いまさら聞けないビジネスメールの書き方・マナー

社会人として身につけなければいけないビジネスマナーのひとつ、「ビジネスメール」の書き方。チャットでのコミュニケーションが当たり前の時代に育った若手ビジネスマンは、「メール慣れ」していないと言われてしまうことがあります。新人研修を終え部署に配属となった新入社員の中には、「用件はきちんと伝わるか」、「文章の書き方は正しいか」、「送る相手に失礼な内容となっていないか」と不安に感じながらメールを送っている・・・なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな若手ビジネスマンに向けて、「デキるビジネスマン」となるためのビジネスメールの書き方のキホンや、マナーについてご紹介します。

メール本文の基本的な構成

ビジネスメールの本文は基本的に、「宛名」「あいさつ」「本題」「結び」「署名」の構成によって成り立っています。ポイントは項目毎にそれぞれ異なりますので、ひとつひとつ見ていきましょう。今回は、取引先など社外の方に送る場合を想定してご紹介します。

宛名
宛名はメールを受け取った相手が、本文を見た際に最初に読む部分です。そのため、ここでミスがあるとスタートの段階から悪い印象を与えてしまう恐れがあります。宛名を書く際は以下の順番通りに、かつ誤字に気をつけて書きましょう。

① 会社名(株式会社などの会社形態は省略しないこと)
② 部署名
③ 役職名
④ 名前
⑤ 敬称
(例)○○株式会社 ○○部 課長 ○○様

注意点としては、役職と敬称を重ねて使用する「○○課長様」という書き方。これは誤りです。一見丁寧に感じますが、二重敬語になっています。順番通りに「○○課 ○○課長」や、「○○課 課長 ○○様」という書き方にしましょう。また、1通のメールを複数名宛に送る際は、役職順に表記しましょう。

あいさつ
最初に宛名を書いたら、次は「あいさつ」を書きます。あいさつには、挨拶文と自身の会社名・名前を書きましょう。初めてメールを送る場合やメールを送るのが2回目以降の場合など、相手との関係性によって少し表現が変わります。

初回の場合: 突然のご連絡失礼いたします。○○会社○○部の○○と申します。
2回目以降 : お世話になっております。○○会社○○部の○○です。

ビジネスメールはなるべくシンプルであることが求められます。そのため手紙とは異なり、時候のあいさつは必要ありません。

本題
本題では、読み手に伝えたい内容をできる限りわかりやすく、シンプルに書きましょう。その際、「いつ、だれが、どこで、何を、なぜ、どのように、いくらで」の「5W2H」を意識すると、要点がまとまった文章になります。
しかし、文章があまりに長文だと、いくら5W2Hを意識した内容だったとしても、読み手が大切な情報を見落としてしまうかもしれません。依頼事項や日時に関する情報など、特に伝えたい部分は箇条書きにするなどの工夫を加えると良いでしょう。また、1行の文字数を30文字前後として適度に改行を入れる、要点毎に行間を空けるなど見やすいメールを心がけると、より親切なビジネスメールとなります。

結び
本文の最後には必ず結びの言葉を入れるのが、ビジネスメールのマナーです。結びの言葉は、

  • 今後ともよろしくお願いいたします。
  • 引き続きよろしくお願いいたします。

などが一般的です。最後まで気持ちよく読んでいただけるような結びの言葉を選びましょう。
もし相手からの返信を必ずもらいたい場合には、「お忙しいところ恐縮ですが、ご連絡いただけますと幸いでございます。」といった言葉で結ぶと良いでしょう。その際、返信いただきたい期限も追記しておくことで、仕事のやり取りがスムーズに行えます。

署名
本文を書き終えたら、最後に署名を入れるようにしましょう。一般的には以下の項目要素を署名に盛り込みます。

  • 会社名、部署名
  • 名前
  • 住所
  • 電話番号
  • Fax番号
  • メールアドレス
  • 会社ホームページURL

企業によっては署名に独自の要素を加えているケースもあるため、事前に上司や先輩に確認しましょう。また、読み方が難しい項目がある場合には読み仮名を追記しておくこともオススメです。

一番大切とも言える「件名」を書く際の3つのポイント

ビジネスメールでは、メールの「件名」が重要な役割を果たします。とある調査では、ビジネスマンが1日に受け取るメール数の平均が、なんと50通近いという結果も。そのため、件名によっては後回しにされてしまったり、開封すらしてらえないかもしれません。
自分が送ったメールを確実に読んで頂くためにも、理想的な件名を作成する3つのポイントをご紹介します。

(1)シンプルでわかりやすく、を心がける

ビジネスメールの件名は、具体的でありながらシンプルであることが大切です。本文とは違い、伝えたい内容をすべて書けば良いわけではありません。メールを受け取った方が利用しているメールソフトにもよりますが、表示される件名は15~25文字程度であることが多いため、20文字程度を目安にまとめるのがポイントです。
この限られた文字数のなかに、本題の際にもご紹介した「5W2H」を入れるよう意識しましょう。特に、「いつ」と「何」の内容を入れることで具体性が増します。また、重要度の高い情報はなるべく左側(件名の最初)に記載しておきましょう。さらに、読み手に注意喚起を促したい場合には、「至急」や「重要」などを入れることも効果的です。

良い例:【重要:□/○希望】△/□開催MTG議事録確認願い
悪い例:いつもお世話になっております。先日のミーティング議事録を送りますのでご確認ください。

(2)初めてメールを送る場合は会社名・自身の名前を記載する

初めてビジネスメールを送る相手の件名には、用件とあわせて自身の会社名・名前を明記しましょう。誰が送ってきたかわからないメールでは、開封すらされないという可能性があるからです。しかし、件名に「はじめまして」など挨拶を記載するのは禁物です。「お世話になります」や「こんにちは」などはスパムメールによく見られる表記であるため、警戒されてしまうこともあるでしょう。
自身の会社名・名前を件名に明記する際は、以下のようにシンプルにかつわかりやすく表現すると良いでしょう。

