OCRとは?仕組み・効果・導入事例などをまとめて解説
公開:2024年07月10日
OCRは紙や書類に書かれている文章情報を光学的に読み取り、文字データに変換してコンピューターに取り込む技術です。OCRを導入することで、ペーパーレス化の促進やコスト削減などが実現できます。
本コラムでは、OCR導入について詳しく解説します。OCRの導入に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
- OCRとは?業務効率ができる理由
- OCRを導入する効果
- OCRを導入する課題
- OCR導入事例
- OCR導入時のポイント
- まとめ:OCRを導入して業務効率を高めよう
このコラムを読んで分かること
- OCRの概要、仕組み、必要性
- OCRの効果、課題
- OCRの活用方法、導入事例
OCRとは?業務効率ができる理由
OCRは「光学的文字認識技術」のことであり、「Optical Character Recognition(Reader)」の頭文字を取った言葉です。
具体的には、手書き文字やWordなどで書いた文字が書かれている紙媒体をスキャナで読み取り、その読み取った画像データからテキスト部分を認識し、コンピューターで扱える文字データへ変換する技術を指します。書類をコンピューターにデータとして取り込む際に用いられる技術です。
これまで、紙などのアナログ媒体に記載されていた文字をデータ化する際は、人の手で紙媒体の情報をExcelやシステムなどに手入力する必要がありました。しかし、OCRを活用することで、データ入力の手間を省き、生産性の向上や業務効率化、人件費の削減などの効果を得ることができます。
2024年から義務化された「電子帳簿保存法の電子データ保存」に対しても、OCRの普及が期待されています。国税関係の書類や帳簿などのデータベース保管が義務付けられており、これまで紙媒体で管理されていた書類に関して、コンピューターへの読み込み作業が必要となりました。義務化された内容には、可視性の要件を満たさなくてはならないため、読み込んだ資料を検索できるようにする必要があります。そこで、OCRを導入することで管理が便利になり、手間を大きく省けるメリットがあるといえるでしょう。
また、帳簿関係に限らず、取引関係書類などのありとあらゆる紙媒体の書類をデータ化できるなどの効果があります。
OCRの文字認識の仕組み
OCRは、人間が文字を認識するように、1つ1つの文字を認識したうえで、文字データに変換する技術です。ここでは、OCRで文字を取り込む際の仕組みを解説します。もしOCRの導入を検討されている場合は、どのような仕組みでデータ化されるかを知っておくことで、判断材料の一つになるでしょう。
OCRでは、以下の過程を経て文字を認識させています。
- 取り込みたい書類をスキャニング
- スキャニングした書類の文字領域を特定
- 文字領域の詳細を分析
- 文字を1行ずつ認識
- 文字データに出力する
1つ1つの過程で文字を認識するためのデータを蓄積していき、結果的に膨大な量の文字を認識できるようになります。
OCRの必要性
OCRを端的に表すならば、「コンピューターが文字を認識し、文字データとして出力する技術」といえるでしょう。さまざまな分野において、このOCRの技術の必要性が高まっています。
例えば、紙媒体の資料や帳票管理などを電子データへ変換する際に活用できるでしょう。
また、ビジネス面においては、業務効率化や無用なコストの削減などの効果が期待されています。OCRによって紙媒体の書類をデータ化できれば、これまで紙媒体の書類で生じた問題を解消でき、スムーズなコミュニケーションや管理業務の簡素化などの効果は、今後益々重視されるようになるでしょう。
OCRを導入する効果
OCRの主な効果は、業務効率化や人件費の削減が挙げられます。しかし、ほかにもさまざまな効果があるため、導入を検討する際には全ての効果を把握しておくとよいでしょう。
ここでは、OCRを導入する効果を解説します。ここで解説する効果は以下の通りです。
- 業務効率の向上
- 人件費などのコスト削減
- データの検索性の向上
- データ化した資料の編集
- 書類の保管場所を省スペース化
現状の課題や求めるニーズによって、OCR導入後に実感できる効果が異なります。高い効果を得るためにも、「自社に導入した場合」を想定して効果を確認するのがおすすめです。
①業務効率の向上
