説明力・上[説明力とは]

ビジネスの様々なシーンで必要となる「説明力」。コミュニケーションスキルのひとつのため、苦手と感じている人も多いようです。しかし、上手な「説明」はビジネスにおいて重要な要素。それだけで"仕事がデキる人"などの印象を得ることもあります。そこで、説明力について考察しました。

「説明力」と「会話力」の違い

会話が上手な人は、説明も得意であると考えている方も多いのではないでしょうか。どちらもコミュニケーションですが、「会話」と「説明」には少し違いがあります。

会話上手と言われている人を観察すると、適切な受け答え等による言葉のキャッチボールをしっかりとしていたり、相手の話すテンポに合わせた応答をしたり、その場の状況に合わせて話を展開させたりすることなどをスムーズに行っています。会話の定義には「複数の人が互いに話すこと」とあり、これらをまとめると「会話力」とは、人との関係を円滑にするコミュニケーション力といえるでしょう。

その一方、説明は「解き明かすこと。特に、物事がなぜこうなのかの根拠・理由を明らかにすること」という定義であり、「説明力」とは相手に内容を理解させることができる能力となります。それには、話す内容(テーマや主題)があり、それを自分自身が十分に理解していることが求められます。

説明が上手にできない人に共通するポイント

それでは、説明が下手と思われる人の共通点とはどのような点でしょうか。

ビジネスにおけるコミュニケーションは、その内容が正確であり、簡単に理解できることが求められます。つまり、簡潔・正確・明瞭が説明上手のキーワードとなり、説明が下手ということは、これらのいずれかが欠如しているといえます。以下に、具体的な例を挙げていきます。

・話の要点が分からない
説明者が何の説明をしているのか聞き手に伝わらないまま、とりとめもなく無駄に長く話をしてしまう。話が脱線しすぎて何が言いたいのかよく分からない印象を聞き手に持たせてしまう。

・結論が明確ではない
説明者が話す内容を把握していない。説明する内容の構成ができていない。語尾があいまいで言い切らないような口調もこのような印象を与える。

・主語を省く
説明者はこれから話す内容を知っているが、聞き手は知らないため、主語「誰が」「何が」を省くと、聞き手が話を取り違えてしまい、何について話しているか理解できないことも往々にして起こる。

・不適切な話し方
ボソボソとした話し方、聞き手に意識を向けずに話す、早口などは、聞き手が話を聞き取りにくい。内容が分かる声の大きさやスピードが大切。

そのほか、専門用語の意味を説明せずに使ってしまうと、聞き手はその言葉だけでなく内容全体を理解することも難しくなります。専門用語を説明しないという点も説明下手の範疇に入るでしょう。

「説明する」時のポイント

それでは、説明が上手な人はどのような説明をしているのでしょうか。

まず事前準備として、最初に要点をまとめます。自分が何を伝えたいか、何を理解してもらいたいか、話す内容の趣旨などを明確にしておきます。

この要点を基に説明する内容の構成を考えます。重要なのは聞き手に内容を理解させることです。そのため「まず結論を述べる」、続いて「その理由」「その裏づけとなるデータ」という順番にします。聞き手が何を聞きたいのかといった聴衆者目線に立つことで、この流れを容易に組み立てることができるでしょう。また、聴衆者目線という点には、聞き手に分かる言葉を使うことも含まれます。専門用語などはその意味を解説するか、他の分かりやすい言葉に言い換えましょう。

また、説明者や誰かの推測事項を話す必要がある場合は、実際に起こっている事実を先に述べます。さらに、話が行ったり来たりしないよう話の前後関係に注意し、最後に「まとめ」を入れると特に伝えたい内容を強調でき、聞き手の記憶にも残りやすいでしょう。このような流れで説明をすると、聞き手が理解しやすくなります。

説明する時は聞き手の目を見て話し、大人数の場合は全員を見渡すよう一人ひとりに意識を向け、声のトーンや話の途中に間を入れるなど話すスピードにも気をつけます。一方的に話をするのでは聞き手の存在を無視していることにもつながるため、聞き手に適度な頻度で質問したり、考えなどを聞いたりすることをおすすめします。

まとめ

説明とは人に何かを理解させること。つまり、伝える能力ではなく、伝わる能力ともいえるでしょう。次回は、説明力を向上させるためのトレーニング方法や効果的な説明に必要な考え方などをご紹介します。

説明力・下[説明力向上のためのトレーニング方法] を読む

「キャリア・スキルアップ」の最新記事

未来人材ビジョンとは?求められる人材やどんな取組が必要なのかも解説

キャリア・スキルアップ

2023年06月21日

未来人材ビジョンとは?求められる人材やどんな取組が必要なのかも解説

デジタル化の推進やカーボンニュートラル実現などの世界的な取組により、これまでの産業構造や労働需要、人材政策のあり方が変わっていくと予想されています。また、経済産業省は、日本の生産年齢人口が2022年の7,400万人から、2050年には5,300万人まで大きく減少するという予測も出しています。 未来に待ち受けるこのような状況に対応するために、経済産業省は2030年、2050年に向けた、今後の人材政策について検討するための「未来人材会議」を主催し、2022年5月末に「未来人材ビジョン」を公表しました。 公表から1年が経過し、国会でも「個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じる」との表明があっただけでなく、首相の別の発言には賛否両論が集まっているなど、様々な意味で注目が高まっています。 本コラムでは、改めて未来人材ビジョンの概要や公表された背景、未来人材ビジョンの具体的な施策等を解説していきます。将来必要とされる人材を輩出するための、雇用・人材育成や教育の方向性を知るためにも、ぜひ参考にしてみてください。

続きを読む

このカテゴリの記事一覧を見る

メールマガジン登録

上記コラムのようなお役立ち情報を定期的に
メルマガで配信しています。
コラム(メルマガ)の
定期購読をご希望の方はこちら

メールマガジン登録 お客様の課題解決に導く情報をいち早くお届けします! メールマガジン登録 お客様の課題解決に導く情報をいち早くお届けします!