「五月雨式」とは?意味・ビジネスにおける使い方と例文を解説!
公開:2021年11月10日
主にビジネスシーンで使用されている「五月雨式(さみだれしき)」という言葉。五月雨のイメージから意味や使い方はなんとなく想像できるものの、具体的にはわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「五月雨式」は、正しい意味を知っておくと便利な言葉とも言えます。
そこで本コラムでは、五月雨式の意味から由来・語源、正しい使い方、そしてビジネスシーンにおける例文など、まとめて解説します。
このコラムを読んで分かること
- 五月雨式の由来と正しい使い方、間違った使い方
- 五月雨式と矢継ぎ早の違い
五月雨式とは?
「五月雨式」とは、「物事が一度では終わらずに、だらだらと続くこと」を意味する言葉です。「五月雨」と「式」を組み合わせた言葉であり、「さみだれしき」と読みます。
五月雨の読みには「さつきあめ」もありますが、五月雨式の読みは「さみだれしき」が一般的です。
五月雨式は主にビジネスシーンで使用されることが多く、日常会話の中ではあまり使わない言葉です。また、五月雨式と表現することで、相手からの返事を待たず立て続けに連絡・報告が可能なため、会話の中で使われるよりもビジネスメールやチャットでの使用が多い言葉といえるでしょう。
自分の立場や相手の年齢・性別を問わずに使用できる、便利な言葉とも言えます。
なお、「五月雨式」はあくまでも立て続けに物事が行われる状況を表す言葉であり、相手への謝罪を示す意味は含まれていません。ですので、謝罪の意味を含めたいときには「五月雨式に失礼いたします」のように、謝罪の意味を持つ言葉と組み合わせて使用します。
五月雨式の由来・語源
五月雨式の由来・語源は、まさに「五月雨」にあります。
五月雨は、旧暦の5月頃(おおよそ現代の6月)に降る長雨のことです。現代の6月頃に降る長雨といえば、日本人にとって馴染み深い梅雨のことを指します。
梅雨の時期は、雨が途切れたりしつつも、しばらく降り続くイメージがあるかと思います。そんなしとしとと降り続く雨になぞらえて、仕事の連絡・報告がだらだらと続いてしまう状況を、「五月雨式」という言葉で表すようになりました。
五月雨という漢字があたっているため、5月に降る雨のことだと考える人も多いかもしれませんが、五月雨と現代の5月に降る雨は関係がありません。
ビジネスシーンで役立つ!五月雨式の使い方
さて、あなたがビジネスシーンの中で「だらだらと何かが続く状態」となった場合を想像してみましょう。
ビジネスシーンにおける五月雨式な状態とは、あまりよろしくない状態であると考えられます。もしかしたら、相手を不快な気持ちにさせてしまう場合も考えられますよね。
しかし五月雨式は、謝罪の言葉と組み合わせることで、相手の不快な気持ちを和らげる効果が期待できる美しい日本語です。
自分の置かれた悪い状況を、少しでも良い印象に変えることができるよう、正しい使い方を学んでおきましょう。
五月雨式の具体的な例文
ここからは、ビジネスシーンにおける五月雨式の使い方を3つに分けて、具体的な例文も交えて解説します。相手から五月雨式と伝えられた際の対応方法も紹介しますので、参考にしてみてください。
(1)五月雨式に連絡・報告するシーン
取引先など先方に対して仕事の連絡や報告メールを送った後、続けて補足する形で追加メールを送ったことはありませんか?
本来は一通のメールで済ませるべきところを、立て続けにメールを送信する場合に「五月雨式」が使えます。追加メールを送る際の冒頭に、以下のように謝罪の言葉を添えて使用します。
「五月雨式に失礼いたします」 |
「何回にも分けてメールをお送りし、お手間を掛けさせてしまって申し訳ございません。」と表現するよりも、スマートな印象を与えることができます。
(2)五月雨式に納品するシーン
受注者側が受注した商品や作業を指定納期通りに納品できず、順次納品することが前もってわかっている場合にも、五月雨式が活躍します。
「五月雨式の納品となりますことを、心よりお詫び申し上げます」 「完成次第、五月雨式に納品いたします」 |
五月雨式という言葉を用いることで、このメッセージを受け取った側は複数回にわたって納品されるのだな、ということがわかります。
(3)五月雨式に納品を依頼するシーン
先程ご紹介した2つの例文は、一般的に使われる謝罪の面が強い例文ですが、ネガティブな場合以外でも用いるシーンがあります。
例えば、発注した商品を順次流通ルートへと乗せたい場合、下記のように納品方法を提示して受注者側に合意を求めることもできます。
「五月雨式で問題ございませんので、完成したものから納品いただけますと幸いです」 |
また、上記3つのシーン以外にも、五月雨式は以下のようなシーンで使われます。
「五月雨式に恐縮ですが、最後の質問をさせていただきます」 「五月雨式に会議が開かれており、スケジュールが逼迫しております」 |
なお、五月雨式を「五月雨」と略して使用することはできませんので、略さずに使用しましょう。
五月雨式を先方から伝えられた際の対応は?
