セルフマネジメントとは?自己管理能力を高める方法やメリットも紹介

リモートワークやフレックスタイムの導入など働き方が多様化した現在、従業員の評価基準は成果主義にシフトしており、生産性を上げて働くことが求められています。そのような現代において、どのような環境にも動じることなく個人のパフォーマンスを最大限に発揮できる「セルフマネジメント能力」が注目されています。
本コラムでは、セルフマネジメントの概要やどのようなメリットがあるのか、また具体的なやり方などを詳しく解説していきます。

このコラムを読んで分かること

  • セルフマネジメントを高めるためにどんな要素を鍛えればよいのか
  • セルフマネジメントが高いとどんなメリットがあるのか
  • セルフマネジメントを高めるための方法

【目次】

  • セルフマネジメントとは
  • セルフマネジメントがもたらす影響
  • セルフマネジメントが苦手な人・得意な人の特徴
  • セルフマネジメントのやり方
  • まとめ

セルフマネジメントとは

セルフマネジメントとは、直訳すると「自己管理」のことです。目標の達成や自己実現のために、自身の思考や感情・行動を管理すること、もしくはそのためのスキルを指します。
自らを管理することによって、自分自身の精神状態や健康状態を安定させ、自分の能力を最大限に発揮することを目的としています。

セルフマネジメントが注目される理由

セルフマネジメントが近年注目されるようになったのには、次のような背景があります。

■働き方改革の推進
多くの企業が働き方改革の一環として、長時間労働の是正に取り組んでいます。
かつての日本では、働いた時間が長いほど「会社への貢献度が高い」とみなされ、評価される時代がありました。しかし現在は、評価が労働時間ではなく、働いた内容・成果による評価を重要視する流れに変わってきており、時間あたりの効率性、生産性の向上が求められています。

■テレワークの普及
新型コロナウイルスの流行や働き方の多様化により、テレワークが急速に普及しました。従来のオフィスでの勤務とは異なり、監視の目がなくプライベート空間で仕事をするため、モチベーションや集中力の維持、オン・オフの切り替えが難しくなっています。
つまり、テレワークはセルフマネジメント能力が高くなければ、難しい働き方だといえるでしょう。

■少子高齢化
昨今の課題である日本の「少子高齢化」もセルフマネジメントが注目される理由のひとつです。
若手人材が不足する日本において、従業員一人ひとりが主体的に行動する組織が求められています。主体的に行動するためには、自分のメンタル面や体調、タスク管理などセルフマネジメント能力の高さが重要になってきます。

セルフマネジメントを構成する要素

セルフマネジメントを構成する要素・スキルは、大きく分けて5つあります。

(1)セルフケア
自身の心の健康を自分自身で守る、安定した状態に保つことを意味します。自身がストレスを感じていることに気づき、そのストレスを上手に受け流す方法や知識を身につけておくことが大切です。

(2)レジリエンス
回復力や復元力など、精神的な回復力を意味します。
自分にかかったストレスに対してしなやかに対応し、跳ね返せる能力、すばやく立ち直る能力のことです。

(3)アンガーマネジメント
怒りに上手に向き合うための心理トレーニングのひとつです。

(4)マインドフルネス
「現在起きていること」に注意を向け、瞑想によってストレスを軽減させる方法です。

(5)キャリアデザイン
自分のなりたい姿や目標に対して、自己意識を高めて、実現していくことを指します。

セルフマネジメントがもたらす影響

自分を管理し、パフォーマンスを最大化するために必要とされるセルフマネジメントですが、その影響は従業員個人にとどまりません。
ここからは、従業員がセルフマネジメント能力を高めることによって、企業にもたらされる良い影響について紹介していきます。

業務の効率化が図れるため生産性が向上しやすい

従業員一人ひとりがセルフマネジメントを身につけることで、タスク管理やタイムマネジメントができるようになり、業務の効率化が進みます。従業員の業務効率化が進むことによって、結果として企業の生産性も向上します。
会社全体の生産性を向上させるためには、まずはセルフマネジメント能力の高い人材を育成することが重要となってきます。

自分の感情や行動のコントロールができ人間関係が向上しやすい

セルフマネジメントを身につけることで、感情に任せて行動することが減り、その場に適した行動をとれるようになるため、人間関係も良好になります。
人間関係が良好な職場環境は、気軽に相談もできる「風通しの良い職場」といえます。結果的に従業員の心理的安定がたかまったり、チームワークが向上したり、結果的に仕事の質も向上します。また、従業員一人ひとりのモチベーション維持も容易になります。

体調や精神面の安定化によるモチベーションの維持

セルフマネジメント能力を身につけることによって、メンタルや体調面をコントロールできるようになれば、たとえ仕事でミスをしても「次に活かそう」と前向きに考えることができます。
ミスを引きずることなく、精神的にも体調的にも健康を維持できれば、離職者や体調不良での休職者も減り、企業にとってもメリットは大きいです。

セルフマネジメントが苦手な人・得意な人の特徴

ここまで、セルフマネジメントの重要性について解説してきましたが、セルフマネジメントができる人と苦手な人がいるのも事実です。
それぞれの特徴を解説していきますので、自分がどちらのタイプに当てはまるのかチェックしながら読んでみてください。

セルフマネジメントが苦手な人とは

まずは、セルフマネジメントが苦手な人にはどのような特徴があるのかを解説していきます。

■こだわりが強い
何事にもこだわりが強い人は、仕事に完璧を求めてしまいタイムマネジメントやタスク管理が疎かになってしまうことがあります。また、ミスをしたときの精神面での落ち込みが大きく、立ち直りに時間がかかることがあります。
このような完璧主義タイプの方は、冷静に状況を見て行動することが得意ではない傾向にあるため、セルフマネジメントを苦手と感じてしまうかもしれません。
完璧主義ではなく、ある程度の妥協点を見つけることも大切です。

