デジタルシフトを推進するために求められる考え方とは

ビッグデータやAIなどデジタル技術の革新が進む現在、大企業だけでなく中小企業においてもデジタルへの移行~デジタルシフト~が求められている時代です。しかし、デジタルシフトについて何となくの概念や重要性については理解しているものの、具体的に自社でどう活用をすればいいのか、そのための準備に何が必要かなどについては、今ひとつ把握できていない方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、何をどう検討すべきかに悩む経営者や企業の担当者に向け、デジタルシフトの概要や導入に向けたポイント、導入事例などを詳しく解説していきます。

デジタルシフトとは

デジタルシフトとは、経営やマーケティング、生産活動など「あらゆる」企業活動においてデジタル化を進めることを指します。ここには、ビジネスモデルそのものをデジタル化することも含まれます。非常に広義な概念ですが、余り難しく考える必要はありません。

身近な例でいうと、「インターネット通販」の普及はビジネスモデルにおけるデジタルシフトの代表例と言えるでしょう。今では老若男女問わず多くの人がインターネット通販を利用するようになり、これまで実店舗だけで物を売っていた企業の多くがインターネット通販の世界に参入しました。
また、企業活動におけるデジタルシフトの分かりやすい例としては、マーケティング戦略の変遷が挙げられます。業務遂行のために1人1台のパソコンが支給されている企業が増え、さらにスマートフォンの普及も相まったことで、新聞や雑誌・チラシなどが中心であった広告が、インターネット広告に取って代わったというのは決して珍しい話ではありません。
その他にも、ロボットによる接客やVRによる不動産物件の下見など、デジタル化の例は非常に多く挙げられます。

これまで挙げた例からもわかる通り、デジタルシフトの目的は、「消費者やユーザーの行動がデジタル上へと遷移したことに合わせて、自社のビジネス展開を変革していくこと」、「IT・IoTを上手く駆使しながら新たな価値を生み出し、顧客のニーズを掴むことで利益を生み出すこと」と、言えるのではないでしょうか。

デジタルシフトの推進に求められる「To-Be」発想

IT技術の革新や政府が進めるIT戦略などにより、日本にもデジタルシフトの波は来ています。しかし、中小企業の多くではデジタルシフトの考えが浸透しているとは言えません。理由としては、「あくまでデジタルシフトは大企業に限った話」という考えのほかに、「そのほかの課題が今、目の前にあってデジタルシフトどころではない」という、As-Is発想(今の課題を解決するための手段を決める)にとどまっている中小企業が少なくないことが考えられるでしょう。
デジタルシフトは、短期的な成果を求めると上手くいかないケースが多く、社内に浸透させるためにも時間をかけて長期的に取り組むべき事柄であるため、直近の課題を複数抱える企業では「それどころじゃない」と後回しにせざるを得ない面もあるのではないでしょうか。
しかし、デジタルシフトの波に乗ることは、避けてはいられないのが現状です。株式会社オプトホールディングが2019年に実施した「企業のデジタルシフトに関する調査」によると、「デジタルシフトの意識が低い経営者の元で働きたいと思うか」という問いに対し、「働きたいと思わない」と回答している社員が55.5%もいるのです。つまり、人材確保の側面からもデジタルシフトは求められていると言えます。

企業の規模を問わずデジタルシフトの考えを浸透させていくためには、As-Is発想「日々直面する課題を解決する」という考え方から脱却し、To-Be発想「将来を見据えてあるべき姿をイメージし、そこから今行うべきことを考える戦略」を用いることが重要です。今ではなく未来の企業の姿を考え、そこに向かうためにはどのような取組が必要になるか、模索しながら職場の環境づくりを進めていけば、自然とデジタルシフトも浸透していきやすくなるでしょう。
また、デジタルシフトを進めていくうえで、気をつけておくべきはデータの取扱いです。あらゆる詳細なデータを入手し、参考にしていくうちに、「データがすべて」という考えに陥ってしまう場合もあります。デジタルシフトを進めていく上で大切なのは、「データを元に優れた判断を下すこと、そしてそれができる人材を育てること」です。データはあくまで、正しい判断を下すための「サポート役」であるという考えは、常に持っておくようにしましょう。