あなたが受け取ったメールの文章に「五月雨式」と入っていた場合は、相手から複数回にわたって何かが行われることを理解した上で、対応すると良いでしょう。
受け取ったメール文:商品が完成次第、五月雨式に納品いたします あなたが返信する際:順次確認いたします 受け取ったメール文:本件の資料は、五月雨式にお送りさせていただきます あなたが返信する際:資料が揃いましたら返信いたします |
このように回答することで、一つひとつのメールに都度返信する必要がなくなり、先方もメール確認の手間が省けます。
五月雨式の類語と言い換え
五月雨式の類語に「矢継ぎ早」があります。ビジネスメールを立て続けに送信する際に、「矢継ぎ早に失礼いたします。」と使用した覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は「五月雨式」と「矢継ぎ早」は、厳密には意味が異なる言葉です。そのため、ビジネスで使用する際は、意味を理解した上で使い分けることをおすすめします。
そもそも「矢継ぎ早」とは、「矢継ぎが早く、続けざまに矢を射ること」を意味する言葉です。「矢継ぎ」とは、矢を射った後に続けて次の矢を弓へと番えることを指しており、その矢継ぎが早い様子を指してそのさまを「矢継ぎ早」と言うようになりました。
つまり、2つの言葉が持つ意味を簡単に比較すると下記の通りです。
言葉 | 意味 |
---|---|
五月雨式 | 物事が一度では終わらずにだらだらと続くこと |
矢継ぎ早 | 物事が次から次へと素早く続くこと |
どちらも「物事が続く」と似たような意味を持っていますが、物事が続く早さが大きく異なります。五月雨式は物事が間で途切れながらもだらだらと続きますが、一方の矢継ぎ早は物事が短い間に次から次へと素早く続きます。
では、2つの言葉の違いを理解した上で「矢継ぎ早に失礼いたします」とメールを送信した際の状況と、メールを受け取った相手の心境を考えてみましょう。
あなたが間髪入れず矢継ぎ早にメールを送信したい場合、恐らくあなたは相手に急ぎ行動を起こしてもらいたいと思っているはずです。そして、矢継ぎ早にメールを受け取った相手は、急ぎの行動を促されていると感じるでしょう。
つまり、「矢継ぎ早に失礼いたします」は、相手に行動を催促するニュアンスがあり、相手を不快な気持ちにさせることもあるのです。
そのため、相手に対して急ぎ行動を促す必要がない場合には、「五月雨式に失礼いたします」を使用したほうが良いでしょう。
五月雨式の言い換え言葉としては、下記の言葉も挙げられます。
|
いずれの言葉も少し軽い印象を与えたり、ニュアンスが微妙に異なったりします。ビジネスシーンにおいては、やはり五月雨式という言葉を使用することがおすすめです。
まとめ
ここまで、五月雨式の意味や語源、使い方から言い換えまで解説してきました。改めて、今回のポイントをまとめます。
<このコラムのPOINT>
- 五月雨式は「物事が一度では終わらずにだらだらと続くこと」を意味する
- 立て続けにメールで連絡、報告するときなど、ビジネスシーンで主に使用されている
- 五月雨式と謝罪の言葉を組み合わせると、相手の不快な気持ちをカバーできる
- 五月雨式の類語や言い換えは多いが、ビジネスシーンでは五月雨式を使用したほうがよい
五月雨式は、謝罪の言葉と組み合わせることで、相手の不快な気持ちを和らげる効果が期待できる便利な言葉です。ビジネスシーンの中で使用すれば、スマートな印象を与えることもできるでしょう。
もちろん五月雨式な状況にならないことが望ましいわけですが、もしもの時に使える言葉として、ぜひ覚えていただけると幸いです。
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