きちんと使い分けできていますか?「話し言葉」と「書き言葉」
公開:2018年10月16日
「すみません。御社の○○という製品について知りたいのですが、全然知らなくて。ちょっと説明していただけませんか。」
ある取引先に電話をした際の会話です。会話としては問題ないですが、この内容をメール文で伝える場合、このまま書くことはないですよね。
私たちが使っている言葉には、「話し言葉」と「書き言葉」の2種類があることをご存知でしょうか。実は、正しく使い分けが出来ていない人が多いそうです。
今回は、文章を書く機会の多いビジネスマンなら押さえておきたい「話し言葉」と「書き言葉」の使い分けや、文章作成時のポイントをご紹介します。
言葉には2種類の言葉がある

私たちが使っている言葉は、会話をする時の言葉「話し言葉(口語)」と、文章に用いる言葉「書き言葉(文語)」の2種類に分類されます。
もう少し、具体的に違いを見ていきましょう。
- 話し言葉は、倒置、中断、語順などの乱れがおきやすいが、書き言葉はある程度の形(ルール)が決まっている
- 話し言葉は柔らかみを持たせるために、直接的な表現を避けることが多い
- 話し言葉は、感動詞(感嘆詞)(「ああ」「まあ」「うん」など)、疑問詞などが多く用いられる
- 話し言葉では方言が表れることがあるが、書き言葉で方言は使用しない
このように様々な違いがありますが、そもそも2つの言葉は求められる役割が異なっています。次は、使い分ける際のポイントについてご紹介します。
使い分けのポイント
先程、大まかには「会話をする時の言葉」と「文章に用いる言葉」に分類できるとご紹介しましたが、昨今、話し言葉で書いても許される場合も増えています。それぞれどのような時に使われているのか、使い分けのポイントを見ていきましょう。
「書き言葉」を用いるべきケース | 「話し言葉」でも良いとされるケース |
---|---|
社内の公式文書・企画書・報告書 | 小説・エッセイ・SNS・ブログ |
レポート・論文 | 講義・スピーチ |
他社や顧客宛てのメール・年賀状 | 親しい友人宛てのメール |
新聞記事 | キャッチコピー |
「書き言葉」は正確に伝えるべきこと、要点に絞って簡潔に表現する場合に使うと良いでしょう。不特定多数の人が読む可能性がある文章についても書き言葉を使ったほうがベターです。
一方、「話し言葉」は直感的に理解し易いという特徴があります。ターゲットが決まっており訴求力を求められるキャッチコピーなどには、話し言葉を使ったほうが人の目に止まりやすいため、効果的です。
ニュースなど改まった内容を言葉で伝える際や講義の内容によっては、書き言葉を用いる場合もあります。伝えるべき内容や伝える相手、手段などを考え、より相応しい言葉を選ぶことがポイントとなります。
話し言葉と書き言葉の例
具体的に言葉の違いについて、いくつか例を用いてご紹介します。意識して使い分けるようにしましょう。
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
です/ます | だ/である |
どっち | どちら |
ちゃんと | きちんと |
でも/だけど | だが/しかし/けれども |
やっぱり | やはり |
とっても/すごく | 非常に/きわめて |
~じゃない | ~ではない |
次に、気をつけたいポイントをご紹介します。
■「ら」抜き、「い」抜き言葉
ら抜き言葉やい抜き言葉は、会話ではあまり気になりませんが、文章ではNGです。最近では「ら」抜き・「い」抜きに対し違和感を覚えない人も増えていますが、ビジネス文書内では、特に注意してチェックするようにしましょう。
○:今日の午後、打合せに来られるそうだ
×:今日の午後、打合せに来れるそうだ
○:書類に目を通しているから待って欲しい
×:書類に目を通してるから待って欲しい
■二重表現
「必ず必要です」や「まず最初に」のように、同じ意味を重ねることを二重表現と言います。会話において強調したい時によく出てくるかと思いますが、文章にした場合には過剰な表現となり、適切ではありません。普段の会話で無意識のうちに多用している人も多いため、ついつい使いがちです。文章にした際には何度も読み返すなどし、意識してチェックしましょう。
■「なので」の正しい使い方
「問題が発生した原因は不明だ。なので、関係者を集めて話を聞いた。」
一見、正しい文章に思えます。ですが、書き言葉としては相応しくありません。実は、「なので」は接続詞として文頭では使えない言葉です。「なので」は「助動詞の連体形(な)+接続助詞(ので)」を組み合せた言葉であり、前の文と後ろの文を繋げる時に用います。
先程の例は、正しくは以下の通りです。
「問題が発生した原因は不明だ。そこで、関係者を集めて話を聞いた。」
文章を書く際には、適切な接続詞を使用しましょう。
■ぼかした表現
「私的には」や「弊社的には」のように、少し曖昧に表現したい時に使う「~的」ですが、これも書き言葉としては適切ではありません。「私としては」「弊社としては」に置き換えましょう。
まとめ
文章を作成する際には、どうしても普段の会話での「話し言葉」を選びそうになってしまいがちです。しかし、ビジネス文書では正確に事実を伝える必要があるため、特に意識して「書き言葉」で文章を組み立てるようにしましょう。正しい表現を身につけるために、新聞などを読むことも良いですね。
メールは手軽な反面、自分が書いた文章をチェックせずに送ってしまい、後悔することもあります。「文章が未熟だ=常識がない」という印象をお客様に持たれてしまわないためにも、書いたメール文は送信前に必ず目を通す習慣をつけるよう心がけてみましょう。
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