サーベイとは?目的や主な種類から実施時におさえるべきポイントまで

テレワーク導入などの影響を受けて、従業員の様子や組織に対する意識を把握しにくくなっている現在、サーベイの活用に関心を示す企業が増えています。サーベイを有効に活用することで、企業の現状を明確に把握でき、理想とする状態への改革を進めることが可能になります。

本コラムでは、サーベイの目的やポイントを解説し、基本的な実施フローもご紹介します。企業の現状を見える化し、よりよい組織の構築を目指したい経営者・人事部の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

このコラムを読んで分かること

  • サーベイの概要と主な4つの種類
  • サーベイを実施する6つのフロー

【目次】

  • サーベイとは?
  • サーベイを行うときにおさえるべき5つのポイント
  • サーベイの基本的な実施フロー
  • まとめ

サーベイとは?

近年では、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、テレワークを導入する企業が増加しています。テレワークの導入により、対面でのコミュニケーションが減っており、従業員の状況やどのような問題が発生しているのかが分かりづらく困っている経営者・上司も多いのではないでしょうか。

また、労働人口の減少による深刻な人材不足や、企業間の競争による人材の流動も激化しおり、企業は優秀な人材の確保や定着のために、持続的によい組織作りに取り組むことが求められています。
こういった様々な背景もあり、従業員満足度を可視化できる「サーベイ」が今、注目されています。

では、「サーベイ」とは何なのでしょうか。
サーベイとは、物事の全体像や実態を把握するための調査のことを指します。ビジネスにおけるサーベイの多くは、従業員が自社に対してどのような課題を持っているかを調査するために行われます。また、企業の現状を数値データとして把握し、組織としての課題を見出すことも、サーベイの目的のひとつです。
職場内の人間関係や業務に対するモチベーションなど、通常では定量的に把握しにくいことをデータ化できることがサーベイの最大の利点といえます。

サーベイと「リサーチ」「アンケート」の違い

サーベイとリサーチは「調査する」という意味では同じですが、調査の対象が異なります。
サーベイは物事の全体像を把握するために、従業員全員やなるべく多くの人を対象にします。それに対して、リサーチは特定の条件を満たす層をより深く理解するため、限られた人を対象に行います。
アンケートも同じ意味で使われることがありますが、厳密な定義は異なります。アンケートは、多くの人に同じ質問をして回答を求める調査方法のことで、サーベイを行うための手段のひとつです。

ビジネスにおけるサーベイの主な種類

サーベイには、目的やスパンなどに応じて、いくつかの種類が存在します。ここでは、ビジネスでよく使用されるサーベイについて、いくつかご紹介します。

従業員サーベイ

従業員サーベイとは、職場環境や職場内の人間関係、従業員と企業との関係性が良好かどうかなど、企業と従業員の現状を把握するために行われる調査のことです。従業員満足度調査も、従業員サーベイに含まれています。
従業員サーベイを行うことで、企業の問題点を客観的に把握することができ、解決法や対応策を見出すことができます。組織改善を目的として行うことが多く、従業員満足度や生産性の向上、離職率の改善などに効果があるとされています。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、従業員が企業や商品に対してどれくらい愛着心を持っているのかを調査するものです。従業員の本音を把握できるため、改善すべき職場の課題を具体的かつ明確にできます。従業員のエンゲージメントの向上を目的として実施されることが一般的です。

パルスサーベイ

パルスサーベイとは、1週間〜1カ月に1回といった短いスパンで、簡単な質問を繰り返し行う調査手法のことを指します。
調査を頻繁に行うことで、従業員の変化や企業の抱える問題をリアルタイムに把握できる点が特長です。また、大きな問題や課題に発展する前にその原因を見つけることができる点も特長です。
パルスサーベイを定期的に行うことで従業員が自分を見つめ直す機会となり、自己分析や改善をするきっかけになる点もメリットといえます。
従業員サーベイが年1~2回行う人間ドックのようなイメージに対し、パルスサーベイは定期検診のイメージに近いと考えるとわかりやすいと思います。

モラールサーベイ

モラールサーベイとは、従業員のモラールを測定する調査手法のことです。モラールとは、組織として目的を達成しようとする「意欲」や「士気」を意味しており、職場環境や待遇・人間関係などによって左右される感情を指します。
経営目標の達成には、従業員のパフォーマンス向上が必要です。そして、従業員のモラールの高さがパフォーマンスの向上と大きく関係していると言われています。
つまりモラールサーベイは、どのような要素が従業員のパフォーマンス向上に影響するのかを調査するだけでなく、モラールを低下させている課題や問題点を浮き彫りにすることで、パフォーマンス向上につなげることを目的として行われます。

