中小規模の板金業に特化した生産管理システム。カスタマイズが必要ないため導入期間とコストを大幅に圧縮【ビジネスレポート】

板金業における加工機の進化は目覚ましく、近年は省力化・自動化がトレンドとなっています。しかし、中小事業者が多い板金業では、生産管理をいまだに紙やExcelで行っているところがあり、生産性向上の足かせになっています。
そこで三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL)は、中小規模の板金業向けに必要な機能を備えながらコストを大幅に抑えた生産管理パッケージ「Smart板金Pro」を2020年12月にリリースしました。
三菱電機製レーザ加工機や村田機械製プレスブレーキとシームレスにつながる連携オプションも用意しており、リアルタイムな工程進捗の見える化を実現します。

板金加工機が進化を遂げる一方、紙やExcelの生産管理がボトルネックに

板金業などの生産現場では慢性的な人手不足が経営課題となっています。特に2020年に発生した新型コロナウイルス感染症がもたらした影響は大きく、非接触の作業が求められるようになったため、生産現場では省力化・自動化の流れが加速しています。

一方、板金業界は中小事業者が多く、取引先からFAXなどで受け取った紙の注文書をもとに生産現場に指示を出し、加工した実績を手作業で記録・管理しているところが、いまだに多く存在します。そのため、加工機などの生産設備が進化しても、手作業による生産管理が生産性向上のボトルネックとなりかねません。

近年は、加工機を自動運転によって夜間や休日に無人稼働させ、稼働率を高めようとしている事業者が増えていますが、工程の進捗状況や材料の仕掛状況が見えなければ、オペレーターが現場にいる時間帯しか加工機を動かすことができません。
こうした課題を解決するため、レーザ加工機の開発・製造を行う三菱電機産業メカトロニクス製作所(三菱電機)とプレスブレーキの開発・製造を行う村田機械の2社にMDSOLを加えた3社は、工程管理から加工実績、加工機の監視までの工程全体をシームレスに連携する「板金業向け生産管理ソリューション」を共同開発して2019年から提供しています。

三菱電機株式会社
FAシステム事業本部
メカトロ事業推進部
メカトロ戦略グループ
レーザ加工機ビジネス統括
岸田 直也 氏

しかし、板金業界で圧倒的多数を占める中小事業者にとって、多くの機能と導入時のカスタマイズを必要とする既存の生産管理システムは敷居が高いようです。導入時に要件や課題をヒアリングし、お客様の業務に合わせてシステムを構築する作業(SI)が発生するため、コストや導入期間もかかります。そこで、MDSOLは、中小板金業のニーズに合わせた生産管理パッケージ「Smart板金Pro」を開発しました。

Smart板金Proは、従来のような要件定義、設計、カスタマイズなどのSIの作業を必要としません。そのため、導入期間とコストを大幅に圧縮することができます。三菱電機 FAシステム事業本部 メカトロ事業推進部 メカトロ戦略グループ レーザ加工機ビジネス統括の岸田直也氏は「中小板金業のお客様は、部分的に加工機の自動化・効率化を進めたいといった要望が多く、生産管理システムに高度な機能は求めていません。そこでMDSOLと連携して必要な機能に絞りこみ、価格を抑えて導入しやすい生産管理パッケージを提供することにしました」と語ります。

専任のシステム担当者がいなくても手軽に導入・運用が可能

カスタマイズを必要としないSmart板金Proは、従来のSIモデルと導入方法が異なります。
Smart板金Proでは、最初に板金業に特化した標準業務フローを理解することから始まります。業務フローを理解すると、次はSmart板金Proの操作方法を習得し、マスタ(工程マスタ、名称マスタ)にデータ登録を行います。そのマスタを活用して自己学習を行い機能の習熟度を高めます。お客様ごとに理解度を見極めて、仮稼働、本稼働と進んでいきます。

