複数税率における消費税の申告について
消費税は二度の延期がありましたが、平成31年10月1日から10%に引き上げられ、それと同時に軽減税率制度が導入される予定です。これにより、企業には複数税率への対応が求められます。
そこで今回は、消費税を申告する際の複数税率への対応についてご紹介します。
これまでの複数税率への対応について
平成26年4月1日に消費税が5%から8%に引き上げられた際は、税率が混在する状況でしたが、現在においても消費税の申告に影響を与えているケースがあります。それは、リース契約での対応です。
リース契約では、リース開始時点での税率で仕訳処理をし、申告をします。つまり、リース開始日が平成26年3月31日以前の場合は消費税率を5%で、平成26年4月1日以降は8%での申告となりますので、留意しておきましょう。
また、平成31年10月1日からは、更に10%での取引が始まりますので、場合によっては3つの税率を正しく処理し、申告する必要が出てきます。
軽減税率制度が導入された際の対応
軽減税率制度の導入により複数税率への対応が必要となります。消費税の申告では、税率ごとに区分して税額を計算しなければなりません。
そこで、軽減税率の対象となる品目を確認すると同時に、異なる税率ごとに記帳するなど経理部門での準備が必須となります。
また、仕入税額控除の新しい方式として、平成35年10月1日からは「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入される予定です。
インボイスとは、商品ごとに適用税率や税額を記載した明細書のこと。インボイス方式では、課税事業者はインボイスに記載された税額のみ、仕入額控除が可能になります。
ただ、免税事業者はインボイスを発行しないため、免税事業者からの仕入れについては仕入額控除ができないので注意が必要です。
インボイス方式への変更までには移行期間があります。
平成31年10月1日からの4年間は、現在採用されている「請求書等保存方式」と、税率ごとに区分して記帳などを行う区分経理による「区分記載請求書等保存方式」が併用され、平成35年10月1日からは、完全に適格請求書等保存方式(インボイス方式)へ移行となります。
税額計算の特例について
平成31年10月1日以降の一定期間は、売上や仕入を軽減税率と標準税率に区分することが困難な中小事業者(※基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税事業者)に対し、売上税額または仕入税額の計算方法に特例が適用されます。
◇売上税額の計算の特例
(1)仕入を管理できる卸売・小売業を営む中小事業者(簡易課税制度適用事業者は除く)は、卸売業・小売業に係る売上に小売等軽減仕入割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上として、売上税額を計算。
(2)(1)以外の中小事業者は売上に軽減売上割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上として、売上税額を計算。
(3)(1)(2)の計算が困難な中小事業者(主として、軽減税率対象品目の販売を行う事業者に限る)は、(1)(2)の計算による割合に代えて、「50%」を使用して、売上税額を計算。
上記の特例が適用となるのは、平成31年10月1日から平成35年9月30日まで(軽減税率制度の導入から4年間)です。また、中小事業者以外についても軽減税率制度の導入から1年間に限り、同様の特例が適用されます。
◇仕入税額の計算の特例
(1)売上を税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者は、卸売業・小売業に係る仕入に小売等軽減売上割合を乗じた金額を軽減税率対象品目の仕入として、仕入税額を計算。
上記が適用となるのは、平成31年10月1日から平成32年9月30日の属する課税期間の末日までの期間(軽減税率制度の導入から1年間)となります。
※簡易課税制度の適用を受けない期間に限ります。
(2)(1)以外の中小事業者は、簡易課税制度を適用しようとする課税期間中に、消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、簡易課税制度を適用して仕入税額の計算が可能。
上記が適用となるのは、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの日の属する課税期間です。
まとめ
消費税が10%となるのは2年以上先の予定ですが、軽減税率に滞りなく対応するためにも、制度内容や特例を今一度確認しつつ、システム改定も含め、計画的に準備を進めましょう。
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