分野
- AIの効果・課題
- AIの普及が国内で進まない理由
- AIの導入が実現したサービス・事例
- AIが抱える問題と未来
- まとめ:AIを導入して企業成長を促進しよう
AIとは?AIの基本を解説
AIとは、「人工知能(Artificial Intelligence)」のことで、英語の頭文字をとり「AI」と略されています。
AIの定義は、「大量の知識データに対して高度な推論を的確に行うことを目指したもの」とされています(※)。つまり、人間が脳内で行うような思考、認識、計算などをコンピューターで実現する技術ともいえるでしょう。
AIを適切に活用すれば、企業の成長が促進されたり、社会生活が豊かになったりなど多くの効果が期待できます。計算機の演算処理能力向上や、ICT化による膨大なデータの蓄積によって、AIは日進月歩の勢いで進化しています。
近い未来、より身近な存在となるであろう技術こそ「AI」であり、私たちは知見を深めていく必要があります。
AIの定義
AIは世界中で研究されている大きなテーマである一方で、その定義は研究者によって異なります。
AIの定義が曖昧である理由は、研究者であっても「知識」や「知性」に関する明確な定義付けがないためです。AI研究は、基礎分野や応用分野などの領域が幅広く展開されており、そのすべてを包括し定義することは至難の業です。
このような背景もあり、AIの定義は曖昧なものとなっています。
AIは万能な技術であるように思えます。例えば、「AIはあらゆる問題に対応できる」「人間を超越している」といった認識もあります。しかし、AIは人間の認識能力や感情、常識などのすべてを理解できているわけではないため、万能という認識には相違があるでしょう。ただ一方で、特定領域では人間以上の知能があることから、AIは世界中に浸透しています。
AIの歴史
AIの歴史はIT技術の進歩とともに深まってきており、1950~1960年ごろから、その歴史が始まったとされています。
AIの第一次ブームは1950年代後半~1960年代に起こりました。
AIの開発や研究が活性化され、コンピューターによる「推論」「探索」が可能となりました。つまり、コンピューターが迷路の解き方を示したり、定理を証明したりすることができるようになったのです。
しかし、当時のAI研究はまだまだ発展途上であり、様々な要素や条件が絡み合うと解決できない点が課題でした。
1980~1990年代には、AIの第二次ブームが訪れました。特定分野の知識・情報を与えることで、コンピューターが専門家のように推論を展開するAIが登場し、実用化が可能な水準に達しました。
しかし、当時のコンピューターはまだ自ら必要な情報を収集・蓄積することができませんでした。そのため、人間がコンピューターに理解できる情報を与える必要がありました。
コンピューターが理解できる情報を大量に用意することは難しく、まだまだ精度を高めるためのデータが不足していたこともあり、例外が発生すると対応し切れない問題がありました。
AIの第三次ブームとされるのが、現代(2000年代~)です。特に、AI自らが大量のデータから規則性や知識を見つけ学習する「機械学習」が登場し、技術の発展が著しく進みました。また、「深層学習(ディープラーニング)」の実用化も、AIの発展に大きく貢献したとされます。
現在は、「生成系AI」が注目を浴びています。「生成系AI」とは、画像データを生み出したり、文章の生成ができたりするAIのことです。倫理的な問題や法的リスクがあるものの、さまざまな分野での活用が期待されています。
AIの学習方法「機械学習」と「深層学習」とは?
