アフターコロナのニューノーマル時代に求められる企業経営

新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた経済への多大な影響や生活様式の変化から、世界中で「ニューノーマル」という言葉が使われています。これまで過ごしていた日常が大きく変化したことで、企業も今後生き残っていくために「ニューノーマルに適応した経営の方針」を検討する必要が出てきています。
そこで今回は、ニューノーマルの時代に起こる変化や、予測できない変化に企業がどのように対応していくべきなのかを紹介します。未曾有の変化にいち早く対応できるよう、是非この記事を参考にしてみてください。

ニューノーマルとは

ニューノーマルとは、「新しい常識・状況」を指す言葉です。世界中に深刻な影響を与えている新型コロナウイルス感染症によって、社会は大きな変化を余儀なくされつつあることから、この言葉が広く使われ始めています。

感染力が非常に高く、風評被害のリスクも大きい新型コロナウイルス感染症。企業や従業員を守るため、テレワークや在宅勤務、時差出勤など緊急措置ともいえる状況下で始まった新たな勤務形態は、まさにこれからのニューノーマル時代に定着し、徐々に常識として浸透していくのではないでしょうか。勤務時間や勤務場所にとらわれない働き方が求められる時代になり、こうしたニューノーマルにいち早く適応する意識は、アフターコロナにおいて企業が生き残り、成長していくために欠かせません。

ニューノーマルという言葉が生まれた背景

「ニューノーマル」という言葉自体は、新型コロナウイルスが蔓延する以前から存在していました。元々は、インターネットが普及し始めた2000年代の初め、アメリカ人投資家が「ネット社会の到来」を受けて提唱した言葉とされています。
人々の間で広く知れ渡ったのは、2007年~2010年に発生したリーマンショックなどを含む「世界金融危機」の時期です。過剰な資本主義が失敗を招いたことを受け、今後の課題と指針を示すものとしてニューノーマルという言葉が各国メディアなどで多く使われました。
ニューノーマルが提唱されたのは、今回で3回目となります。過去2回提唱されたときも大きな変化に迫られた時期であり、それはウィズコロナ・アフターコロナの対応に迫られている今回と同様とも言えるでしょう。

ニューノーマルにおける働き方の変化

コロナ禍におけるニューノーマルに対応した働き方を確立するため、企業としてどのような変化を起こしていけば良いか、頭を悩ませている経営者は少なくないでしょう。ニューノーマルにおける働き方の変化を考える際、まず意識を向けたいのが「リモートワーク」です。今までも、働き方改革の一環としてリモートワークを導入している企業はありました。しかし、新型コロナウイルス感染防止のために人との接触をできるだけ減らすこと、必要な接触のみにする必要性に迫られている現在、リモートワークはより注目される働き方となっています。
実際、「Zoom」や「Microsoft Teams」などのオンライン会議サービスや、どんな場所からでも社内と同じ環境で働ける仮想デスクトップサービスの利用者が急激に増加しています。なかでも「Zoom」は4月2日~4月22日の20日間だけで、利用者がおよそ1億人も増加。コロナ禍においてリモートワークを導入した企業がいかに多かったかを物語っていました。リモートワーク導入の動きは、今後ますます促進されていくことが予想されています。
また、企業内だけでなく企業間取引においても、オンライン会議サービスの活用によりWeb上でのやり取りが今後ますます増加していくでしょう。オンラインでの取引はコミュニケーションがとりづらいという懸念がある一方で、遠隔地の顧客とも迅速な商談が可能となるため、より広範囲での営業活動が期待できます。

ニューノーマルにおける企業の取組事例

ニューノーマルにおける働き方について、とある企業が取り組んだ内容をご紹介します。

リモートワーク、フレックスタイム制度を柔軟に変更
A社ではコロナ禍以前からリモートワークを試験導入する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本格的に導入・運用を開始しました。また、既に導入していたフレックス制についても、コアタイムなしのフレックスタイム制度を採用しました。業務内容により出社しなければならない従業員に対しては、時差出勤を積極的に活用するよう指導しました。

コミュニケーションツールの導入
リモートワークの導入で心配されるのが、従業員間のコミュニケーション不足です。そこでA社では、コミュニケーションツール「Microsoft Teams」を導入。チャット機能や会議機能を活用し、社内コミュニケーションの円滑化に成功しています。