デジタルシフト戦略の事例

デジタルシフトの推進にあたっては、To-Be発想を用いることが重要ということを上でご紹介しましたが、積極的にデジタルシフト戦略に取組んでいる企業は、実際にどのように進めているのでしょうか。以下にていくつか事例をご紹介します。

マス広告戦略からデジタルシフト戦略に転換した大手メーカーA社

これまではテレビなどに大量のCMを打つことで、消費者に情報を届けてきていた大手化学メーカーA社。現在はデジタルシフト化を推進しており、積極的にWeb CMを発信するようになりました。このWeb CMでは、受け取り手である消費者がCMの内容を「自分事」としてとらえられるように、情報を「だれに」「どんなアプローチで」届けるかが細分化されています。受け取り手が、情報をより受け入れやすい設計となっているのが特徴です。

利用客のニーズに合わせてデジタル戦略を進める大手スーパー経営のB社

1万を超す店舗を展開している大手スーパーマーケットB社では、近年利用客のニーズが「時短」や「低価格」、「健康志向」にシフトしているという実態を受け、ネットを使用することで得られる利便性を活かしたデジタルシフト戦略を新たに策定しました。具体的な方針としては、「ネットスーパーの構築」、「店舗及び業務のデジタル化」などを掲げています。今後はAIで分析したビッグデータを活用して、顧客一人ひとりのニーズをいかに数字化し活かすかがポイントになりそうです。

マスとデジタルを統合したデジタルシフトを模索する化粧品メーカーC社

日本を代表する大手化粧品メーカーとして、これまでテレビCMや雑誌などを中心に広告を打っていたC社。しかし最近では、テレビや新聞を目にする時間が減っているユーザーが目立っているという現状も踏まえ、デジタルシフトへの転換を考えるようになってきました。
しかし、ユーザー層がテレビを全く観なくなったわけではなく、依然として高い影響力があることも認識していました。そこでC社では、「マスとデジタルの統合」を目指しています。具体的な策としては、これまで分断されていた多種多様な情報を一元管理し自由に組み合わせることで、広告が届いていない層を徹底的にゼロにするようなプロモーション展開を始めています。例えば、テレビでCMを流した数日後にWebアンケートを実施。CMの認知度が低い層をターゲットにCMとは異なる低コストの動画を配信するといったシナリオを作っています。

ターゲットを絞るデジタルシフトによって売り上げを大きく伸ばした飲料メーカーD社

デジタルシフトマーケティングによってリニューアル商品の売り上げを大きく伸ばしたのが、大手飲料メーカーのD社です。商品のターゲットを若者に絞り込み、あえてテレビCMを減らしました。その代わり、ネット配信や人気ミュージシャンとのタイアップ企画を実施したのが、功を奏する形となりました。
こうしたプロモーションの裏には、ソーシャルメディアの口コミ分析や既に蓄積していたデータの活用などがあります。このように、多くのデータをいかに活用するかというデジタルシフトマーケティングが、これから先必要不可欠となっていくでしょう。

まとめ

多くの大企業が取り入れ、そして成果を挙げつつあるデジタルシフト。中小企業もこれから5年先10年先の時代を生き残っていくためには、デジタルシフトと向き合っていくことが求められるのではないでしょうか。
デジタルシフトの構図を描くには、「将来のあるべき姿」を明確にした上で現状とのギャップを洗い出し、どの部分でのデジタルシフトが必要なのか、またどの部分を優先して進めていくべきか戦略を決めておくことをおすすめします。戦略を決めないままデジタルシフトを推進したとしても、形だけで終わってしまう可能性があります。「取りあえずやってみたけど上手くいかなかった」とならないためにも、まずは自社の現状と、自社のユーザー層が何を求めているのかを徹底的に分析しましょう。その上で、優先度が高いものから施策を進められてはいかがでしょうか。

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