社会で必要とされる「課題発見力」の磨き方とは
公開:2020年04月08日
あるべき姿、目指すべき姿と今の状況とのギャップは、「課題」と言い換えることができます。今回のテーマである「課題発見力」は、言葉としては余り馴染みがないかもしれませんが、仕事ができると言われるビジネスマンの多くが意識して、あるいは無意識的にあるべき姿と現状とのギャップを見つけ、そのギャップを埋めるためのアクションを常に考えています。
課題を見つける力は、普段の仕事において役立つことはもちろん、自身のキャリアアップを図る上でも「自分には何が足りず、何をすればよいのか」を明確にできる重要なスキルです。今回はそんな課題発見力について解説していきます。
そもそも課題発見力とは?
セルフマネジメントのひとつとしても考えられている課題発見力は、「未来を見据え、率先して理想と現実のギャップを見つける力、そしてそのギャップを埋めるための解決手段を探す力」を指します。
この課題発見力とよく混同されるのが「問題解決力」です。2つの大きな違いは、「既にトラブルが発生している状態か、発生していない状態か」です。つまり、
- 問題解決力:既に発生している何らかのトラブルを解決していく力
- 課題発見力:表面上はトラブルが発生していない中で、自分から課題を見つけ出していく力
と分類できます。
問題解決力と課題発見力の違いを知るため、簡単な例を出してご説明します。
例えば、ある営業職のアポイントメント取得ノルマが月間50件であったとします。問題解決力は、「毎月のノルマが50件に達していない事態にどう対応するべきか?」を考える能力です。一方の課題発見力は、「毎月のノルマは達成しているが、それをもっと増やすためには何ができるか?効率的にノルマを達成するには何を変えたら良いか?」を考える能力を指すという違いです。
セルフマネジメントのひとつとして問題解決力も身につけておきたいところですが、潜在的な課題を見出しそれに挑んでいく課題発見力は、競争力を求められるビジネスマンにとって必要不可欠となる能力です。高い課題発見力を身につけていれば、100を200に変えられるようなビジネスパーソンとなれます。そうすれば、思い描いた通りのキャリアプランを実現できる可能性は、自然と高まっていくでしょう。
課題発見力が問われる場面
どんな企業であっても、職場や業務には何らかの課題があるものです。しかし、日々の業務が回っている状態では、その「何らかの課題」が見えにくいことが多く、そのまま放置されてしまうことも少なくありません。その結果、課題が問題に発展してからようやく気づくこととなり、手遅れになる危険性も考えられるのです。
そのため、組織のマネジメントや現場での営業、経営ラインの意思決定など、あらゆる場面で誤った判断をしてしまわないためにも、企業に適切な課題発見力が備わった人材が必要と言えます。
例えば、新商品を開発した際「本当にユーザーが求めているものか」、「この商品に何か課題はないか」をあらかじめ精査し指摘できれば、実際に販売をしてから問題が発生することを防げるかもしれません。これは新商品開発に限らず、企業の方針や職場環境にも同じことが言えます。こうした場面でしっかりと課題を発見し、解決に向けて動いていければ、企業全体に好影響を及ぼせるでしょう。
課題発見力の3つの磨き方
課題発見力を身につけ、セルフマネジメント能力を高めていくための方法を知りたい方は多いはずです。そこでここでは、課題発見力の磨き方を3つご紹介していきます。
(1)現状に満足しない姿勢を身につける
一見仕事が順調に進んでいると、そこで満足してしまうこともあるでしょう。しかし、そこで満足せず、常に未来への次の一手を模索する姿勢こそが、課題発見力を磨くうえで大切です。自分自身や職場の現状をしっかり見つめ、今は問題にまで発展していないが「いずれ問題となりそうな部分」がないか、探っていく姿勢を常に意識しておきましょう。少しでも気になることがあれば、周りの方と話しをしてみるところから始めてみるのもいいかもしれません。
(2)ゼロベース思考を持つ
課題発見力の高い人は、常にゼロベース思考で物事を考える傾向にあります。ゼロベース思考とは、「常識・前提を疑う考え方」のことです。今までがそうだったからと機械的に業務をこなしていくのではなく、「これまでのやり方以外により効率のいい方法があるのではないか?」と、常に模索していく意識が課題発見力を育てていくのです。
例えば、「毎月の売上を今以上に増やしたい」という課題があったとしましょう。その場合に、「もし、今の顧客が全員契約を解除してしまった場合どうすればいいだろう」と、今あるアドバンテージをいったんゼロにして課題解決策を考えます。すると、「新規顧客に頼るだけでは売上を増やすのは難しい」「であれば、今まで断られた見込み顧客にもう一度アプローチしてはどうだろう」など、さまざまな対策を考え出すことができるのです。
このように、今ある前提を一度ゼロにすることで、現状を好転させる策を考え出すことが、課題発見力を高める方法の1つと言えます。
(3)「評論家タイプ」にはならない
何か問題が発生してから「自分は危ないと思っていた」と批評する評論家タイプは、職場でもたびたび見られます。しかし、企業で重宝されるのは、問題が発生した後で批評する人材ではなく、問題の因子となりそうな課題をあらかじめ指摘できる人材です。
何か課題が見つかった際、「この課題が後々大きな問題になるのではないか」とさまざまな可能性を考慮し、解決に向けた行動を取るようにすれば、課題発見力は磨かれていくでしょう。
まとめ
課題発見力は、現状に満足をせず、現状をより好転させるために何ができるか「未来への次の一手」を考える力です。商品開発や経営方針決定、職場環境改善などの様々な場面において必要とされる能力ですが、言われるがまま仕事をこなすだけでは磨かれることはありません。そのため、人によっては課題発見力を磨くために仕事との向き合い方・考え方を大きく変えなければいけない方もいるでしょう。
しかし、課題を見つけて解決してくれる従業員はどのような業種・職種であっても企業から重宝されるはずです。自身のキャリアアップのためにも、ぜひ課題発見力を磨くことをおすすめします。
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