薬局業務の進化を加速する、生成AIによる服薬指導・薬歴記録支援

AnyCOMPASSは、三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL)が提供する保険薬局向け次世代コミュニケーションサービスです。同社が持つ様々な保険薬局向けシステムを統合し、クラウドサービスとして提供することで保険薬局のDXを推進します。このたび生成AIを活用した服薬指導・薬歴作成のためのAIアシスタント機能を開発。独自の特許技術を用いて、各患者に合わせた指導の提案や薬歴の自動作成を実現し、きめ細かな患者サポートと効率的な薬局業務を両立します。

保険薬局のDXを支援するシステムをクラウドで提供

MDSOLは、レセコン(レセプトコンピュータ)「調剤Melphin」を中心に30年以上にわたって様々な保険薬局向けシステムの開発・販売を行ってきました。2023年に提供を開始した「AnyCOMPASS」は、MDSOLの技術と経験を活かして開発された薬局向けのクラウドサービスです。

三菱電機ITソリューションズ
株式会社
流通・ヘルスケア事業部
総合ビジネス・イノベーション
戦略部
部長代理
椎橋 快平氏

開発の背景には、保険薬局を取り巻く環境の変化があります。総合ビジネス・イノベーション戦略部 部長代理 椎橋快平氏は、保険薬局を取り巻く環境変化について次のように語ります。
「近年、国の制度改定などにより保険薬局の経営環境は大きく変化しています。保険薬局にはこれまでの“薬を渡す場所”から“地域における健康管理の中核プラットフォーム”への進化が期待されています。政府が提唱、推進するデータヘルス改革、医療DX、PHR(Personal Health Record)の高度化の流れもあり、薬局のDXニーズが大きく高まっています」

三菱電機ITソリューションズ
株式会社
流通・ヘルスケア事業部
ヘルスケア営業部
ヘルスケアストラテジック
デザイングループ
プロフェッショナル
園田 康博氏

AnyCOMPASSはクラウドサービスとして提供されています。ヘルスケア営業部 ヘルスケアストラテジックデザイングループ プロフェッショナルの園田康博氏はクラウド化のメリットについて次のように語ります。
「AnyCOMPASSではこれまで個別に提供してきた当社の保険薬局向けシステムを統合し、クラウドサービスとして提供します。共通のクラウド基盤上で様々なサービスを提供することで、お客様は必要なサービスを導入しやすくなるほか、在宅や訪問先からでもシステムにアクセスできるなど多くのメリットが生まれます」

「しっかり」「スピーディー」「繋がる」がコンセプトのクラウド版電子薬歴サービス

三菱電機ITソリューションズ
株式会社
流通・ヘルスケア事業部
ヘルスケアソリューション部
次世代コミュニケーション
開発グループ
中村 公昭 氏

AnyCOMPASSの第一弾として提供されたのがクラウド版電子薬歴サービスです。クラウド版電子薬歴サービスは、「しっかり」「スピーディー」「繋がる」をコンセプトに開発されました。
ヘルスケアソリューション部 次世代コミュニケーション開発グループの中村公昭氏は、クラウド版電子薬歴サービスの特長を次のように話します。
「クラウド版電子薬歴サービスでは、複数の特許技術を用いて、しっかりとした服薬指導をスピーディーに行えるように開発しました。例えば“患者タイムライン”という機能は、患者さんに関する情報について分野を横断して時系列に表示することができるMDSOLの独自機能です。患者さんの状況を素早く把握できるとして高い評価を得ています」

三菱電機ITソリューションズ
株式会社
流通・ヘルスケア事業部
ヘルスケア営業部
ヘルスケアソリューション
営業第一課
中島 美由紀氏

そのほかにも、データベースに基づいて指導を支援する服薬指導ガイド、患者の疾患に適したコミュニケーションを支援する共感指導などの独自機能があります。ヘルスケア営業部ヘルスケアソリューション営業第一課 中島美由紀氏は、お客様からの評価を次のように語ります。
「すでに導入されたお客様からは、ユニバーサルデザインを採用した現代的で見やすい画面がとても好評です。クラウド環境に抵抗のあるお客様もいらっしゃいますが、複数店舗間の情報連携や訪問先からアクセスできるといったクラウドのメリットを評価してくださるお客様が急速に増えている印象があります」(中島氏)