AIについて調べると、機械学習(machine learning)や深層学習(deep learning)といった言葉も並んで登場するでしょう。機械学習や深層学習は、AIの学習方法を指します。
AIの学習方法の特徴を、以下にまとめます。
機械学習 |
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深層学習 |
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深層学習は機械学習の一部分ですが、より複雑な問題を解くことができる点が違いです。また、深層学習であればAIが学習するために必要な「特徴量(データの特性を表す変数)」を自動的に学習しますが、機械学習は特徴量の選択や設定に人間が介入することが多いという違いがあります。
AIの得意分野・苦手分野
AIにも得意分野と苦手分野があります。ここではAIの得意分野・苦手分野をご紹介します。
得意分野
AIの得意分野は以下の通りです。
①画像認識 |
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②音声認識 |
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③文章の画像認識 |
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AIが得意としているのは、規則性があるデータの学習や分析・処理・識別などです。そのため、ルールに則った単純作業や大量のデータ分析など、人間が行った場合にミスを起こす可能性のあるものや時間のかかるものに関しては、AIを活用することで効率を上げられます。
苦手分野
AIの苦手分野は以下の通りです。
①クリエイティブな仕事 |
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②気持ちを汲み取ったり、空気を読んだりすること |
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AIは、データのない状態で物を生み出すことが難しいとされています。また、人間らしい「感情」や「心」といった側面においては、まだまだ研究段階です。今後の技術革新に期待が集まっています。
AIの効果・課題
AIの得意分野と苦手分野を理解したうえで、AIの導入効果・課題について紹介します。
効果
AIの効果は、労働力不足の解消やコスト削減、生産性や安全性をはじめとしたさまざまな点の向上が挙げられます。
例えば、単純作業をAIで自動化すると労働負担を軽減できるでしょう。また、AIを導入することで単純作業に人件費を割く必要がなくなるため、コストの削減も可能です。生産性が向上できるだけでなく、労働力を補える点も効果があるといえるでしょう。そのほか、高精度なデータ分析や予測などもできるため、商品やサービスの利用者などのニーズも細かく抽出可能です。
あわせて、正確性や効率面で考えれば、人が行っていた業務をAIに代替することで人的ミスの減少にもつながるでしょう。
人とAIの役割を分けることにより、多くの効果をもたらしてくれます。
課題
一方で、AIの課題には、以下のようなものが挙げられます。
- 雇用が減少する
- リスクマネジメントの難易度が上がる
- 専門的な知識を有する人材の獲得
まず、AIに作業を任せられれば、代替できる分の雇用が失われる状況が懸念されます。不安を引き起こす可能性があり、適切な対応とコミュニケーションが求められるでしょう。しかし、「適材適所」への人員配置が可能となるため、労働力不足が叫ばれている現状においてはメリットともいえます。
次に、リスクマネジメントの観点では、AIの不具合による情報漏洩や関連業務の停止といったトラブルが発生する可能性があります。そのため、取扱には注意が必要であり、AIの管理者やメンテナンス人員が必要となるでしょう。
ほかにも、AIの導入と運用には専門的な知識が必要です。適切なスキルを持つ人材を確保することが難しい場合もあるでしょう。
AIの普及が国内で進まない理由
国内のAI市場規模は拡大しています。しかし、その一方でAI導入に関する課題を抱えている企業が多い実情もあります。
その理由は、AI導入をリードできる人材や扱える人材が少ない点が挙げられるでしょう。AIを導入する際のプロセスでつまずいてしまうため、結果的に導入がスムーズに進みません。また、AIを導入したあとの環境面も整えていなければ、導入後の効果を十分に得られない可能性もあります。
AIを普及していくためには、まずは従業員に対してAIに関する知識を深める取組が有効です。また、AI技術を提供する企業とのパートナーシップを結ぶことで、技術的な課題を共有し、解決する方法もあるでしょう。
AIの導入が実現したサービス・事例
AIはさまざまな用途やシーンで活用されており、私たちの生活でも身近に使われています。ここでは、AIの導入が実現したサービス・事例を紹介します。
自動運転のバスサービス
