これからの時代に必要なレジリエンス(1)
公開:2019年01月16日
強いストレスに悩む人の多い現代、いわゆる「心が折れる」ことへの抵抗性を表す概念である、レジリエンスという言葉が様々な分野で注目されているのをご存知ですか?
これからの時代を生き抜くために重要なキーワードとなるレジリエンスについて、今回から3回シリーズで学んでいきましょう。
レジリエンスとは何か?
2013年に開催されたダボス会議で、日本は他の先進国と比較するとレジリエンスが低いという研究結果が発表され、国内では企業のみならす個人レベルでも、レジリエンスを高めようとする動きが広がり始めています。
レジリエンスとは、本来は心理学用語で精神的な抵抗力や回復力という意味ですが、現在は「逆境に負けない力」というように、少し広義に解釈されることが多いようです。
このレジリエンスが近年になって注目されているのは、世界を取り巻く状況の変化が理由として挙げられるでしょう。
2000年以降に世界で起きた出来事を振り返ってみると、テクノロジーの飛躍的な進化による技術革新、発展途上国の成長に伴うパワーバランスの変動、大規模な自然災害、女性の社会進出による家族形態の変化など、様々な分野で今までにないような著しい変化が見られます。
このような変革期ともいえる時代には、変化に上手く対応して逆境をバネに成長する力が求められます。この力こそがレジリエンスなのです。
企業規模で見てみると、現在の日本企業の競争力は国際社会の中でも引けを取りませんが、今まで通りの経営手法では変化に対応できず、企業として長生きするための定常環境を維持することが困難になりつつあります。
では、このような時代に必要な企業のレジリエンスとはどんなものがあるのでしょうか。
企業に求められるレジリエンス
働き方の選択肢を増やし労働意欲を高める
最近話題になっている待機児童問題を代表として、女性の社会進出によるライフスタイルの変化に社会システムが対応しきれず、働きたいという気持ちがあるのにもかかわらず、退職や転職を余儀なくされる女性も少なくありません。
企業としてこの問題へのレジリエンスを考えた場合、テレワークなど様々な勤務形態を導入するということが、解決策の一つだといえます。
ライフスタイルに合わせた働き方で、仕事と家庭を無理なく両立することができれば、優秀な人材を確保できるだけでなく、社員の意欲向上にもつながるでしょう。
人と人とのつながりを生み出す環境作り
企業規模が大きくなって部署ごとの分業化が進むと、業務の効率化は図れますが、部署間の人間関係が希薄になりやすいというデメリットがあります。
企業の成長に必要なイノベーションは、人と人が対話を重ねることから生み出されるため、社員同士のつながりが弱くなると、企業のレジリエンスを低下させてしまいます。
社員が自由にアイデアを提案できるような制度を作ったり、他部署や他企業と意見交換をする機会を設けたりするなど、社内外の人間関係を深めるための環境作りも、企業に求められるレジリエンスだといえるでしょう。
社員の能力を集約して創造する力
社員一人一人が持っている技術や知識は企業の財産でもありますが、移り変わりが激しい時代で生き残っていくためには、それぞれの得意分野を上手く組み合わせることによって、ビジネスチャンスとなるような新しいアイデアを生み出していくことが重要なポイントとなります。
そのためには、社内外のつながりを強化して活発に意見を交わすことも必要ですし、アイデアを集約して実際の商品やサービスとして実現させる力も求められます。
ネットワークによるスピーディーな情報共有や、生産性を高める最新技術の導入など、テクノロジーを活用しつつ、発案から開発までスムーズに流れる仕組みを作ることができれば、生産サイクルも向上しレジリエンスも高まるでしょう。
まとめ
レジリエンスへの意識が高い企業では、今回ご紹介したような取組を既に始めているところもあるようです。経済的競争力とレジリエンスの両方を兼ね備えた企業が増加すれば、日本は先進国として更なる飛躍が期待できるのかもしれません。
そのためには、企業単位だけでなく、個人レベルでのレジリエンスも重要になるでしょう。次回は個人のレジリエンスについてご紹介します。
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