株式会社銘酒の裕多加様 導入事例
北海道
酒小売業
- [酒快Do・酒Do楽]
「酒Do楽」と外部データベース間の連携機能の開発により
ネットショップ対応の販売管理システムを構築
株式会社銘酒の裕多加様 会社概要
1901年に創業し、札幌市北区に店舗を構える株式会社銘酒の裕多加(ゆたか)は、地酒を扱う老舗として広く知られ、遠方からも多くのお客様が訪れています。店舗販売を中心としてきた同店は、日本酒の深い味わいを国内だけでなく海外のお客様にも発信するため、ネットショップ開設を決断。その実現に向けて三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)が企画・開発し、株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)をはじめとしたビジネスパートナーが販売・サポートする販売管理システム「酒Do楽」を導入するとともに、外部データベースとの連携機能を追加。店舗とネットショップを同時に管理するシステムを構築しました。
未来の店舗運営を見据えてネットショップを立ち上げ
酒類全般を扱う一般酒販店として創業した銘酒の裕多加(ゆたか)は、1994年に地酒のみを扱う専門店へと生まれ変わりました。4代目となる代表取締役の熊田裕一氏は「周辺に格安リカーショップやスーパーマーケットができたことをきっかけに、昔からの念願であった地酒専門店に切り替えました。以来、徐々にご贔屓様が増えていき、今では、道内にとどまらず全国からお客様にご来店いただいています」と語ります。
同店で扱うお酒は、全国の蔵元から直送の地酒や本格焼酎など約500種類にものぼり、日々研鑽を重ねたスタッフがお客様の好みに合わせたお酒をすすめています。そのため、店頭販売の比率が高く、売上高の約7割に上ります。店づくりにも工夫を凝らし、店舗内には試飲コーナーの設置やぐい飲みや風呂敷などの小物の展示販売など見せ方や売り方にもこだわってきました。
さらに熊田社長は、人気の地酒「久保田」をはじめとする全国の銘酒をおいしく飲むための啓蒙活動にも取り組んでいます。
銘酒の裕多加は現在、熊田社長が経営の舵を取るほかに、専務取締役の熊田理恵氏と、アメリカで生まれ育ち同店を手伝ったことがきっかけで理恵氏と結婚した常務取締役の熊田架凛(カリン)氏が経営をサポートしています。常務は IWC(International Wine Challenge)の日本酒部門の審査員を務めるなど、日本酒の海外発信に積極的に取り組んでいます。このたび、専務とともに将来の店舗運営を見据えてインターネットによる情報発信を企画。2011年に開設したFacebookに続き、ネットショップの立ち上げを決断しました。
「当店のお客様は各地にいらっしゃいますが、店舗に直接来られない方もおられます。その場合、電話やFAXでの注文となりますが、相手の顔が見えないコミュニケーションでは、私どもの気持ちや地酒に対する想いがなかなか伝わりません。そこで、写真や動画、文章などでメッセージが伝えられ、お客様が好きな時間にゆっくりお買い物ができるネットショップを開設することにしました」(常務)
カスタマイズ開発の対応提案と「北都千国会」への導入実績を評価
ネットショップを立ち上げるにあたり、課題となったのが実店舗との販売・在庫管理の連携でした。ネットショップを始めることで、ネットと店舗の在庫の同期が取れなくなるため、一元化するための仕組みが不可欠となりました。当初、既存の販売管理システムでの実現を検討したものの、それが困難であることが判明し、MBに相談。そこで、MDISが企画・開発した販売管理システム「酒Do楽」の導入と、カスタマイズ開発による外部データベース間の連携対応を決断します。専務は「ネットショップを立ち上げるならば完成度の高いシステムを作り、在庫管理を徹底しようという狙いがありました。その中で、MBの優れた提案や営業担当者の熱意、人柄を評価して導入を決めました」と話します。
さらに、同社と、道内の同業者であるマルミ北栄商店が中心となって活動している「北都千国会」の加盟店への「酒Do楽」の導入実績も導入の後押しになりました。北都千国会とは、北海道内で地酒を扱う酒販店が20年前に集まって結成した日本酒の専門家で、現在は23店舗が参加し、新しい蔵元を自分たちの足で発掘しながら、信頼あるブランドに育てる取り組みを行っています。北都千国会で相談役を務める社長は「会員企業が採用しているからこその安心感がありました。仲間が利用しているシステムなら情報交換もでき、使い方も学ぶことができます」と語ります。
「酒Do楽」の在庫データ・販売データをネットショップ用データベースと連携
システムの導入は2013年4月にスタートし、7月から販売管理システムが先行する形で稼働を開始。ネットショップ用の外部データベースとのシステム連携は8月に終了し、環境整備が整いました。導入時はMB、MDISの支援を受けながら、旧販売管理システムの情報を専用ツールで新システムに移行したほか、古いデータを整理してスリム化を図りました。
ネットショップ(※自社で構築)と実店舗の在庫データの連携については、検討を重ねた結果5分に1回の頻度で「酒Do楽」内の在庫データをネットショップ用の外部データベースに送信することにしました。その結果、在庫数量のほぼリアルタイムの同期が実現。一方、外部データベースに蓄積されるネットショップの販売データは、「酒Do楽」が装備する外部データ連携機能を用いて、毎日1回、商品発送前に取り込むことで、販売管理システム側に売上データとして反映できるようにしました。
さらに、リピーター向けのポイントカードを従来のバーコード式から磁気読み取り式に変更。デザインも一新したカードでポイントを管理するほか、店頭で購入履歴を確認できることで、来店客とのコミュニケーションに役立てています。
「ポイントカードで購入履歴を管理することで、お客様から過去に飲んだ銘柄の問い合わせにも迅速に答えることができて、非常に便利になりました」(専務)
ネットショップを本格的に立ち上げ国内・海外に日本酒の魅力を発信
「酒Do楽」の導入により、POSレジの締め処理が早くなったほか、新たに導入したハンディスキャナーにより棚卸の業務が効率化されるなど、効果はすぐに現れました。専務は「現時点では新システムの操作に従業員ともに慣れている段階で、その他の業務面でも効果が現れることを期待しています」と語ります。
ネットショップに関しては急ピッチで立ち上げを進めています。ネットショップは日本語と英語の2ヵ国語に対応し、英語版では国内、国外の外国人に向けて日本酒の情報や魅力を発信してアピールするほか、日本に住む外国人からの購入も可能にする予定です。
ネットショップのサイトでは、地酒の購入ページだけでなく、同店が扱っている地酒が飲める飲食店の専用ページも用意して、飲食店からも情報を発信していただくことにしました。お客様は、飲食店で気になるお酒を飲んでみてから、銘酒の裕多加のネットショップや店舗で好みの地酒を購入することができます。
「飲食店には、当店のポイントカードを店頭で掲示したお客様には、何らかのおもてなしサービスをすることをお願いしています。こうすることで、飲食店、当店、お客様の3者による新しいコミュニケーションが生まれることを期待しています。さらに、ポイントカード会員のお客様がネットショップを利用する際には、VIP会員としてネットでも特典サービスを提供することも検討しています」(常務)
こだわりの地酒と焼酎を全国のファンに届けている銘酒の裕多加は、店舗とネットショップの2つの販売チャネルを活用し、日本人、外国人を問わず多くのお客様に日本酒の魅力を発信していきます。