近年、AI技術の発展にともなって、自動車メーカーの自動運転技術開発が進んでいます。既にレベル3(条件下での自動運転)までの自動運転は可能となっており、現在はレベル4(高度な自動運転)の実現に向けて開発が進められています。
自動運転のバスサービスも代表的な一例といえるでしょう。現在ではさまざまな実験が行われており、バスサービスのような公共交通機関にもAI技術が活かされています。
この事例が進展すれば、私たちの生活もより便利になるでしょう。
スマートスピーカー
AIが持つ音声認識技術は、所有者の声に反応して一定の操作を行うスマートスピーカーやスマートフォンに活用されています。特に、スマートスピーカーでは、持ち主の声や話し言葉に反応して、部屋の電気をつけたり、音楽を流してくれたりと、すべての操作をAIが行ってくれます。
あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT(Internet of Things)」が発展すれば、スマートスピーカーの需要もより高まるでしょう。
スマートフォンのロック解除機能
AIの技術の中には、カメラから顔を検出する顔認識技術があります。この技術の活用事例は、スマートフォンのロック解除機能が挙げられるでしょう。人それぞれの顔の特徴をAIが正確に読み取って識別するため、セキュリティレベルも高く、多くのスマートフォンに採用されています。
そのほかにも近年では、空港の搭乗手続きで顔認証システムが採用されているなど、活躍の幅が広がっています。
AIチャットサービス
AIチャットサービスは、「人間のように自然な会話ができるチャットサービス」です。無料で使用できるサービスだけでなく、従来のチャットサービスに比べて文章の完成度が高く、人間味のある回答ができるといった特徴があります。
AIスライド作成サービス
AIスライド作成サービスも注目されています。これは、ユーザーが入力したテキストからスライドを自動生成してくれるサービスです。時間がないときやスライド作成が難しい場合に有効活用できるサービスです。
AIが抱える問題と未来
AIが抱える問題とこれからの未来はどのようなものがあるのでしょうか。
AIに対して懐疑的な意見を持つ方のなかには、いずれ「AIが人間の仕事を奪う」との意見があります。しかし、AIは人間と同じように感情を読み取れるわけでなく、また倫理的な観点からもまだまだ問題をはらんでいるため、必ずしも人間ができる仕事のすべてを奪うことはないでしょう。
ここでは、より具体的に「2045年問題」と「倫理問題」の点から考察します。
2045年問題
「2045年問題」とは、AIが人間の知能を超えるとされるのが2045年であるという予測です。AIが人間の知能を超えた場合、人間の生活やビジネスが大きく変わる可能性があります。
しかし、人間の「感情」や「心」まではAIでは理解できない、というのが大多数の意見です。現在のAIやコンピューターでは、「感情」や「心」に関する自己学習はできません。そのため、クリエイティブな創作や感情・心に訴えかける行動までは、AIでは再現不可能と言えるでしょう。
倫理問題
AIが普及した世界において、「倫理的問題」が発生する可能性が考えられます。倫理とは、普遍的な価値(幸福や公平さ、正義、尊厳など)です。
AIが自律的に判断した行動・結果については、明確な理由や責任、過程(原因)の追究ができません。現段階では、AIで生成された画像や情報が原因でフェイクニュースが世に出回っている問題も同様です。
AI技術が発展している今日では、このような問題が自律的に行われる危険性もあり、「倫理的問題」が浮上しています。
人間と共存できる社会を創造
自家用車や家電製品、またスマートフォンや周辺機器など、AI技術が活かされるシーンは広がっています。AIを搭載したモノは、ユーザーの好みや生活パターンを学習し、最適な設定を提供できるでしょう。また、AIによって、新たなサービスが生み出される可能性もあります。このようにAIが普及していくことで、私たちの生活はより豊かになるでしょう。
この先、AIと人間とが共存できる社会を実現するためには、AIの影響を適切に理解し、AIの利点とリスクを公平に評価することが重要ではないでしょうか。
まとめ:AIを導入して企業成長を促進しよう
ここまで、AIとは何かについて歴史や得意分野など、様々な視点からご紹介してきました。
<このコラムのPOINT>
- AIは「人工知能」の略称で、コンピューターが人間のように自ら学ぶ技術のこと
- AIを活用すれば、労働力不足の解消やコスト削減、生産性や安全性をはじめとしたさまざまな点の向上が期待できる
- 今後の生活を発展させていくためにも、AIと人間が共存できる社会を創造することが大切
AIの得意・不得意を理解して、また人間にしかできない分野を選別してAIが活用されれば、より豊かな生活が期待できます。ビジネスにおいても、さまざまな効果を得られるでしょう。
本コラムから、まずはAIが生むメリットや課題などのAIへの理解を深め、自社で行われる業務に活かせるかを検討するためのきっかけにしてみてください。
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