例:[○○(株) △△]見積書送付の件

(3)記号を有効的に活用する

シンプルでかつ伝わりやすい件名を作成するには、括弧などの記号を活用することもポイントです。記号のなかに注意喚起の言葉や、日時に関する情報、先程のように自身の会社名・名前などの情報を入れると、相手の目に留まりやすくなります。また、見た目でここが大事なことだなと判断しやすくなるでしょう。しかし、付ける数はほどほどに。使用するとしても2つくらいにとどめ、違う記号を使うなどの工夫をすることがポイントです。

例:【重要】△/□開催キックオフMTGの件
  〈お知らせ〉△/□お打合せの件[○○(株) △△]

宛先の使い分け

ビジネスメールを送る際には、メールの宛先を設定するエリアであるCC・BCC機能の使い分けについても理解する必要があります。CC・BCCいずれもTO(宛先)に送ったメールと同じメールを受け取ることができますが、使い方に明確な違いがあります。複数の人にメールを送る際にはこの違いを理解しておかないと思わぬトラブルになることもあるため、ここではCCとBCCそれぞれの意味と、使い分けについてみていきましょう。

CC
CCとは、「Carbon Copy(カーボン・コピー)」の略称です。TOが宛先、このメールを送りたい主の相手であるのに対し、CCは情報を共有したい、念の為に確認して欲しい相手に使用します。そのためビジネスメールの場合であれば、TOで送る方の上長や自身の上長、同じプロジェクトのメンバーを設定しておくことが一般的です。TOと同様、CCに入れたアドレスはメールを受信した全員に開示されるため、TOである主の宛先に対し「この人達にも情報共有のために送っていますよ」と意思表示する意味としても使うことができます。
なお、基本的にCCに設定した方からの返信はないと覚えておきましょう。

BCC
BCCとは、「Blind Carbon Copy(ブラインド・カーボン・コピー)」の略称です。CCと大きく異なる点は、BCCに入力されたメールアドレスは、TOやCCに入力したメールアドレスの受信者には表示されません。この特長を活かし、メール内容を共有したい人がいるが受信者には送付することを伏せたい場合に使用すると良いでしょう。
また、BCCにAさんBさん二人のメールアドレスを設定しても、お互い相手に送っていることはわかりません。そのため、社外の複数人に同時にメールを送りたい場合にも利用することができます。この場合、「一斉配信しております」と本文の冒頭で明記しておくと、親切です。

その他ビジネスメールの注意点

ここまでご紹介したポイント以外にも、ビジネスメールにはいくつかの注意点があります。

ファイルを添付する際には
ビジネスメールでは、文章とともに添付ファイルを送付するケースもあります。その際、注意しておきたいのが添付ファイルの容量です。容量が大きいと送受信に時間がかかるだけでなく相手が受け取れない可能性があるため、一般的には2MBまでにしましょう。もしも2MBを超えるファイルを添付する場合には、圧縮し容量を小さくしてから送付するのがベターです。
添付ファイル容量が10MBを超えるようであれば、大容量ファイル転送サービスを利用すると良いでしょう。ただし、無料の大容量ファイル転送サービスの中には、セキュリティーに問題があるサービスも存在します。情報漏洩などの観点からも、必ず利用前に自社として許可されたサービスであるか、また送付先の企業としても許可されているかを確認してください。
また、基本的なマナーとして、日頃から自身のパソコンのウイルス対策を行うとともに、添付するファイルがウイルスに感染していないかチェックした上で送るようにしましょう。

送信前には必ず見直しを
自分では完璧だと思うメールでも、どこかにミスや漏れがある可能性はあります。特に慌てている時や、別の作業をしながらメールを書いている場合などにミスが起こりがちです。メールを送る際は、送信ボタンを押す前に今一度しっかり読み返し、宛先のミスや誤字脱字がないかを確認するようにしましょう。

受け取ったメールの返信について
ビジネスメールにおいては、受け取ったメールに対してもマナーがあります。基本的に何らかの事情がない限りは、メールを受信した当日か翌日までに返信しましょう。しかし、内容によってはすぐに返信できない場合もあります。その場合もメールを放置せず「メールを受け取った」という事実とともに、返信可能な日時を伝えるようにしてください。もし返信の目処がたっていないのであれば、「返信に時間を要する」ことを伝えましょう。メールをきちんと受け取ったという事実と、対応しているという誠意をできるだけ早く相手に伝えることが、信頼関係の構築に繋がるはずです。
なお、お礼メールには基本的に返信する必要はなく、例えば自分が送ったメールに対し「メールありがとうございました」という内容のみ記載されているメールを受信した場合は、やりとりを終了させてもマナー的には問題ありません。

まとめ~正しいビジネスメールが、あなたの印象を良くする!

メールはビジネスに欠かせないコミュニケーションのひとつです。文章だけで用件や気持ちを伝えることは簡単なことではありませんが、まずは「要点」を整理してからメールを作成するようにしましょう。
初めのうちはメールの作成に時間がかかり、業務効率が悪いと感じるかもしれません。慣れるまでは今回ご紹介した内容などを参考にしていただき、「この人のメール、わかりやすくて丁寧だなぁ」と思われるようなメールを作ることを意識しましょう。経験を積めば、いずれは短時間でわかりやすくシンプルなメールが書けるはずです。
ビジネスメールのマナーは、どの職場・どの職種であっても無駄にならない知識です。ぜひ、相手の立場にたって考えたメールが書ける「デキるビジネスマン」を目指しましょう。

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