生成AIを活用した服薬指導・薬歴作成のAIアシスタント機能を開発

MDSOLでは、クラウド版電子薬歴サービスの新機能として、生成AIを活用した服薬指導・薬歴作成のAIアシスタント機能を開発しました。
AIアシスタント機能は、 薬剤師が患者に行った服薬指導の会話をテキスト化し、薬歴記載の標準フォーマットであるSOAP形式に変換して自動的に記録します。これにより、薬歴作成の時間を大幅に短縮します。指導結果の要約をサマリとして生成することもできます。
さらに、AIは服薬指導の充実にも寄与します。AIアシスタント機能は患者の過去薬歴や付帯情報を読み込み、MDSOL が保有する豊富な薬学データベースの情報を基に、患者ごとに最適な服薬指導のポイントを提案します。これにより、薬剤師はAIから提案されたポイントに沿って患者と対話をすることで、正確で的確な服薬指導が可能になります。
「患者さんにこのようなことを聞いてみると良いですよ、というサジェストができるのは、他社製品にはない機能です。AIアシスタントは、患者さんとの対話に不慣れな新人から経験豊富なベテランまで、幅広いレベルの薬剤師をサポートします」(園田氏)

AIアシスタントの画面
AIアシスタントの画面

東大発ヘルスケアAIベンチャーmediLab社との提携で高機能・高信頼のAI機能を開発

医療分野における生成AIの活用には、安全面や情報の正確性などに最大限の配慮が求められ、その分野に特化した技術やノウハウが求められます。そこでMDSOLでは、東京大学発ヘルスケアAIベンチャーであるmediLab社と業務提携しています。
「mediLab社はAIを活用した処方箋入力支援システムを開発してきており、保険薬局業務向けにAI技術を活用した業務負荷の軽減に貢献してきました。また、大規模言語モデル(LLM)についての技術を保持しており、保険薬局の業務効率化の分野で多くの実績があります。同社との業務提携により、より高度で信頼性の高い薬歴の自動生成や服薬支援機能などを開発していきます」(椎橋氏)
「その他にも、生成AIが虚偽の情報を生成してしまうハルシネーションという現象を、専門知識を含んだ別のデータベースを与えるRAG(Retrieval-Augmented Generation)という手法で改善する開発もmediLab社と進めています」(園田氏)

新技術を活用した先進のサービスの提供を推進

クラウド版電子薬歴サービスのAIアシスタント機能は2025年1月のリリースを予定しています。さらに、今後は薬歴記録や服薬指導だけでなく、経営者向けの機能や在庫管理など幅広い分野で生成AIを活用することを計画しています。
「お客様からは、MDSOLに対して最先端の技術を活用したサービスの提供が期待されていると感じます。保険薬局のあり方が変わっていくなか、私たちもその変化に合わせて生成AIをはじめとする新技術を活用して先進のサービスを提供していたいと思います」(中島氏)

第57回 日本薬剤師会学術大会 埼玉大会に出展し、AI機能の拡充をアピール

三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL)は、9月22、23日に埼玉県・大宮ソニックシティ/さいたまスーパーアリーナ/パレスホテル大宮で開催された「第57回 日本薬剤師会学術大会 埼玉大会」に出展しました。
「薬局大航海時代 第2章 ~AIと進む未来の薬局~」という出展コンセプトのもと、薬局DXを実現する各種ソリューションを紹介しました。中でもクラウド版電子薬歴サービスのAIアシスタントのデモは来場者の大きな注目を集めました。

第57 回 日本薬剤師会学術大会 埼玉大会に出展しAI機能の拡充をアピール

記事について

この記事は、情報誌「MELTOPIA」No.270(2024年12月発行)に掲載されたものを転載しました。

次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」クラウド版電子薬歴サービスのご紹介

次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」は、政府が推進する医療DXの実現に向けて、様々な保険薬局向けシステムをクラウドサービスとして統合し、新たにリリースいたしました。
その第一弾としてリリースされた「クラウド版電子薬歴サービス」は、「しっかり」「スピーディー」「繋がる」の3つをコンセプトに、レセコン一体型でシームレスな連動を実現。誰が使用しても感覚的に操作しやすいユニバーサルデザインを採用し、画面をシンプルに構成しながらも、患者さんの状況に応じて必ず指導・確認が必要な箇所に赤マークを表示すること(特許出願済)で漏れなく、スピーディーに効率的な服薬指導をサポートします。
また、より詳しい指導が必要な患者さんには、過去の処方比較はもちろんのこと、患者タイムラインやグラフ薬歴、バイタルグラフ、フォローアップ、指導箋などの充実した機能で、患者さんの服薬をサポートするとともに、患者さんとの繋がりを強化します。
薬局・薬剤師への期待の高まりと共に、薬局の業務領域は拡大の一途をたどっていますが、当社は製品やサービスの提供を通して、薬局の変化をサポートして参ります。製品詳細やご質問などございましたら、「クラウド版電子薬歴サービスのお問い合わせフォーム」よりお気軽にご連絡ください。

保険薬局に今求められる、患者様とのコミュニケーションや業務効率化を実現『クラウド版電子薬歴サービス』

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