導入時に使用するドキュメントは、パッケージ固有の用語を説明した「用語集」、業務内容を説明した「業務定義書」、業務の流れを説明した「業務フロー」、運用条件を説明した「ビジネスルール」、画面項目や機能概要などを説明した画面説明書と帳票サンプルをセットにした「導入ガイダンス」の5種類を用意しています。
導入期間は、SIモデルで一般的に9~12ヵ月かかるところ、Smart板金Proでは、最短3ヵ月で稼働できます。専任のシステム担当者がいない中小板金業でも手軽に導入・運用できるのが最大のメリットです。

[Smart板金Pro システム範囲]

中小企業に必要な機能に絞り込みシンプルな業務フローを提供

製造事業部
首都圏システムエンジニアリング部
第一課
甘利 峻一

SI作業を伴わないSmart板金Proは、MDSOLにとっても新たなチャレンジでした。開発時は、社内で数々の議論を戦わせながら進めました。ポイントは主に2点。

1つ目は、お客様に販売するための社内フローや社内ルールの整備です。MDSOL 製造事業部 首都圏システムエンジニアリング部 第一課の甘利峻一は次のように語ります。
「MDSOLの営業、SE、管理部門の担当者と意見交換しながら、お客様への提案フロー、販売フローを検討しました。例えば商談時に、営業担当者がお客様からの要望を受けて提案する際、SI モデルとSmart板金Pro のどちらが適しているか判断できるよう、チェックシートを作成しています。それらをもとに全国の支社や支店の営業担当者に教育し、販売体制を整えました」

2つ目は、お客様の生産性を向上させるのに最適な業務フローを作り込むことです。パッケージの各機能を、どの部門で、どのような手順で運用し、どこに注意して運用するかを示す業務フローは、Smart板金Proの心臓部となります。
「そのため、板金業にシステムを導入した経験があるSEを全社から集めて知見を集約することにしました。毎週2回の頻度でウェブミーティングを開催し、導入のしやすさや運用の容易さなどの観点から気になるポイントを議論したり、モニター企業のユーザーの声を聴いたりして、ベストプラクティスを検討しました」(甘利)

MDSOLと三菱電機が密接に連携し支店・代理店を通して全国に提供

Smart板金Proでは、三菱電機製レーザ加工機や村田機械製プレスブレーキなどの加工機に加え、村田機械の板金工程管理システムとの連携オプションも用意しています。商談初期の段階でお客様にヒアリングを実施する際、要望に合わせて必要な組み合わせを提案しています。
「Smart板金Proは、3社で共同開発したソリューションをベースとしているため、生産管理と製造現場がデータでシームレスにつながります。システム連携によって工程進捗の見える化が実現し、指図番号をもとに加工機ごとの不良率などを解析することも可能になります。製造現場で収集した情報がすべてデジタル化されることで、板金DXに向けた改善に貢献します」(甘利)

Smart板金Proは、MDSOLと三菱電機が緊密に連携し、三菱電機の営業拠点および販売代理店などを通して販売していく計画です。
「これまで三菱電機の営業拠点や販売代理店では、自前の生産管理システムがなかったため、レーザ加工機と一体となったソリューション提案が難しかったのですが、安価で短期間に導入でき、お客様の生産性向上に寄与するSmart板金Proは、提案力の強化につながる切り札になると考えています。生産管理まで手が回らず、工程改善を切望しているお客様がまだ多くいらっしゃいます。板金業界のデジタル武装をお手伝いするためにも、当社の営業拠点や販売代理店に対してレーザ加工機とセットで提案するための支援を進め、三菱電機グループの総合力をアピールしていきます」(岸田氏)

MDSOLでは、お客様のご要望に応えながらSmart板金Proを継続的に改善し、より使いやすいパッケージへと進化させ、お客様の生産性向上に寄与していきます。

この記事について:この記事は、情報誌「MELTOPIA」No.256(2021年6月発行)に掲載されたものを転載しました。

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