電子印システムを導入し、検印を電子化
リモートワークを導入した際、押印作業をどうするかは経営者にとって悩ましい問題ですが、A社では電子印システムを導入。リモートワークをしながらでも押印作業ができるだけでなく、ペーパーレス化、作業の効率化にも繋がっています。

リモートワーク環境整備のための支援
従業員の自宅の通信環境次第では、リモートワークが機能しないリスクも考慮しなければなりません。A社では、在宅勤務に必要なインターネット・電話環境を整備する費用の一部を支給。従業員が在宅勤務に必要な環境を整えられるような支援にも取り組んでいます。

ニューノーマルにおける消費者の意識の変化

ニューノーマルの時代に変化するのは、企業の働き方だけではありません。消費者の意識もまた、新型コロナウイルス感染症の影響で変化しています。様々な消費者の意識の変化を感じ取り、消費者目線に合う適切な対応をとっていくことが、これからの企業に求められているのです。では、具体的にどのような点に注視したら良いか見ていきましょう。

(1)消費への慎重な姿勢と価値へのシフト
新型コロナウイルス感染症は経済に深刻なダメージを与えており、今後不況が訪れる可能性も否定できません。こうした情勢を受け、消費者はなるべく手元に現金を残しておきたいというマインドが強まり、消費に対し慎重になることが予測されます。また、価格を強く意識するだけでなく、価値に見合った価格であるかをシビアに見る傾向が高まることが考えられます。
ここ数年見られた「コト消費」への移行は、新型コロナによる外出自粛の影響もあり激減してしまいました。だからといって、モノ消費が単純に回復するということはなく、今後は付加価値の高い商品、本当に価値のある良い商品しか生き残ることができない時代になると予想されます。

(2)オンラインメディアの利用者数、利用時間の増加
新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの人が外出できない状況となり急激に増加したのが、オンラインメディアの利用時間です。このオンラインメディアの利用時間は、新型コロナウイルス感染症が終息した後も、継続すると言われています。元々利用時間の長かった若い世代だけでなく、これまでオンラインメディアへの関わりが少なかった高齢者も、新型コロナウイルス感染症対策として買い物をECサイトや通販で済ませるなど、デジタルに触れる時間が増加しています。
そのため、オンライン上でいかに自社商品をPRできるか、ECサイトなどで販売できる仕組みを持っているかが、経営戦略に影響することが予想されます。

(3)健康リスクを考慮した行動
新型コロナウイルス感染症の影響で、消費者はより健康や安全を意識したライフスタイルを志向するようになるでしょう。感染のリスクを減らすため、他人と多く接する空間や密室・密閉された空間を避けるようになり、結果として家にいる時間が増えたという人は多いはずです。実際に、日常的な買い物も短時間で済ませる、極力少人数で混み合う時間帯は避ける、支払いは電子決済を使う、通販を利用するなどの傾向が強まっています。
このようなことから、例えば小売店や飲食店では電子決済ができる店舗かそうでないか、密にならないような配慮がされているかどうかなどが、利用者の意識に大きく関わってくるでしょう。

まとめ ~中小企業が向き合うべきデジタルシフト~

企業としてニューノーマルの時代に対応するためには、現状既に起こっている変化をしっかり理解するとともに、この先更にどう変化をしていくのかを見定めたうえで対策を打つ必要があります。企業を支える従業員の意識の変化や消費者の意識変化に対応をすることは、決して容易なことではありません。しかし企業としてこの状況を打開し生き残っていくためには、必要な変化に臆することなく、柔軟に対応することが求められると思います。
そして、対策を検討する中で注目したいキーワードが「デジタルシフト」です。
デジタルシフトと言っても定義も広く、何から進めれば良いかと悩まれるかと思いますが、まずは感染防止対策としても有効なリモートワーク導入を検討されることをおすすめします。環境を整えるための適切な投資を行う必要も当然ありますが、そのうえで表面化した課題を1つずつ解消していくことでデジタルシフトは格段に前進します。ニューノーマルと言われる時代だからこそ、スピード感を持ってデジタルシフトへの対応を進めてみてはいかがでしょうか。
また、ニューノーマル時代の消費者マインドに対応するためにも、デジタルシフト戦略は重要な役割を担います。デジタルシフトを進めていくための考え方については、ぜひこちらの記事「デジタルシフトを推進するために求められる考え方とは」を参考にしてください。

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