離職防止に役立つオンボーディングとは?実施のポイントも徹底解説!
公開:2022年04月13日
マネジメント分野で話題のビジネス用語「オンボーディング」とは、新規・中途採用を問わず、新しく入社した従業員が企業にいち早く溶け込み、出来るだけ早く能力を発揮し活躍してもらうために、企業や組織、チームとしてサポートする取組のことです。オンボーディングを実施することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
本コラムでは、オンボーディングの概要や実施する目的、企業側・従業員側の双方から見たオンボーディング実施のメリットについて解説します。オンボーディングのプロセスや、取り組む上で重要なポイントについても紹介しますので、新しく従業員を採用した際のサポート方法のひとつとして、参考にしてください。
このコラムを読んで分かること
- オンボーディングの概要と注目されている背景
- オンボーディング施策設計のプロセスと実施時のポイント
【目次】
- オンボーディングとは?実施の目的も解説
- 【視点別】離職防止にオンボーディングを実施するメリット
- オンボーディングを実施する際のプロセスと重要なポイント5つ
- まとめ
オンボーディングとは?実施の目的も解説
改めて「オンボーディング」とは、新しく企業に迎えた従業員が少しでも早く企業に慣れ、組織やチームの一員として戦力になれるようにサポート・育成するためのプロセス・施策のことです。
近年、このオンボーディングが注目され、取り組む企業が増えていますが、その背景には、これまで解決が難しかった2つの課題に対して有効にアプローチできることが大きいと考えられています。では、その2つの課題をみていきましょう。
「オンボーディング」の施策が注目されている背景
■課題1:組織に馴染めず、早期離職する従業員が多い
新しく採用した従業員が早期離職する理由のひとつとして、「組織にうまく定着できなかったこと」が挙げられます。
組織にうまく定着できるかどうかは入社後数日、最初の数週間で決まるとも言われております。入社後に短期間しか研修が設けられていなかった、短期間のフォローしかなかったことなどが、多くの早期離職に繋がっていると考えられるでしょう。つまり、組織に定着してもらうためには、新しく採用した従業員を継続的にサポートする仕組みを導入する必要性があるといえます。
■課題2:中途採用した従業員が本来の実力を発揮できるまで時間がかかる
即戦力を期待して中途採用した従業員が企業やチームの雰囲気にすぐ馴染めず、本来の実力を発揮できるまで時間を要してしまうことも、多くの企業が抱える課題のひとつです。
社会人としての経験値は高い中途採用であっても、迎え入れた企業の中では新人です。そのため、従来の短期間の新人研修だけではなく、より広義の研修・サポート体制が求められるといえます。
こうした課題がある中で、オンボーディングはいわゆる「教育」だけでなく、「社内情報の提供」や「価値観の共有」も行います。また、一方的な指導にならないように、新規・中途採用者の反応やフィードバックを把握し、従業員とコミュニケーションを取る相互的なものでもあります。
このような取組を行うことで新規・中途採用者が組織のことを十分に理解した上で働けるようになるため、早期に企業に溶け込むことができ、充分な実力の発揮も期待できるでしょう。
【視点別】離職防止にオンボーディングを実施するメリット
オンボーディングは早期離職の防止や、即戦力化を図る目的で行われますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、オンボーディングを実施するメリットについて紹介します。企業側から見たメリットだけでなく、従業員側から見たメリットも紹介しますので、双方に利益のあるオンボーディングについて理解を深めましょう。
企業側のメリット
新しく入った従業員にオンボーディングを実施することは、企業側に以下のようなメリットをもたらします。
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効果的なオンボーディングを実施できれば、早期離職の防止により、採用コストや人材育成にかかる費用や時間を抑えられます。また、企業に関する理解を深めることは従業員満足度の向上につながるため、生産性向上も期待できるでしょう。
さらにオンボーディングでは、定期的な面談の実施やメンター制度の導入など幅広い取組を行います。これらの取組を通して自社の人材育成施策を改善できることも、メリットのひとつといえるでしょう。
従業員側のメリット
オンボーディングを行うことには、企業側だけでなく、従業員側にも大きなメリットがあります。
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オンボーディングを行うことで企業への理解を深めることができるだけでなく、企業やチームが自分に期待することがより明確になります。自分に課せられたミッションやすべきことに集中して取り組めるようになるため、日々のパフォーマンスも向上するでしょう。
また、様々な立場の従業員がオンボーディングに関わることで、従業員同士の理解が深まるため、互いに協力し合える関係性の構築にも役立ちます。周囲から認められる機会も多くなるため、組織へのエンゲージメントも高まるでしょう。
オンボーディングを実施する際のプロセスと重要なポイント5つ
効果的なオンボーディングを実施するためには、次のようなプロセスでプログラムを設計することが一般的といわれています。4つのプロセスを順番にみていきましょう。
オンボーディングのプログラム設計をするプロセス
(1)目標の設定 |
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理想となる人材像を明確に設定し、理解しやすいような表現で言語化する。 |
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(2)環境の構築 |
