製造業DX推進の課題と成功へのポイント

ボーダーレス化が進む世界の製造業との競争を勝ち抜くには、DX推進による「新規デジタルビジネスの創出」および「デジタル技術の導入による既存ビジネスの付加価値向上(個社の強みの明確化・再定義)」による全社的な収益向上が求められています。

DXを成功させるには経営者がリーダーシップをもってDX推進をリードし、社員にDXの必要性やメリットを理解させたうえで、全社を挙げてDXに取り組んでいくことがDX成功に欠かせません。

今記事では、DXが必要な背景を改めて考察し、DX推進の課題および解決方法、中小企業におけるDX事例、DX推進の知見を持つベンダーによる外部支援の必要性に触れながら、DX成功へのポイントを紹介していきます。

【目次】

  • 製造業にDXが必要な背景を考える
  • 製造業DX成功への課題
  • 製造業DX課題の解決方法
  • まとめ

製造業にDXが必要な背景を考える

絶え間ないITの進化により、ビジネスは大きな転換期を迎えています。多様化するニーズ、採用難による担い手不足を背景にしながら、複雑化したビジネスで結果(収益)を残すには、デジタル技術の導入=DXの推進による「新規デジタルビジネスの創出」と「既存ビジネスの付加価値向上」が欠かせません。

DXの必要性は製造業でも高まっており、DX推進は今後の会社経営を大きく左右します。まずは、その背景について考察していきましょう。

顧客や社会ニーズの変化

スマートフォンアプリやSNSが広く普及し、人々の生活様式においては最早デジタルの活用が当たり前になりました。

企業活動も同様で、デジタルの導入が積極的に推進されています。身近な例としては、SNSを活用した広報活動や採用活動、デジタルマネーを利用した給与の支払いなど、今後も社会全体でデジタル化が加速していくことでしょう。

デジタルを活用した社会の変化に対応するには、製造現場においてもデジタルを積極的に導入し、生産活動の効率化による生産性向上および従業員満足度向上による成長を目指す必要があります。

デジタルを活用した従業員満足度向上への施策例

<1>作業日報のデジタル化
作業内容や生産時の問題点を記入する作業日報。スマートフォンやタブレットを導入しデジタル化することで作成時間の短縮や管理が容易になります。

<2>作業指示をシステムで共有
交代制の作業現場では、次作業班への申し送りに時間を要してしまい、残業が生じる場合があります。作業内容をスムーズに引き継げるよう、グループウエアなどのシステムを導入すれば作業指示を共有しやすく、就労時間の短縮にも効果的でしょう。

<3>IoTの活用による生産管理システムとの連携
製造機器の稼働状況を数値化する際に、目視や手元での計算からIoTを活用した生産管理システムの連携を実現することで、正確かつスピーディな対応が可能です。

人手不足の解決と技術・ノウハウの継承

日本では少子高齢化による、生産人口の減少が続いています。製造現場も例外ではなく人材不足が深刻化しており、外国人技能実習生に頼る企業も少なくありません。優秀な外国人技能実習生は、世界中で取り合いになっている状況です。

日本の製造業は、世界トップレベルの技術力を持つ企業があります。一方で、特に中小企業では特筆すべき技術を持つ熟練技巧工の高齢化が進み、高いレベルを持つものづくりの技術やノウハウが途絶えかねない状態に陥っています。

その解決策として、ものづくりを支えてきた熟練工の“技”や“ノウハウ”を数値化しAIやロボットに反映するなど、製造現場での省人化と並行して技やノウハウの継承にDXが活用できます。

ボーダーレス化した世界の中で淘汰されないよう、DX推進による技術の継承や生産性向上は必要不可欠です。

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製造業DX成功への課題

DX推進が急がれる一方で、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの存在や既存システムを熟知した IT 人材の引退、旧OSのサポート終了をはじめとした“2025年の崖”まで時間がありません。

ここでは、こうしたDX推進を阻む課題について解説します。

経営者のリーダーシップ

経済産業省が2022年7月に公表した『DXレポート2.2』では「DX推進にあたって、経営者はビジョンや戦略だけではなく、「行動指針」を示すこと」と、記されています。DX推進を単に社内の一部門・部署に限定してしまえば、社内で意識を共有しきれず、思ったような効果が得られません。

DXを成功させるには、経営者がリーダーシップを発揮しながら、自社の経営方針に「DX推進」と明記するなど全社一丸となってDXを推進できるように、組織改革や設備投資を強く進めていくことが重要となります。

デジタルへの投資

『DXレポート2.2』によると、DX推進の投資内訳は現状「既存ビジネスの効率化が中心」と指摘されており、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)による『企業IT動向調査報告書2023』でも同様に「現行ビジネスの維持・運営にIT予算を75~80%配分している」と報告されています。

このことから、現状では「自社の強みを明確にして、新規ビジネスを創出する」というDX本来の目的まで至っていない企業がまだまだ多く、デジタイゼーションすら進んでいない企業もある状況下では、デジタル投資が積極的に実施されていない状況です。

DX人材の不足

DXは自社のビジネスをデジタル技術で改善し、新たなビジネスの創出を目指します。そのため、自社のビジネスをよく理解しデジタル技術にも詳しい人材が必要不可欠です。

しかし、DXの成功に必要なデジタル人材の育成は多くの時間を要します。デジタル分野の高度な知見やスキルを持つ外部ベンダーなどの活用を検討すると共に、社内外をコーディネートしながらDXを進められる人材の育成が重要となるでしょう。

