リモートワーク時代により重要性の増す「ファシリテーションスキル」とは

ビジネスシーンにおいて、毎日のように行われていると言っても過言ではない会議やミーティング。中には、一日の仕事のほとんどを会議に費やしてしまった...という経験をした方も、いるのではないでしょうか。
「ただ集まるだけの会議」、「時間だけが過ぎてゆく会議」と言われるような実のない会議ほど、勿体ない時間はそうありません。効率的に、かつ有意義な会議が進められるかどうかのカギは、司会進行が握っています。特に最近はオンライン会議を行う機会も増えており、対面での会議以上に会議をまとめる力が必要となっています。しかし、「会議がうまく進まない」、「なかなか結論が出ない」、「時間通りに終わらない」そういった悩みを持ちながら司会進行をされている方も多いのではないでしょうか。その悩みを解決するために役立つのが「ファシリテーションスキル」です。
このコラムでは、リモートワークが推進される今だからこそ注目しておきたいファシリテーションスキルについてご紹介します。

ファシリテーションとは

ファシリテーションとは、会議・ミーティングといった集団活動において、より良質な成果が生み出せるようにサポートしていくことを指します。支援するだけでなく、より良い方向に進むように舵取りをすることも意味しており、ファシリテーションを行う人のことをファシリテーターと呼びます。一般的に、会議においてのファシリテーターは司会者が担うことが多いですが、司会者とは別にファシリテーターをたてることもあります。

ファシリテーションでは主に、以下のような行動が求められます。

  • 会議やミーティングの企画、予定を立てる
  • 議論が活発になるように参加者から意見を引き出す
  • 出された意見や考えを汲み取り、簡潔にまとめる
  • 会議がダラダラと長引かないようにタイムキープする

ファシリテーションは、ただ会議を円滑に進行させるだけでなく、参加者の多くが納得する結果が導き出せるよう工夫をすることが重要となります。そのため、会議に参加する一人ひとりがファシリテーションを意識することも大切です。

ファシリテーションスキルが高い人の特長

ここではファシリテーションスキルが高い人の特長を見ていきましょう。ご自身にその素質やスキルが備わっているのか、チェックしてみてください。

■問いかけや質問を上手に活用し意見を引き出せる
参加者からどれだけ有意義な意見を引き出せるかは、ファシリテーターにおいて一番の力の見せどころと言えます。ファシリテーションスキルが高い人は、場の雰囲気やそれまでに出た意見を加味し、視点を変えて問いかけをすることで、会議全体に新しい刺激を与えてくれます。また、意見を引き出しやすくするために質問の仕方が上手なところも特徴の一つです。

例えば、「はい」か「いいえ」で答えられる質問では、会議が活性化しません。また、「なにか意見はありますか?」といった丸投げ的な質問では、答える側も困ってしまうでしょう。「○○という案について、さらにどんな工夫を加えたら良くなると思いますか?」など、ある程度具体的かつ自由な回答ができるような質問を投げかけると、質問された側も意見が出しやすくなります。

■自己主張はせず、あらゆる意見に関心を向ける
ファシリテーションスキルが高い人は、参加者が畏縮することなく発言が自然と生まれるよう、自己主張をしません。また、あらゆる意見に耳を傾け、一度受け入れる姿勢を持っています。自分の意見ばかり主張しては、活発な発言は生まれませんし、「参加者が意見を出さなくても会議が進行する」となれば、参加者の当事者意識も薄れがちになってしまうからです。

■参加者全員の様子に気を配れる
スムーズに会議を進行するためには、参加者全員が会議の目的を正しく共有し、決定した内容に納得していることが重要です。認識のズレが生じたり、結論に納得いかないメンバーがいる状況では、会議が振り出しに戻されてしまうことも考えられます。
ファシリテーションスキルが高い人は、出た意見をしっかりと共有し、納得がいっていない人や発言が少ない人への気配りを忘れません。また、納得していない人が、どんなことを理由に不満を感じているのかを理解する姿勢も持っています。