OCRを導入すると、デジタル化の作業が効率的に進められるようになります。
これまで煩雑であった伝票などの紙媒体をデータ化する手間・時間を短縮でき、業務効率を高め、誤入力や紛失リスクも抑えられます。また、このようにOCRを導入することで、業務効率の向上とともに、人が対応することで生じていた問題も解消できます。
②人件費などのコスト削減
OCRを導入することで、これまで必要だった紙媒体のデータ入力作業が不要になります。そのためデータ入力作業に充てていた人件費などのコストも削減でき、ほかの作業に人的リソースが割り当てられるようにもなるでしょう。
また、紙媒体の書類を保存するために必要だったスペースやファイルなどの備品も不要になります。物理的なコストを削減できるため、OCRの導入効果を実感しやすいでしょう。
③データの検索性向上
紙媒体の書類は、一度保管してから再度使用する際、探す手間があります。
しかし、OCRの導入により、書類をデータベース化することで、必要なときに「検索」によって探し出せるようになります。そのため、これまで書類を探すのにかかった手間や時間を大幅に削減できる可能性があります。
ほかにも、データ化によって情報共有を迅速にできる点も、OCRの導入効果でしょう。メールやチャット、また社内の共有フォルダなどで、書類データの修正・管理なども手軽に行えます。
④データ化した資料の編集
紙媒体の資料をOCRでデータ化することにより、書類の修正や編集を手軽に行えます。例えば、出力ファイルをWordにすると誤字や脱字の修正なども簡単に行えます。あわせて、データの最新化の作業も簡単にできるため、編集業務も手軽に行えるでしょう。
⑤書類の保管場所を省スペース化
従来の紙媒体による書類の管理では、書類が増えるにつれて、保管場所の確保が必要でした。また、書類保管のための備品の用意や管理のための手間が必要です。
しかし、OCRで紙資料をデータ化すれば、紙媒体で書類を管理する必要がありません。データとして保管されるため、物理的なスペースは必要ありません。また、紙媒体の書類管理で必要だった備品や管理のための手間が不要です。
また、OCRによって、データ容量の軽量化も可能です。従来、スキャニングしたデータは、画像化されたままで保存されるケースが多く、画像データはデータ容量が大きく、メモリーの圧迫が問題になることもありました。
しかし、OCRによって画像データから文字データへ変換したときに、必要な資料のデータ容量を軽量化でき、また、元データとして画像データを確認できる点がメリットです。
OCRを導入する課題
OCRの導入効果には多くの魅力がある一方で、課題も存在します。ただ、課題によっては活用方法や活用シーンなどを工夫するだけで、解消される可能性も十分にあります。そのため、自社で導入するイメージを持ちつつ、課題とどのように向き合うかを考えておくのが重要です。
ここでは、以下のOCRを導入する課題を解説します。
- 正しく読み込めない可能性がある
- 最終的に人による校正が必要になる
①誤認識の発生
OCRでの読み取りは、文字認識精度が課題となります。100%の精度で読み取れるわけではないため、誤認識する可能性があります。
OCR読み取り後、文字データにする際の「文字判別」は、文字情報をデータベースとマッチングさせています。一方で、データベース上にない文字情報があった場合、誤った認識で文字情報をデータ化してしまう恐れがあり、利用には注意が必要です。
特に、日本語は海外の言葉とは違い、「ひらがな」や「カタカナ」、「漢字」があります。海外と比べても文字を判別する際にミスが起こりやすく、この点は利用時に認識しておく必要があるでしょう。
②人による校正の必要性
OCRでスキャンした文字は、人の目による校正が必要な場合もあります。読み取ったときの状態や対象物によって文字を誤認識した場合、校正をしないと文章として成立していないこともあります。そのため、OCRで読み込んだあとは校正やチェックを実施するとよいでしょう。
また、AI OCRを導入して自動学習させる方法もあります。AI OCRは、AIが組み込まれているOCRです。文字を読み込み、校正を重ねていくことで自動学習するため、文字認識率の向上によって、より正確性の高い文字データ変換ができるでしょう。
OCR導入事例
現在では、OCRは身近に活用されています。OCRを導入することによって、業務効率化やコスト削減、また利益を拡大することができた企業も多く存在します。そのため、OCRの導入を検討されている場合、実際の事例も参考にするとよいでしょう。