製造業DX課題の解決方法

ITを筆頭にデジタル活用が進む今、製造業もDX推進の必要性が問われています。

一方、DXへの取り組みが生産性や品質の向上・コスト削減・顧客満足度の向上といった、既存ビジネスの効率化・省力化に留まる企業もあり、DX本来の目的を達成するには解決すべき課題が多くあります。その課題の解決方法を解説していきます。

経営者と社員が変革の必要性を理解する

DXの成功には、DX本来の目的である「自社の強みを発見し、磨くことによるビジネスの強化」や「新規ビジネスの創出」の実現に向け、DXの必要性を社員に理解させることが大切です。

DX推進の過程では、作業の省人化による業務プロセスや役割の変更に伴い、従業員が不安や不満を抱えてしまい、協力を得にくい事態も想定されます。だからこそビジョンや経営戦略にDX推進を明記し、全社一体となり根気強くDX進めていくことがDX成功への近道となるでしょう。

ビジネスモデルを変革するという視点でDXを構想する

海外では、新たな産業革命として象徴的なアメリカの「インダストリアル・インターネット」やドイツの「インダストリー 4.0」が代表するように“製造業のサービス化”が加速。製造業は今、『モノ』から『コト』にビジネスモデルを転換する必要性が高まっています。

日本における製造業も、こうした世界的な流れを踏まえ、モノからコトへビジネスモデルの転換に取り組んでいます。

例えば、建設機械・鉱山機械メーカーの国内大手企業では、販売する車両にGPSや通信システムを搭載。車両から送信されたデータをサーバに蓄積し、盗難防止・燃費向上支援・故障予防に役立てる情報サービスを提供しています。

しかし、DX推進による新規ビジネスの創出は大企業に留まりません。ここからは、地方の中小企業が行ったDXの事例をご紹介します。

中国地方にあるK社の事例

金属加工において独自の技術を誇るK社は機械部品の受注・製造を営む企業で、従業員数十名の小規模事業者です。

K社は、受注・請求・発注・設計・製造指示・生産報告までの各プロセスにおける作業を紙ベースで行なっていました。過去に製造実績のある部品に近い、新たな部品の製造を受注した際には、紙でファイリングされた膨大な量のファイルから部品の設計図を探さなければならず、結局新たに作成を繰り返している状況です。

そこでK社は、ITの導入を決意。過去の製造図面や関連書類をデジタル化してサーバに保存し、検索システムを開発し業務効率化に成功しました。

新たに導入した検索システムは、部品の製造依頼を受けた際にシステムにより過去の類似部品を検索し、当時の見積額・納期・発注品などを瞬時に表示して新たな注文に反映する仕組みです。

システムの導入により、膨大なファイルから該当データを探す時間と新たな部品を作成する時間を短縮。業務効率化により生まれたリソースを活用し、コロナ禍のもとで意識が高まった手洗い習慣に対応する「手洗い装置」を開発。手洗い装置をレンタル販売するサブスクリプション型の新たなビジネスをスタートしたK社は、DX本来の目的である新規ビジネスの創出をしました。

IT人材育成と社内体制の整備

DXの推進には、経営方針や事業・業務の実情を理解している社員でDX推進専門チームを立ち上げるなど、業務部門とIT部門のコーディネートや人材育成に取り組みながら、社内の意思疎通を図る必要があります。

ITが進歩するスピードは速く、DX推進を担える人材の育成には、教育体制の構築が肝要です。しかし、そうした教育体制の構築には時間を要します。そこで、人材育成のノウハウやITの専門知識を十分にもつ外部ベンダーを活用し、自社事業や業務知識を豊富に持つ社員とタッグを組んで育成を図る方法も有効です。

外部の知見を活用

社内のあらゆるデータを経営に活用したDXを実現するために、製造業では社内の情報資源を統合しデータを活用する「ERP(Enterprise Resources Planning)」が推進されています。

基幹業務においてもERPの実現を目的にしたシステムを導入する企業が増えており、ベンダーを活用する環境が整いつつあります。

DXを速やかに実現するには「自社がもつアナログデータを、どう有効的にDX推進の施策に反映するか」など、戦略を考える段階やシステムの要件定義の段階から、豊富な実績・ノウハウをもつベンダーの力を参画させてプロジェクトチームを作るなど、外部の知見の活用も検討しましょう。

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まとめ

DX推進の目的は「新規デジタルビジネスの創出」および「デジタル技術の導入による既存ビジネスの付加価値向上」による収益向上にあるものの、現状ではクリアすべきさまざまなハードルがあります。

十分な知識やノウハウを必要とするDX推進の問題・課題点の解決には、豊富な知見を持つベンダーの活用も一手です。自社の成長スピードを速めていくために、視野を広げて有効手段を見つけていきましょう。

三菱電機ITソリューションズでは、DX推進を支えるソリューションとして『Factory-ONE 電脳工場MF』をご提供しています。

生産業務全般の評価指標であるQCD(品質:Quality・原価:Cost・納期:Delivery)を最適化し、企業利益の最大化に貢献する一元管理のソリューションの導入もぜひご検討ください。

著者プロフィール

善木 誠
経営コンサルタント

経営コンサルタントとして岡山県を中心として活動中。中小企業の生産性向上や業務改善の依頼から新規事業進出の事業計画作成に対応。岡山県産業振興財団・岡山県商工会連合会・中小企業119登録専門家、(一社)日本経営士会経営士・経営支援アドバイザー。

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