■議論のタイミングの見極めができる
会議は本来、アイデアを出すターンと、アイデアをまとめるターンの繰り返しで成り立っています。しかし、ダラダラと意見を出してなんとなく意見をまとめていては、よい会議はできません。メリハリがあり有意義な会議とするために、「今はアイデアを出すターンか、まとめるターンか」の見極めが上手い人が、担うことが多くあります。

■目的とゴールを常に意識できる
会議には必ず目的やゴールが設定されています。ファシリテーターの役目は、目的へと議論を進めていくこと。そのため、出された意見が論点・目的・ゴールから外れていないかを見極める必要があります。ファシリテーションが上手な人は常に目的とゴールを意識し、仮に話が脱線したとしても軌道修正できる力を持っています。

オンライン会議におけるファシリテーションのポイント3点

最近では、リモートワークの推進によりオンライン会議を行う機会も増えています。直接参加者が集まる会議とオンライン会議では勝手も違いますし、慣れていないが故の難しさもあるでしょう。では、オンライン会議をどうファシリテーションしていけばよいのでしょうか。ここではいくつかのポイントをご紹介します。

(1)ミーティングのアジェンダを事前に共有しておく

会議で取り上げる議題をまとめたアジェンダを作成し、事前に参加者に配布しましょう。スムーズな会議の進行が可能となるだけでなく、参加者も意見を用意することができるため一石二鳥です。会議進行時にはアジェンダにのっとり、「○○についての話合いを始めたいと思います」、「〇〇について意見、質問等ありませんか?」、「次のアジェンダに移ります」などの掛け声を行うことで、今議論すべき内容をはっきりとさせ、会議にメリハリを持たせることができます。

(2)指示語は使わない

事前に会議のアジェンダや資料を共有しても、オンライン会議は対面形式の会議に比べると意思の疎通が難しくなります。そのため、「これ」「それ」「あれ」といった指示語を使うと、思わぬ行き違いが発生してしまう可能性があります。
そこでオンライン会議では、指示語を使わないよう意識しましょう。また、議論の中で参加者から指示語が出た際には、その指示語が指している言葉を復唱し、認識違いがないかを確認するようにしましょう。

(進行をする際の例)
✕:この点についてどう思いますか?
○:議題1の○○についてどんな意見があるかを聞かせてください。

(参加者から指示語が出た際の例)
参加者:その案はよいと思います。
進行役:その案というのは先程、△△さんが発言した○○という案のことですか?

(3)報告事項は事前にまとめておいてもらう

会議参加者の進捗状況を確認するなど、詳しい報告をすることは大事です。しかし、ダラダラと続くような報告は、時間も取られるため避けておきたいところ。そこで、報告をする場合には重要な点を絞って事前に考えてきてもらうと効率的です。報告の時間も5分までと最初に決めておくと、タイムキープしやすくなります。また、事前に配布したアジェンダに報告内容を入力するエリアを設けておき、会議開始前までに参加者に書いてもらうこともおすすめです。例えば「会議30分前までに報告を入力する」とルールを決めておけば、会議開始までにファシリテーターが状況を整理することができるでしょう。

まとめ

会議やミーティングを円滑に進めるために必要なファシリテーションスキル。今まで参加した会議を振り返った際、「この会議は、意味があったのだろうか」と感じた経験もあったのではないでしょうか。日本企業はムダな会議が多いと言われており、ファシリテーションスキルを持つ人材は決して多くない状況と言えます。
ファシリテーションスキルは、スムーズに会議を進める上で重要なスキルです。オンライン会議が当たり前となりつつある今、ファシリテーターとしてのポイントを抑えることができれば、沢山の意見やアイデアを集めることができ、有意義な会議になります。また、仕事の生産性向上にも繋がるでしょう。
日々ファシリテーションのスキルを磨いて、自分の価値を高めてみてはいかがでしょうか。

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