介護業界の人材不足とICT化による未来
日本での労働時間は欧米諸国に比べると長時間労働の傾向があり、加えて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差が問題になっています。それが原因となり、業種によっては人材不足の問題にも発展しています。人材不足が慢性化している業種の1つが、介護業界です。
そこで今回は、人手不足に悩む介護業界の働き方改革と、労働環境の改善に向けてどのような施策を実施するべきか見ていきましょう。
国が推進する働き方改革と介護現場
現在、国は一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革の実施を進めています。
特に慢性的に人材不足が問題となっている介護業界では、団塊世代が75歳以上になる2025年には、介護職員が約38万人も不足すると予測されています。
そのため、介護スタッフの人材確保や離職防止に向けて、労働環境の改善が急がれます。平成30年度には介護保険制度改正が行われますが、そこでは介護報酬改定などを通し、ロボットの導入やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の活用が検討されているところです。
なかでも、業務の効率化など介護職員の労働環境の改善につながる施策として考えられるのが、介護現場におけるICTの活用といえるでしょう。
介護業界のICT化で期待できることとは
介護現場で働く方の多くが負担に感じていることは、介護記録や保険請求書といった作成する書類の多さです。これらの書類は、利用者ごと、そして毎回(毎日)のサービス提供ごとに作成しなければなりません。
経済産業省において、次のような試算が出ています。介護記録等の作成を電子化することで、その作業にかかる時間を40%効率化したと仮定した場合、1事業所当たりの労働時間短縮効果は、訪問介護で2.25時間、通所介護で1.97時間、特養で8.94時間、特定施設で5.10時間とのこと。
そこで期待できるのが、ICT化による業務効率化です。介護記録の作成や申し送りなどの事務作業にかけている時間を短縮する効果が期待できます。
ICT化として考えられるのが、音声入力も可能な記録システムを利用したパソコンやタブレット端末の導入です。職員によっては、パソコンやキーボード操作の利用が苦手な人もいるでしょう。そのような場合でも、音声入力ができるシステムがあれば、誰でもデータの登録が可能になります。
さらに、機器と連動し、体温計や血圧計などで測定した結果データを、入力することなく自動的に取り込むことも可能です。
また、タブレット端末やモバイルPCを活用することで、介護現場で利用者を直接見ながら記録することができ、データをその場で送信することができるので、利用者情報や申し送りなどを職員間でリアルタイムに共有できるようになります。
訪問介護の現場で介護記録を入力できるようになるということは、事業所に戻って介護記録を転記する必要がなくなるため、直行直帰も可能になるということです。また、自宅で待機している間でも、利用者情報などを確認できるため、緊急時にも迅速かつ適切に対応することが可能になります。
つまり、ICTの導入は業務効率化が期待できるだけでなく、介護職員の働き方も変えることができるということです。例えば、蓄積した介護記録のデータや事故・ヒヤリハット情報を活かすことで、さらにより良いケアの提供が可能となるでしょう。また、介護職員のモチベーションが高まることで、サービスの質を向上させることにも繋がります。誰もがやりがいを持って働ける環境作りを、ICT化で実現してはいかがでしょうか。
まとめ
これからの介護業界は、ICT化をはじめ、介護ロボットや監視カメラやセンサーによる見守りシステムなど、先進テクノロジーを導入することで大きく変わろうとしています。業務の効率化が実現できるシステム等を導入することで、職員にとって働きやすい職場づくりが可能となるでしょう。
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