ここでは、以下のOCRの導入事例について紹介します。
- 伝票処理の効率化
- 労働力不足の改善
- デジタル化による検索性の向上
①伝票処理の効率化
経理業務の際、請求書処理や伝票入力作業があれば、OCRによって業務の効率化ができます。
とある運送業者では伝票管理をするために、OCRを導入しました。結果、伝票管理をはじめとした経理業務や電子データへ変換する必要がある書類にかかっていた膨大な時間を短縮でき、業務効率を上げることができました。また、OCRを導入した結果、入力ミスの軽減や伝票番号の検索性能なども向上。これまで必要としていたリソースを調整して、従業員がほかの業務に集中できる時間を創出できました。
②労働力不足の改善
OCRを導入すると、データ入力作業に必要なリソースを削減することができます。労働力不足といった課題にアプローチでき、人件費などのコスト削減も期待できます。
とある地方自治体においては、地方税関連の届出書などの入力業務をOCRによって効率化しました。届いた書類をOCRで読み取り、自動入力する仕組みを導入したことで、人員はそのままに作業効率を上げることができました。
ほかにも、衣類関係を取り扱うメーカーではAI OCRを導入し、衣類のサイズ違いなどで生じた返品伝票を入力する手間を削減し、ほかの業務に時間を充てられるようになりました。実際に届いた衣類の紙伝票の手入力処理をOCR機能を活用することにより、人の手による作業が減り処理作業が手軽に済み、業務効率が上がったと評価されています。
③デジタル化による検索性の向上
文書情報のデータ化により、検索性を向上させることができます。OCRによってデータ化された資料を検索する際には、キーワード検索やファイルの日時、タイトルなどで検索できるため、スピーディーな検索対応が可能となります。
例えば、とある大学ではOCRを導入し、資料や文献を瞬時に検索できるようになりました。その結果、資料探しの手間を削減でき、作業効率が向上しました。
OCR導入時のポイント
OCRを導入するとき、どのような点で選んだらいいか悩むかもしれません。
選ぶポイントは以下の通りです。
- 文字データの読み込み可能量
- 読み取れる内容
それぞれの点を考慮してOCRを選ぶと、導入後の効果も実感しやすくなるでしょう。
①文字データの読み込み可能量
OCRで読み込める文量は、ソフトによって異なります。読み込む文量によってOCR製品を選びましょう。例えば、1つの書類に対して読み取り項目の数が異なります。もし多くの項目や枚数をスキャンする場合、必要量に応じて検討してください。
また、自社にとって必要な機能を選ぶのも大切なポイントでしょう。自社の現状や課題を踏まえて、適切な機能を選ぶことがOCRのより効果的な活用につながります。
②読み取れる内容
OCRの製品によって読み込める内容や種類が異なります。導入する際に、どういった書類をどれくらいの量、読み取らせるかを検討することで、最適なOCR製品が選べます。併せて読み取り精度や処理速度などのレベルも検討時には考慮するとよいでしょう。
一般的に読み込める内容は以下のものがあります。
- 手書きの文字
- 印刷の文字
- 対応帳票(定型書類全般型)
業務によって必要な機能が搭載されているOCRを選びましょう。
まとめ:OCRを導入して業務効率を高めよう
OCRは、紙媒体の資料を読み込み、書かれている文字を認識してデジタルデータに変換する機能であり、導入すれば文字データを入力する手間が省けます。また、文字データ化することにより、必要な資料の検索が簡単にできます。一方で、課題にも注意する必要があるでしょう。
<このコラムのPOINT>
- OCRは、紙や書類に書かれている文章情報を光学的に読み取り、文字データに変換してコンピューターに取り込む技術
- OCRにはコスト削減だけでなく、利益拡大も期待できる効果がある
- OCR導入時には、文字データの読み込み可能量や読み取れる内容がポイント
OCRの導入を検討されている場合、効果に加えて課題も把握した上で、自社の現状や課題を確認する必要があります。求めるニーズによっても、必要なOCRの性能・機能は異なるため、自社の現状や課題に合わせ、適切なOCR製品を選ぶようにしましょう。
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