サーベイを行うときにおさえるべき5つのポイント

サーベイは実施方法や頻度を誤ると、従業員の不満を招き、不信感を与えるリスクがあります。そのため、ポイントをおさえて正しい手順で進めることが大切です。
ここからは、サーベイ実施におけるポイントをご紹介します。

(1)サーベイの実施目的をあらかじめ従業員に伝える

従業員に対して事前に、実施の背景やサーベイの目的、意義を説明しましょう。調査を何のために実施するのか、そしてその結果はどのように使用するのか、分かりやすく説明し、従業員に調査の重要性を理解してもらいます。
また、適切な説明を行い、従業員の理解を得たうえで実施することが、有効な調査結果を得ることにつながります。

(2)従業員の本音を聞き出せる質問設計にする

質問設計を行う前に、サーベイの目的を明確化しておく必要があります。その目的を踏まえたうえで、質問を設計することが重要となってきます。

次に、質問を作成する際のポイントを説明します。

  • 質問内では、公平公正な表現を使用する
  • 前回のサーベイと同じ質問項目を適量含める

企業の求める回答に誘導するような表現は、適切とは言えません。公平公正な表現を使用し、従業員の本音を聞き出しましょう。また、結果の定点観測を行うために、前回と同じ質問項目を適量含めることも効果的です。サーベイによって判明した課題が、しっかりと解決に向かっているかを確認できるようになります。

(3)匿名回答のできる環境を提供する

サーベイで正しい課題を見つけるためには、「従業員からの率直な意見」が大切になります。多くの従業員は、記名式のサーベイに対して、「人事評価に影響しないか」「上司の目が気になる」などの不安を持っています。そこで、従業員の不利益にならないように匿名で実施し、個人が特定されないような配慮をすることが大切です。

(4)負担にならない実施頻度・回答期間にする

サーベイは組織改善に役立ちますが、頻度が高すぎると業務に支障をきたし、従業員の不満を招く原因になります。そこで、従業員の負担にならないように頻度やタイミングを考えて実施することも重要です。
また、回答期間が短すぎることも、従業員は負担に感じることがあります。余裕を持った回答期間を設定し、従業員のストレスを軽減しましょう。

(5)調査・分析結果を社内全体に共有する

サーベイを実施しただけで満足し、フィードバックを怠ると従業員の不満を生む要因の一つとなります。「調査の意味があるのか」「改善を実感できない」などの従業員の声をよく耳にします。このような不満があると、従業員の協力を得ることができず、サーベイの質も低下してきます。

サーベイを実施した後は、できるだけ速やかに回答結果を分析し、問題や改善点を探しましょう。そして、発覚した問題や今後の改善点は、社内全体に共有・フィードバックすることが重要です。
分析結果の公表を怠ること、発覚した問題を隠すことは、従業員の組織に対する信頼を損なってしまう原因となります。分析結果の善し悪しに関わらず速やかに結果を公表し、よりよい状態への改善を図りましょう。

サーベイの基本的な実施フロー

サーベイを実施するには、前段でもご紹介した通り最初に目的やゴールを設定し、意図を明確にしたうえで行う必要があります。目的が明確でないと、問題を見つけることや解決策を講じることもできません。
まずは、サーベイを主導するメンバーで、どのような課題を解決したいのか目的を明確にし、共有しましょう。メンバー間で課題や目的を共有した後は、以下のステップで進めていきます。

【1】仮説の設定 組織の抱える課題の原因や解決方法について、仮説を設定する
【2】質問設計・実施方法の検討 仮説を検証するための質問項目、サーベイの実施頻度や方法を検討する
【3】サーベイの実施 従業員に事前告知した後、サーベイを実施する
【4】回答結果の分析・振り返り 仮説と現状の整合性を確認するとともに、対応方針を決定する
【5】分析結果の公表 調査・分析結果や、今後の改善点を社内全体に公表する
【6】改善の実施 発覚した問題の改善を日々実施する

サーベイを効果的に機能させるためには、【1】〜【6】のステップを繰り返し、PDCAサイクルを回すことが大切です。目的に応じた適切な頻度で定期的にサーベイを実施し、組織の改善につなげてください。

まとめ

ここまで、サーベイの目的やポイント、基本的な実施フローを解説してきました。改めて今回のポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • ビジネスにおけるサーベイとは、原則すべての従業員を対象として実施する問題意識の調査
  • サーベイを効果的に機能させるためには、事前に目的を説明し、匿名回答できる環境を提供することが必要
  • 従業員の負担にならない実施頻度・回答期間を設定し、ストレスを軽減することも大切

サーベイは、企業の現状を明らかにし、理想とする状態へ改革するための有効な手段といえます。今回の内容を参考に、ぜひサーベイを有効に活用し、よりよい組織や企業経営を目指しましょう。

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