保険薬局のDXを支援する、次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」。第一弾としてクラウド版電子薬歴サービスの提供を開始
公開:2023年12月20日
三菱電機ITソリューションズ株式会社は、「調剤Melphin/DUO」をはじめとした保険薬局向けシステムを開発・提供しています。今回、政府が推進する医療DXの実現に向けて、様々な保険薬局向けシステムをクラウドサービスとして統合する次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」を開発し、その第一弾としてクラウド版電子薬歴サービスを2023 年6月より提供を開始しました。電子処方箋を軸とした各種医療情報の一元管理により、地域における健康管理の中核プラットフォームを担う保険薬局を支援します。
保険薬局向けシステムをクラウドサービスとして統合
AnyCOMPASSは、三菱電機ITソリューションズが有する様々な保険薬局向けシステムを統合し、クラウドサービスとして提供する次世代コミュニケーションサービスの新ブランドです。
流通・ヘルスケア事業部 ソリューションプロモーション&エンジニアリングセンター プロフェッショナルの重富健二氏は「ひとつのプラットフォームにシステムを統合することにより、データ連携がより容易かつシームレスになり、ビッグデータとしての活用が可能になります。また、クラウド上にデータを一元化することで、チェーン内の薬局間でのデータ共有も可能になります」と語ります。
保険薬局を取り巻く環境は大きく変化
求められるのは提供する価値の向上
AnyCOMPASSを開発した背景には、近年の保険薬局を取り巻く環境の変化があります。国の制度改定や消費増税などにより、多くの保険薬局は厳しい経営環境に置かれています。一方、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の改正により、保険薬局は一定の条件を満たすことで地域の医療機関などと連携する「地域連携薬局」や、がんなどの専門性が高い疾患の薬学管理に対応する「専門医療機関連携薬局」等の認定を受けられるようになりました。患者から選ばれるためにも、薬局の価値を上げる必要に迫られています。
こうした中で、薬局DXや、業務効率化の観点からクラウドシステムへのニーズが高まってきています。
流通・ヘルスケア事業部 薬歴クラウドプロジェクトの園田康博氏は次のように語ります。
「調剤報酬の制度改定では、薬剤師に対して、対物業務より対人業務への比重が高まっており、対物業務は効率化して患者さんとのコミュニケーションを重視する傾向にあります。典型的なのが2016年に始まった『かかりつけ薬剤師制度』です。かかりつけ薬剤師制度では、24時間対応や、患者さんの自宅に出向く在宅医療の対応が求められています。こうした変化から、薬局の外部からでも利用可能なクラウドサービスにスポットが当たるようになりました」
少子高齢化社会の本格化に伴い地域包括ケアシステムの構築が求められている中、保険薬局はこれまでの“薬を渡す場所”から、“地域における健康管理の中核プラットフォーム”への進化が期待されています。三菱電機ITソリューションズでは、薬局DXに求められるサービスの強化を進めています。その第一弾となる「クラウド版電子薬歴サービス」は、単なる薬歴管理だけでなく、“地域医療のコミュニケーションツール”として、保険薬局を支えるシステムと考えています。
流通・ヘルスケア事業部 ソリューションプロモーション&エンジニアリングセンターの大北麻未氏は「電子処方箋の運用が始まり、医療機関、薬局、患者さんが繋がり始めています。そこで、電子処方箋のネットワーク基盤により、場所を選ばないコミュニケーションを実現するため、まずはクラウド版電子薬歴サービスをリリースすることにしました」と語ります。
必要な情報をシンプルに表示するクラウド版電子薬歴サービス
AnyCOMPASSの第一弾となるクラウド版電子薬歴サービスは、「しっかり」「スピーディー」「繋がる」の3つをコンセプトとしたサービスです。オンプレミス版の「Melhis」からユーザーインターフェースを一新し、グリーンを基調としたユニバーサルデザインを採用して直観的に操作ができるように設計しています。
