個別指導の通知がやって来た!
保険調剤薬局に対して行われる指導は、健康保険法に基づき、各都道府県の厚生局が実施する制度です。新規開業した場合に必ず受けなければならない新規個別指導のほか、開業後の薬局にも集団的個別指導や個別指導が実施されます。
集団的個別指導よりも指導が厳しくなる個別指導は、内容によってはさらに監査に進むこともあり、場合によっては保険薬剤師・保険薬局の取消しなどの処罰を受ける可能性もゼロではありません。日々の業務を的確にこなしていたとしても、個別指導の通知は薬局にも薬剤師にも大きな心理的負担を与えるものだと言えます。調剤薬局としていつ何時、個別指導の通知が来ても大丈夫なよう、日頃からどのような準備をしておけばよいか、考えてみましょう。
個別指導の実施状況と傾向とは
平成27年度に全国の厚生局が行った薬局への指導数は下記のようになります。
◆新規指導…2,616件(3,430人)
◆集団的個別指導…3,928件
◆個別指導…1,506件(2,143人)
◆監査…8件(22人)
◆指定取消・登録取消…0件(1人)
◆指定取消相当・登録取消相当…1件(0人)
※()内は薬剤師数。集団的個別指導には薬剤師数のデータなし。
このように、個別指導から先の厳しい処罰に進む薬局・薬剤師はごく稀だということが分かります。
一方で厚生労働省主導のもと調剤薬局を「患者本位のかかりつけ薬局」へと再編する動きが進む中で、個別指導数が増加していることも事実です。平成19年度では1,077件、調剤薬局の2.05%が指導を受けましたが、平成27年度では1,506件、2.58%と年々確実にその数は増加しています。「立地より機能」へと調剤薬局の役割の変化が求められる中で、今後も個別指導数は増加していくと見込まれます。
個別指導では何をチェックされるか
関東信越厚生局が平成28年度に行った個別指導において、改善を求めた指摘事項を大まかにまとめると次のような傾向がみられました。
◆処方せんや処方内容について、適切な疑義照会が行われていない点
◆処方せんや調剤録、薬剤服用歴などに記載内容の不備等がある点
◆調剤技術料などの加算に不適切な例が認められる点
具体的な指摘・指導の例を挙げると、
◆調剤済の処方せんについて、処方内容に関する疑義照会の記載内容が明確に記載されていない。
◆在宅患者訪問薬剤管理指導料について、薬学的管理指導計画が策定されていない。
◆かかりつけ薬剤師指導料について、患者の同意書の日付と薬剤服用歴に記載されている同意した日付が相違している。
◆薬剤服用歴の記録について、指導後速やかに記載するよう徹底すること。また、併用薬の情報について、有無の記載だけでなく具体的内容を記載すること。
など、細部にわたって指摘・指導が行われます。薬局・薬剤師としてするべきこと、基本的なことを正しく漏れなくできているかどうかが指導のポイントとなっています。つまり、普段の薬局運営の中でするべきことができていれば、個別指導の通知が来ても恐れることはないともいえます。
これからの薬剤師に求められること
診療報酬の改定により、重複投薬・相互作用の防止やかかりつけ指導料など、職務能力に対する診療報酬の加点の増加や新設が行われています。さらに今後、薬剤師へ求める能力の水準が高くなることが予想されるため、個別指導では今まで以上に厳しく指導されるでしょう。そのためにも、薬剤師として行った業務について「実施したという根拠を薬学的にきちんと示す」ことが重要となってきます。また、患者さんに対し積極的に薬剤管理を行うことで付加価値を提供すると共に、調剤報酬制度に則って提供したサービスをしっかりと算定することが、薬局の生き残りにもかかってくるのではないでしょうか。
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地域包括ケアシステムの推進により、かかりつけ薬剤師の役割が重視されるなど薬剤師の業務が増えている今、するべきことをきちんと行うことで、薬剤師の負担が増えていることも事実です。業務を効率化するとともに、必要な情報や改善すべき点を即座に確認できるよう、システムの整備を進めることも大切なのではないでしょうか。
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