■頼ることが苦手でタスクを抱えやすい
人に何かを任せることや、人に頼ることが苦手な人は、自分でタスクを抱え込んでしまいがちです。
タスクを抱え込んだ状態になってしまうと、残業時間も増えてしまい、結果的に身体も心もストレスを抱えてしまいます。これでは、自分の能力を最大限に発揮できなくなってしまいます。
苦手なタスクは得意な人にお願いしてみる工夫をしてみましょう。

■ストレスを溜め込んでしまいがち
ストレスを溜め込みがちな方は、メンタルが安定しにくい状態にあります。本来のパフォーマンスは発揮されず、モチベーションの維持も難しくなるでしょう。
心の安定が、セルフマネジメントには大切です。まずは、ストレスの発散方法を探すなど、自分が取り組みやすいことから着手して改善してみましょう。

セルフマネジメントが得意な人とは

次は、セルフマネジメントが得意な人の特長を解説していきます。

■タスクの優先順位をつけることが得意
タスクの優先順位をつけることが得意な人は、作業の期限や重要度に応じて、今すぐやるべきタスクとすぐにやらなくてもよいタスクを切り分けることができます。そのため、ストレスを感じることが少なく落ち着いて行動でき、結果的に仕事を効率的に進めることができます。
タスクの優先順位付けが得意な人は、タイムマネジメントも得意な人が多いです。

■自分のストレス発散方法を知っている
ストレスが溜まってきたなと感じる前に、自分なりの解消法でストレス発散を行うことができる人は、自分の心の状態をよく理解できている人といえます。適度にストレス発散ができれば、常に前向きな気持ちで仕事に取り組めるため、仕事のパフォーマンスが高まり、生産性向上につながります。

■ポジティブに物事を考えている
仕事や私生活において、ハプニングが起きることはよくあります。しかし、前向きな考えができる人は、悲観的にとらえず、その原因や理由を考え、解決策を探せます。また、悲観的に感じる出来事も経験しなければ分からなかったことだ、と前向きな出来事に脳内変換できるのも、こういった方の特長です。
ポジティブに物事を考えている人は、自分の感情のバランスを保つ力に長けた人とも言えます。

セルフマネジメントの身につけ方

セルフマネジメントの重要性は理解できても、具体的に何をすれば身につくのかわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、セルフマネジメントを身につけるための方法について解説していきます。

具体的な目標を設定する

目標を設定することで、モチベーションを維持して業務に取り組むことができます。抽象的で大きな目標を設定すると、達成できるイメージが持てなくなり、モチベーションの維持がむずかしくなります。
そこで、目標設定のポイントは、できるだけ細かく「具体的な目標」を設定することです。少し頑張れば達成できる目標のほうが前向きに取り組めます。

マイルストーンを設定する

目標が決まったら、目標達成までの道のりを明確にします。
特に長期のプロジェクトなどは、途中にマイルストーンを設定することで、頻繁に達成感が得られ、よりモチベーションの維持がしやすくなります。

時間の使い方を意識する

タイムリミットを意識することで、ダラダラと間延びするのを防ぎ、計画的に作業を行うことができます。例えば、「午前中には〇〇の仕事を終わらせ、午後は△△の仕事をする」などタスクを決めて業務に取り組むことで、作業効率はアップします。
時間の使い方を意識し、有効に使うことは、セルフマネジメント能力を高めることにつながります。

集中力を身に付ける

タイムリミットを意識して仕事に取り組むためには、集中力が必要になってきます。集中力があれば、同じ時間でもより多くのタスクを終わらせることができます。

集中力を身につけるために、「マインドフルネス(瞑想)」を行うことをおすすめします。瞑想を行うことで、余計な雑念を振り払い、今起きている現状に焦点を当てられるため、ストレス軽減が期待できます。
マインドフルネスを実践し、心を安定させて集中力を身につけましょう。

自分の行動を振り返る

目標を設定して取り組むだけでなく、フィードバックすることも重要です。定期的に自分の行動を振り返ることで、自分の強みや弱点を見つけることができ、自身の課題をしっかりと把握することができます。
自分の苦手なことやできていないことの改善策を考えることが、セルフマネジメントの向上に繋がります。

まとめ

セルフマネジメント能力を身につけるためには、ある程度の期間を設定し、具体的な行動目標を決めて、訓練を重ねることが重要です。
ビジネスにおいては、抱えているタスクの優先順位を決めたり、生活面においてはストレス発散をしたりと、心身ともに管理することで、マネジメント能力を高めていくことができるでしょう。

<このコラムのPOINT>

  • セルフマネジメントとは、自己管理により精神状態・健康状態を安定させ、よりよいパフォーマンスを発揮できるように改善を図ること
  • セルフマネジメントが注目される理由は、「働き方改革の推進」「少子高齢化」の影響が大きい
  • セルフマネジメントを身につけるためには、具体的で細かな目標設定と行動の振り返りが大切

各従業員がセルフマネジメント能力を高めることで、一人ひとりのモチベーション維持とパフォーマンスの最大化につながります。
従業員が効率よく仕事を進めることができれば、企業の生産性向上にもつながるため、企業にとってのメリットともいえます。企業としても研修などを通して、セルフマネジメント能力を向上させる取り組みを実施してみるのはいかがでしょうか。

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