株式会社マルアイ様 導入事例
山梨県
事務用・学用紙製品製造業
- [MELFOS]
本部・拠点分業と顧客対応ノウハウをシステム化し、FAX 受注業務の効率化、
顧客対応力の強化とともに環境負荷低減、事業継続性向上を実現
株式会社マルアイ様 会社概要
和紙の街として知られる山梨県市川大門に本社を置く株式会社マルアイは、「包む」ことをキーワードに紙製品事業、プラスチックフィルム製品事業、半導体関連事業を展開しています。同社は紙製品事業部において業務改革を進めるなかで、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の「FAX受注システム」を導入。
本部・拠点分業の最適化と得意先別要望事項のデータベース化により、顧客対応力を大幅に強化しました。さらに、FAX受注業務のペーパーレス化による環境負荷低減、パンデミック対策を踏まえた事業継続性の向上を実現しています。
センター集約と拠点分業に適合するシステム化に着手
1888年(明治21年)に手漉き和紙の販売を開始した株式会社マルアイは、「紙」に関連する事業を中核に120年を超える歴史を歩んできました。現在は、祝儀用品などを手がける「紙製品事業」、商品用のラミネートパックなどを製造する「プラスチックフィルム事業」、半導体製品用の静電気防止シートで“ハイテクを包む”「半導体関連事業」を展開しています。代表取締役 社長の村松道哉氏は次のように語ります。
「当社は、紙製品で培ってきた包む技術のノウハウを活用して、フィルムや半導体製品を中心とする化成品事業にも進出を図り、顧客も中国や東南アジアをはじめ、グローバルに広がってきました。一方、当社の原点である紙製品事業は、製品企画からデザイン、印刷、加工、物流まで一貫して手掛けており、全国7ヵ所にある物流拠点から、顧客に商品をお届けしています」
同社では、これまで紙製品事業のFAX受注処理を地域の各拠点単位で行っていました。ところが、拠点ごとのオペレーションによる業務の非効率性が次第に顕在化。この点について、システム開発室 課長の遠藤浩行氏は次のように語ります。
「そこで全社的な業務の効率化を目指し、FAX受注業務は受注センターに集約し、問い合わせ対応は各拠点で行う分業化を図ることにしました。しかし、FAX受注を集約することで受注センターのエントリー入力作業をはじめとした業務量は大幅に増大します。迅速かつ正確に受注業務を行うためには、システム化による業務支援が不可欠でした」
顧客対応ノウハウを駆使した、便利な機能の柔軟性を重視
マルアイは、FAX受注システムの導入にあたり、複数のベンダー製品を比較したなかで、MDISのFAX受注システムを採用しました。その理由について、遠藤氏は次のように語ります。
「豊富な導入実績と信頼性に加えて、当社独自の顧客対応ノウハウをシステムに取り込むことができる柔軟性が大きな決め手になりました。当社では、紙製品事業の取引先である約600社の顧客のご要望に合わせて、例えば『発注番号を入力』や『一定の発注量に達した段階で出荷』といった個別の対応をしていました。MDISの提案は、注文時におけるこれらの要望事項をデータベース化し、簡単に活用できるようにすることで、迅速な対応とサービスレベルの向上を実現するものでした」
このほかにも、マルアイのFAX受注システムには、同社の業務をスムーズに進めるための工夫が随所に凝らされています。
「得意先によっては納入先が複数ヵ所の場合もあります。そこで、ナンバーディスプレイ情報をもとに得意先を特定し、FAX送信元が得意先であれば納入先を、納入先であれば得意先を表示できるようにして、より迅速な処理を支援できるようにしました。また、顧客からの問い合わせに対しても、得意先と納入先の両方から検索できるようにしています」(遠藤氏)
エントリー時には、特記事項などのコメントを32文字まで入力可能としたことで、申し送り事項をより具体的に残せるようになりました。また、現場の意見を反映してプルダウンメニューから選択できる定型コメントを10個に増やしたことで、オペレータの入力負荷を軽減。エントリー時のコメントも検索条件に含むようにしたため、問い合わせによる回答時間の短縮につなげています。
本部・拠点連携の強化と、迅速・的確な顧客対応を実現
今回のシステム導入によって、マルアイでは紙製品事業におけるFAX受注業務の大幅な効率化を実現しました。
遠藤氏は「なかでも大きな効果は、得意先個別の要望事項をデータベース化することで、きめ細かな対応が迅速かつ的確にできるようになったことです。例えば、得意先の受注情報を開くと、画面の右側に表示される個別の対応方法や注意点が記載しており、今まで熟練したオペレータが行っていた作業が、オペレータのスキルに依存せずに迅速に対処できるようになりました」と語ります。
従来オペレータが手作業で行っていた納期回答や品切れ連絡、出荷連絡などのFAX返信作業については、ホストコンピュータからFAXサーバ経由で得意先に返信する機能を実現したことで、オペレータの業務負荷を軽減できました。
「これまで受注業務を担っていた各拠点では、得意先のデータが一元化されたFAX受注システムの拠点端末を問い合わせ対応に使用することで、より的確できめ細かな回答をすぐに返せるようになりました。受注センターへのFAX受注が急増した場合には、各拠点に振り分け受注処理を支援することもできます」(遠藤氏)
取締役 管理本部長 総務・経理・システム開発室担当の石部萬史氏は次のように語ります。
「メーカーにも卸の機能が求められている現状において、受注処理の効率化による納期短縮の効果は非常に大きいといえます。今回のFAX受注システム導入によるリードタイムの短縮によって、顧客満足度を向上することができました」
事業継続性、環境対策を踏まえ、さらなる事業強化を推進
村松氏はこのたびのFAX受注システムの構築について次のように総括します。
「受注拠点の集約と、拠点ごとのきめ細かな問い合わせ対応を両立したことで、業務の効率化と顧客満足度の向上を同時に達成することができました。さらに、もしものときに各拠点でも受注業務を継続できる仕組みは、パンデミック対策としても有効で、BCM(事業継続マネジメント)の観点からも成果を挙げることができました。また、紙を扱う事業を営んでいる当社にとって、プリント枚数の大幅な削減というペーパーレス化を推進できたことは、非常に大きなことです。環境問題は今後避けては通れない課題の1つです。製品企画からデザイン、印刷、加工、物流までのすべての領域で、『環境』に配慮して事業を展開していきます」と語ります。
贈る人のこころを包むのし袋のトップメーカー、マルアイは、これからも日本の伝統を守りながら、新たな挑戦を続けていきます。