花王販売株式会社様 導入事例
東京都
化粧品小売業
- [MELFOS]
FAX受注システムを刷新し、コストの削減と業務の効率化を実現
花王販売株式会社様 会社概要
花王といえばすぐに思い浮かぶのが、あの三日月マーク。国産ブランドでは初めて高品質の化粧石鹸を1890年(明治23年)に発売以来、1世紀以上に渡って親しまれてきました。花王製品は、家庭用のパーソナルケア、サニタリー、ヘルスケア製品など幅広い分野で私たちの生活に浸透しています。
大手スーパーやドラッグストアをはじめとした取引先に花王ブランド製品を販売する花王販売株式会社は、全社の情報システム再構築の一環として、FAXによる注文システムを刷新。
受注、入力を統合処理する三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)のFAX受注システムを採用しました。FAXによる膨大な発注をスピーディに処理する体制を確立し、コストの削減と業務の効率化を実現しています。
全国販社の一本化を機に全社的なシステムの刷新に着手
1971年12月に設立された花王販売株式会社(花王販売)は、花王株式会社(花王)の「アタック」「ビオレ」などの家庭用品を扱う販売会社です。花王製品を扱う販売会社は、これまで全国各地にありましたが、1993年には全国に8社の広域販社体制が確立。さらに、1999年4月には、その広域販社8社が花王販売として統合されました。
1999年の合併により、花王販売では全国規模での販売・流通体制の一本化を図ると同時に、業務システムの改革に取り組んできました。2000年に統合事務センターを設置し、受注作業等の事務作業を1ヵ所に集中化するとともに、拠点を横断した業務の効率化を図りました。さらに、全社に渡るシステム刷新の一環として、新たなFAX受注システムの導入を決定。
FAX受注システム自体は、8社統合以前から導入されていましたが、取引先・地域ごとに伝票書式が異なるなど複雑化した仕様に対する課題を抱えており、次期システムでは、よりシームレスな構築、移行が急務となっていました。
完成度の高さと柔軟性により導入を決定
新たなFAX受注システム導入までの経緯を、花王販売統合事務センター 部長 橋本恭一氏は、当時を振り返りながら次のように語ります。
「1999年まで全国の販社ごとに分けて行われていたFAXの注文を、統合後は一元的に集中化して管理しなければなりません。統合により取り扱うFAX受注数は膨大な数に上ります。そのため、販社統合から順次進められてきた全社システムの中でも、FAX受注システムの移行が重要な課題になりました」
FAX受注システムは、花王販売のシステム全体の取りまとめをはじめ、インフラ提供、データセンター運用・保守、アウトソーシングを担う日本アイ・ビー・エム株式会社とともに最適のソリューションを探した結果、MDISのFAX受注システムに決定しました。
決定に至る経緯を、花王販売 営業情報部 部長 藤尾孝也氏は次のように語ります。
「MDISのFAX受注システムは以前から知っていましたが、改めて細部に渡る検証を行いました。その結果、高品質で完成度が高く、技術的に信頼できる点や非常に柔軟性が高い点を評価しました。また、こちらの疑問や不安に対して真摯な対応をしていただき、信頼感を抱くことができたのも、採用の大きな理由の一つですね」
マスターデータの統合とサーバの外部管理によりコスト&サービス改善
新しいFAX受注システムの最大の特長として、マスターデータの統合とサーバをデータセンターに置いて運用・管理の集約化を実現したことの2点が挙げられます。そのため、拠点の増減や組織改編にも迅速に対応でき、システム運用の人的・経費的負担が大幅に改善できました。
さらに、万が一、障害が発生した場合でも速やかな復旧が可能になりました。また、運用面では、基幹システムとのシームレスな連携が大きなメリットだと花王 情報システム部門の宮本浩氏は語ります。
「旧システムと異なり、新しいFAX受注システムは、基幹システムとシームレスな連携を実現しています。そのため、基幹システムのデータを変更するとFAX受注システムに即時反映することができるようになりました。情報システムの即時性という点で、大きな進歩といえます」
蓄積された運用ノウハウを反映することで操作性をさらに向上
マスターデータの一元管理によるデータベースの活用は、取引先情報の細かな管理・共有をもたらし、作業の平準化とスタッフリソースの有効活用も実現しています。統合事務センターの高橋裕輔氏は、次のように語ります。
「以前は、取引先情報の一部は地域単位で管理していました。例えば、納品の締め切り時刻が『A地区では11時までに納品』という地域単位となるため、個別店舗での例外が発生した場合には手作業で修正していました。このため最終的には担当者の経験に頼る傾向にあった業務が、新システムでは各取引先店舗単位の情報がデータベース化され、誰でも同じオペレーションで適確に対応できるようになっています」
