社会福祉法人シルヴァーウィング様 導入事例

  • 東京都

老人福祉・介護事業

  • [介護AI入力予測ツール 記録NAVI]
  • [福祉業務支援ソフト ほのぼのシリーズ]
  • [介護・福祉総合ITソリューション MELFARE]

介護ロボットと情報システムの活用により介護職員の負担を大幅に軽減
利用者の自立を高める新しい介護の実現へ

社会福祉法人シルヴァーウィング様 会社概要

東京都中央区などで都市型特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人シルヴァーウィング。同法人は、2013年より介護現場にロボットを積極的に導入し、介護職員の負担軽減や人手不足対策を進めてきました。2014年には、株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)の介護・福祉総合ITソリューション「MELFARE(メルフェア)」を導入して介護記録を電子化し、利用者の情報を施設全体で共有。2019年には介護記録の入力負荷軽減および介護記録を用いたデータ分析の高度化を目的にMBの介護AI入力予測ツール「記録NAVI」を導入し、実証実験を進めています。ロボット、情報システム、人の連携による同法人の新しい取り組みは国内外から注目を集めています。

導入背景

自立支援を指向した介護を目指し20種類以上の介護ロボットを利用

理事長
石川 公也 氏

 シルヴァーウィングは、「新とみ」「みさよはうす土支田」「みさよはうす富久」(2019年7月開設予定)の3つの特別養護老人ホームのほか、若年認知症サポートセンター、小規模多機能型居宅介護などを運営する社会福祉法人です。3つの特別養護老人ホームは、東京23区内にある都市型の高齢者福祉施設で、ショートステイやデイサービスを併設して地域に密着したサービスを提供しています。
 「新とみ」と「みさよはうす土支田」では、東京都産業労働局による「課題解決型雇用環境整備事業」の選定を機に、2013年より介護ロボットの導入を開始し、現在では20種類以上のロボットを利用しています。導入のきっかけは、介護職員の人手不足と雇用環境の改善にありました。理事長の石川公也氏は次のように語ります。
 「介護職は肉体労働の要素が強く、職員の多くが腰痛を抱えています。それゆえ、人材がなかなか定着しません。2025年には約34万人の介護人材が不足すると言われており、早急な環境改善が必要です。今後、自立支援を指向した介護を実現するためには、介護ロボットを活用した職員の負担軽減が不可欠です」

 介護ロボットには、被介護者の歩行や食事などの自立を支援する機器(自立支援型)、排泄、移乗、見守りなどの業務負担を軽減する機器(介護業務支援型)、被介護者のコミュニケーションや癒しに役立つ機器(メンタルケア支援型)の3種類があります。シルヴァーウィングでは、3種類とも使い、新しい介護の形を模索してきました。
 まず、移乗介助、移動支援では、階段の登り降りを支援する「スカラモービル」や、ベッドが中央で分離して片側が車椅子に変わる「リショーネ」を導入したことで介護の負担が軽減され、職員の腰痛問題も大幅に改善しました。リハビリ支援では、リフト機能で介護者の立ち上がりを支援する「POPO」や、歩行訓練機器の「歩行アシスト」などが活躍しています。
 現在業界で注目されているのが見守り支援ロボットです。ベッドのマットレスの下に敷くことで利用者の状態をリアルタイムにモニタリングし、睡眠・覚醒状態の把握から転倒・転落事故の防止まで、職員のサポート役として活用しています。「ロボットのサポートが加わることで安全性が高まり、職員の精神的・肉体的な負担が軽減されます。以前はメーカー間でデータ形式が異なっていたため、総合的に分析しようとすると個別の変換作業が必要でしたが、最近は標準化も進み、さらなる活用の可能性が高まっています」と石川氏は語ります。
 コミュニケーションロボットは入居者の評判も高く、「新とみ」では人型ロボットの「Pepper」が体操の時間のリード役として活躍しています。アザラシ型ロボットの「パロ」は、認知症利用者のセラピー的な役割を果たしています。