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情報伝達や価値観の共有に最適なツール・手法を検討し、必要に応じてツールなどを導入する。 |
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(3)プランの作成・見直し |
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目標や実施すべき教育、振り返りを行うポイントなどを決定し、具体的なプランを作成する。プランは一歩一歩進めていけるようステップに分けるだけでなく、作成したステップを実践できるのか、目標が達成できるのか、当事者目線にもなってプランを見直す。また、新しく入る従業員に関わるメンバー全員とプランを共有し、更に見直しを行い完成させる。 |
↓
(4)プランの実施・振り返り |
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作成したプランを実施する。長期的な取組となるため、積極的にフォローしながら、定期的に振り返りを行う。その後、新しく入った従業員に関わったメンバー全員と取組について意見をかわしプランを評価する。必要に応じて改善を図り次回につなげる。 |
プランの内容やゴールは企業や組織によって違いはあるものの、基本的な流れは同じです。
次に、上記のプロセスを実施する際に押さえておきたい重要ポイントを、5つご紹介します。
ポイント1:信頼関係の土台作りをする
オンボーディングの実施は新規・中途採用の従業員が入社してからではありません。入社日までにしっかりと社内の受入態勢を整えることはもちろん、入社前から、採用担当者が十分なコミュニケーションを取るなど、信頼関係の土台を作っておくことが大切です。
たとえば、新しく入る従業員が不安や疑問に感じていること(ネットの企業情報や口コミなど)がある場合、情報をオープンにして丁寧な説明を行うことによって信頼度を高められるでしょう。
このように、入社前から信頼関係を構築できていれば、入社後の早い段階でより効果的なオンボーディングを行うことができます。
ポイント2:教育体制を整える
効果的なオンボーディングを実施するためには、新たに入る従業員が効率よく学べる教育体制を整えることも重要です。オンボーディングに関する社内マニュアルを作成したり、オンボーディングに関わる従業員同士のすり合わせを行ったりと、一貫した施策を実施できるようサポート体制を構築しましょう。
先輩従業員が自然とフォローに向かうような雰囲気を作っておくことも、新しい従業員の不安を払拭することに繋がり、組織へ溶け込むスピードも加速します。
また、コロナ禍の今、テレワークでオンボーディングを行うことも視野に入れることをおすすめします。必要な情報やWeb会議システムやチャットツールなどを事前に準備し、柔軟に対応できるようにしておくことも大切です。
ポイント3:期待値をすり合わせる
新しくチームに入った従業員には、企業やチームのミッション、業務内容、期待している成果などを具体的に伝えましょう。また、新しく入る従業員が企業・チームに期待することのヒアリングも必ず行いましょう。
実際に業務を行った際に「期待した成果を出してくれなかった」、「思っていた業務ではなかった」などのズレがなくなるように、相手に期待することを双方が具体的に伝え合うことが大切です。
企業側が求めている期待値と従業員側の期待値にズレがなく、目指すゴールが一致していれば、生産性や従業員満足度の向上を図れます。
ポイント4:メンター制度を導入する
「メンター制度」とは、年齢や立場が近い従業員が新しく入る従業員のサポート役(メンター)となる制度です。メンターは業務に関することに限らず、職場での人間関係の悩みや職場に関する“ふとした疑問”などをフォローする役割を担います。
入社直後は企業の文化やルールだけでなく、共有スペースの場所や使用方法、備品の場所、ツールの使い方など、知らないことが沢山あります。「何を誰に聞いたら良いかわからない」というケースは、意外と多いのではないでしょうか。
ちょっとした事でも気軽に聞けるメンターは、新しく入った従業員にとってとても大きい存在と言えます。メンター制度の導入は、入社直後から職場に馴染みやすい環境を整えることが可能となり、早期離職の防止や、オンボーディングによる成長の促進を図れるでしょう。
ポイント5:振り返り・フィードバックを行う
効果的なオンボーディングを実施するためには、何度も振り返りを行うことが大切です。その場合、受け入れる側の主な担当者や関わった従業員だけでなく、オンボーディングの対象となった従業員にもヒアリングしましょう。
指導する側と指導を受ける側の両方からの意見を集めることで、様々な視点での情報が集まり、双方自身では気づけていなかった課題が見つかることでしょう。
振り返りを行い、課題があった場合には改善策を考え、次につなげていきます。
指導する側からオンボーディングの対象となる従業員へのフィードバックも行い、振り返りで得た気づきをアウトプットできる機会も積極的に作るようにしましょう。
何度も振り返りを行うためにも、長期的な目標ではなく短期的な目標を設定します。目標が達成されたら結果を振り返る、この流れを積み重ねて大きな収穫が得られるような環境を作ることも、ポイントです。
まとめ
ここまでオンボーディングの概要やメリット、実施する際のポイントについて解説してきました。今回の内容を改めてまとめます。
<このコラムのPOINT>
- オンボーディングは、新しく入る従業員が早期に職場に溶け込むためにサポートする取組
- 従業員の早期離職防止や即戦力化を図れるというメリットがある
- 実施前に基本的なプロセスと実施する際のポイントを理解することが大切
新規・中途を問わず、企業や組織、チームに新しく加わる従業員に対して行う「オンボーディング」は、企業側・従業員側の双方にメリットのある取組です。今回ご紹介した5つのポイントを押さえて効果的なオンボーディングを行い、新しく仲間となった従業員がいち早く実力を発揮できる環境を整えましょう。
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