さらに、データ入力を簡略化することができるようになりました。取引先からの注文FAXが入ると、その発信元の情報に基づき、取引先に関する過去の履歴や注文情報などをデータベースから自動検索し、オペレータ用の画面にポップアップ表示するため、受注・入力時間が短縮化され、オペレータの作業も大幅に効率化することができました。メリットはこれだけにとどまりません。統合事務センター担当者のアイディアにもとづく改良が随所に施されています。
「オペレータはFAXの注文を見ながら、その商品コードを発送指示画面に入力していきます。旧システムでは入力コード一覧表を見ながら商品コードを入力する仕組みだったため、熟練が必要でしたが、新システムでは商品コード入力をボタン化しています。しかも、すべての製品をカテゴリ別に分け、カテゴリの階層によって検索できるようにしたため、誰でも簡単に入力できるように改善されています。以前は入力コードが記載されているコードブックが必要でしたが、今では不要になりました」と統合情報センター 流通システムグループ マネージャーの峯村勉氏は語ります。
統合事務センター 流通システムグループの羽田由明氏は運用情報ノウハウのメンテナンスの面から、次のような改善点を語ります。
「画面には発注の際の留意事項などの様々な注意標記がありますが、これを文章で書いていると膨大な量になって、読み切れないのが悩みでした。それをアイコン化した注意マークに変更することで、オペレータの負担やミスを減らすことができました。新しいシステムでは、アイコン化した注意マークを必要に応じて使えるようになり、運用上の柔軟性を実感しています」
左手前から 花王販売株式会社 統合事務センター 部長 橋本恭一氏、営業情報部 部長 藤尾孝也氏、執行役員管理部門統括 林泰正氏、統合事務センター センター長 小泉 誠氏、左後方から統合事務センター 高橋裕輔氏、統合事務センター 流通システムグループ 羽田由明氏、統合事務センター 流通システムグループマネージャー 峯村 勉氏、花王株式会社 情報システム部門 宮本 浩氏
経営に貢献する業務改革システムの確立へ
新しいFAX受注システムで実現した高い業務対応力とコスト削減効果を弾みに、今後、花王販売は、どのような戦略を描いていくのでしょうか。統合事務センター センター長の小泉誠氏は次のように語ります。
「現在、平常時でも相当数の注文がありますが、中元・歳暮期などにはさらに受注数が増加します。現在はコールセンターのオペレータ増員で乗り切っていますが、今後は例えば、ネットワーク化による在宅スタッフの動員といった外部委託など受注量の増減に対して、より柔軟に対応する体制づくりも可能になるかもしれません。また、状況に応じてシステムをさらに増強していくことも考えていきたいですね」
FAX受注システムにとどまらず、花王販売の全社的システム刷新は現在も着々と進んでいます。花王販売 執行役員 管理部門統括の林泰正氏は経営面の観点から次のように語ります。
「新システム導入時、私は花王の情報システムの統括を担当していたこともあり、花王販売で販社統合によるFAX受注システムの一元化を実現できたことを高く評価しています。受注系システムは営業の生命線であり、"止められないシステム"です。高品質で実績があり、細かい機能も充実しているMDISのソリューションを採用したことで、安定した運用が可能となり、業務の効率化とコスト削減も達成できました。
今後は、FAX受注システムの一本化で実現したメリットを、さらに活かしていくことが重要なテーマになります。そのためには、プログラム改善、マスターデータ改善、業務改善、そしてまた、プログラム改善という一連の改善サイクルを着実にまわしていくことが必要であると考えます」
清潔で美しくすこやかな毎日をめざして。花王販売はこれからもお客様とともに感動できる会社をめざし、企業活動を進めていきます。
MDISとのパートナーシップで顧客満足度の高いシステムを実現
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)はシステム構築において、豊富な実績と高品質を兼ね備えたベンダーのソリューションを導入する方針をとってきました。
「FAX受注システムにおいても実績と品質という観点で製品を検討していった結果、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)がFAX受注業務で実績のある品質の高いソリューションを提供していることが分かり、導入しました」と流通・GBソリューション・センター 流通第二ソリューション・サービス 第二開発部 主任プロジェクト・スペシャリスト 岡山英彦氏は語ります。
花王販売様の新たなFAX受注システム導入が成功を収めた要因には、お客様とSIer、ソリューションベンダー相互の良好な関係が見逃せません。花王販売様、日本IBM、MDISの3社が密に連携して共同作業する中で、品質の高いシステムが実現できたと語るのは、流通・GBソリューション・センター 流通第二ソリューション・サービス 第二開発部 部長の遠藤知己氏です。
「システムのハードウェアとの適合検証から構築までを日本IBMとMDISの両社合同で行いました。技術要件に関しては、すでに豊富な実績を持っているMDISにお任せしました。それぞれのアドバンテージを発揮できたと思っています。MDISには引き続き頼りになる良きパートナーとして期待したいですね」