導入ポイント

「ケア総合記録システム」で職員間の情報共有を実現

 シルヴァーウィングは、介護ロボットの導入と並行して情報システムによる業務の効率化にも取り組んでいます。2013年にはMBの介護・福祉総合ITソリューション「MELFARE」の中核をなす「ほのぼのNEXT」を導入。2014年には「ケア総合記録システム」を追加導入しました。
 システム導入前の介護記録はすべて、手書きで紙に記録していました。それでは、過去の記録を参照することが難しく、職員間で引き継ぎ事項が漏れてしまうリスクがあります。また、介護士、看護師、栄養士は各部署で記録を取っているため、部署間の連携も困難でした。そこで社内メールを導入してみたものの、職員は現場で働くことが多いため、十分に機能しなかったといいます。
 「ケア総合記録システム」導入によって、介護サービスの提供状況、利用者情報、申し送りの情報などを必要に応じて即時に参照できるようになりました。組織内の情報共有が進んだことで、部署間の信頼関係の構築や、共通意識の醸成、能力向上などの効果が得られています。過去情報の検索も容易になり、入所時からのサービス提供状況や状態変化についても把握がしやすくなりました。「導入時には抵抗感を示す職員もいましたが、使っているうちに慣れてきて、今ではほのぼのNEXTなしでは仕事ができないという声が届いています」と石川氏は語ります。

導入後の効果

介護記録のさらなる活用に向け「記録NAVI」の実証実験に着手

 一方、「ほのぼのNEXT」に入力される介護記録を分析すると、新たな課題が見えてきました。それは職員によって書き方や記述内容にバラツキがあることです。介護記録は自由記述の割合が高く、その内容も多岐にわたります。また、専門用語が多いため、正しく記録を残すことは簡単ではありません。とはいえ、教育に時間をかけようにも介護の現場は慢性的な人手不足で、十分な時間を割けません。PCや介護の初心者がおり、近年は日本人以外の職員も増加傾向にあります。
 そこでシルヴァーウィングは、介護記録の品質向上と入力負荷の軽減のために新たな施策を実施しました。それが、MBが開発した介護AI入力予測ツール「記録NAVI」の活用です。記録NAVIは、過去の介護記録をAIを使って分析して典型的な文例を事前に作成しておき、現場ではサンプル表示された文例をマウスやタッチパネルでクリックするだけで介護記録が作成できるというものです。
 「きっかけは、介護記録の品質を高め、それを分析すると、転倒事故、認知症、褥瘡(じょくそう)、誤嚥(ごえん)性肺炎など、介護リスクの予兆発見に使えるのではないかと考えたからです。予兆が分かれば早期の受診、対処が可能になり、介護現場の負担も軽減できます」(石川氏)
 現在は、「記録NAVI」導入に向けて実証実験を進めています。
 「MBとともに分析したところ、記録者個人のクセや、記録時のパターンが見えてきましたので、入力データを増やして改善を重ねています。記録NAVIには、各場面で誰でも適切かつ正確な介護記録の作成が可能になることを期待しています」(石川氏)

今後の展開

テクノロジーの利活用を通し“新しい介護のありかた”を模索

 介護ロボットと情報システムによって介護現場の負担軽減と、介護品質の向上を実現してきたシルヴァーウィングでは、今後もテクノロジーの利活用を通して、“新しい介護のありかた”を模索していく考えです。
 「私自身に介護が必要になった時、今までのように人だけに頼った介護施設では、自分が望む生活は送れないと考えています。いつまでも自立した生活を送るためには、ロボットやテクノロジーと人間の共存が必要不可欠です。今後もロボット、情報システム、人間の協働による新しい介護のありかたを追求していきます」(石川氏)
 シルヴァーウィングは、人とテクノロジーの融合を通して介護現場を改善し、誰もが健康を長く維持して自立的に暮らせる社会を目指していきます。

明日の介護を担う入力支援+分析システムのアーキテクチャ

記事について

本記事は、情報誌「MELTOPIA」2019年6月号(No.247)に掲載されたものを転載しました。
2020年4月1日付で株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)は、三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL)に社名を変更しました。

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