3つのコンセプトを象徴しているのが投薬指導の画面です。処方変化・患者情報・過去の薬歴など、必要な情報をひとつの画面上にシンプルに表示します。さらに監査チェック、副作用指導・検査値・ハイリスク薬・コンプライアンス状況などを踏まえて、指導・確認が不可欠な個所には一目で確認ができるように赤マークを表示して通知します。
「赤マークを確認することで、服薬指導漏れを防止しつつ、スピーディーな薬歴作成を実現し、電子薬歴としても十分な指導記録が残せるようになります。赤マークの表示は三菱電機ITソリューションズのオリジナル機能で、現在特許を出願中です」(園田氏)
電子薬歴サービスとして、「指導」を重視している点も特長のひとつです。
「当社では、調剤後も患者さんが継続的に薬物療法を受けられるように支援する『フォローアップ』、病態によって必要な指導をナビゲートする『服薬指導ガイド』、疑義照会の履歴や患者さんとのやり取りを時系列に表示する『患者タイムライン』などの機能で特許を取得しています。クラウド版電子薬歴サービスはこれらの特許技術をベースに開発とサービス化を進めました」(重富氏)
さらに、共感指導の機能(特許出願中)を新たに開発中で近日中に提供できる予定です。共感指導とは患者さんと対話でヒアリングを行うことで問題点を把握し、適切な指導箋を提示するもので、大阪医科薬科大学の中村敏明教授の監修指導のもとで開発しました。
「近年は患者さんにも積極的に治療に参加してもらうアドヒアランスという考え方があり、薬剤師には聞き出す能力が求められます。共感指導の機能を活用することで、経験の浅い薬剤師でも正しく問題点を掘り起こし、適切な指導箋を用いた指導ができるようになります」(園田氏)
在庫管理、経営分析など薬局DXに必要なサービスを拡張
クラウド版電子薬歴サービスの導入期間は約1ヵ月です。ネットワーク環境の構築も含めて、三菱電機ITソリューションズが支援します。ネットワークは3省2ガイドラインに準拠しており、セキュリティー対策も万全です。
「業界標準のデータフォーマットに対応しますので、Melhisからの移行だけでなく、他社の電子薬歴システムからの移行にも対応します」(大北氏)
クラウド版電子薬歴サービスから提供を開始したAnyCOMPASSは、今後は順次、在庫管理、経営分析といった本部機能など、薬局DXに必要なサービスを拡張していく予定で、政府が推進する医療DXに歩調を合わせて進んでいきます。
「オールインワンサービスとしての機能強化を続け、電子処方箋の連携やマイナンバーカードとの連携等も順次組み込んでいく予定です。引き続き製品やサービスの提供を通して、薬局DXの実現をサポートして参ります」(重富氏)
記事について
次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」クラウド版電子薬歴サービスのご紹介
次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」は、政府が推進する医療DXの実現に向けて、様々な保険薬局向けシステムをクラウドサービスとして統合し、新たにリリースいたしました。
その第一弾としてリリースされた「クラウド版電子薬歴サービス」は、「しっかり」「スピーディー」「繋がる」の3つをコンセプトに、レセコン一体型でシームレスな連動を実現。誰が使用しても感覚的に操作しやすいユニバーサルデザインを採用し、画面をシンプルに構成しながらも、患者さんの状況に応じて必ず指導・確認が必要な箇所に赤マークを表示すること(特許出願済)で漏れなく、スピーディーに効率的な服薬指導をサポートします。
また、より詳しい指導が必要な患者さんには、過去の処方比較はもちろんのこと、患者タイムラインやグラフ薬歴、バイタルグラフ、フォローアップ、指導箋などの充実した機能で、患者さんの服薬をサポートするとともに、患者さんとの繋がりを強化します。
薬局・薬剤師への期待の高まりと共に、薬局の業務領域は拡大の一途をたどっていますが、当社は製品やサービスの提供を通して、薬局の変化をサポートして参ります。製品詳細やご質問などございましたら、「クラウド版電子薬歴サービスのお問い合わせフォーム」よりお気軽にご連絡ください。
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