業務効率化のアイデアに!ECRSの原則とは?

「働き方改革関連法案」が施行され、業務効率化についての関心が高まっている企業が今まで以上に多いのではないでしょうか。しかし、一口に「業務効率化」といっても、各企業にとって最適な施策を導き出すことは簡単なことではありません。
業務効率化を進めるために多大な工数を費やしたにも関わらず、結果、有効な施策を打てなかった...となってしまっては本末転倒です。

そこで今回は、業務効率を改善するにあたって参考となる「ECRS(イクルス)の原則」という考え方(フレームワーク)に焦点を当て、アイデアの事例を交えながら業務効率化を実現するまでの効率的な進め方について、ご紹介します。

ECRSの原則とは

業務効率化を進めるにあたっては、「だれがどの業務に関わっているのか」「この業務は具体的にどのようなフローで行われているのか」など、業務に関わる手順や環境を洗い出し、その中から課題を見つけて改善することが重要です。しかし、いざ洗い出そうと思っても「どこから始めたら良いか?」と、スタートラインの時点で悩んでしまうこともあるでしょう。また、携わる業務内容全てを一から洗い出そうと試みた結果、洗い出すことだけに労力を使ってしまい何も改善されていない、なんてことも。

そこで、業務改善のアイデアを考えるにあたって役立つ考え方が、「ECRS(イクルス)の原則」というフレームワークです。もともとは、製造現場での業務効率化のために編み出されました。

しかし、今ではデスクワークや営業、小売業、サービス業など、さまざま業務・業種で応用されています。
「ECRS」は、

  • Eliminate(排除:取り除く)
  • Combine(結合:つなげる)
  • Rearrange(交換:組み替える)
  • Simplify(簡素:簡素化する)

の4つの頭文字を指します。「ECRSの原則」はこれら4つの視点に立ち、業務改善効果の高い順にE→C→R→Sの順で見直していくものです。
それでは、「ECRS」の各ステップを確認していきましょう。

(1)Eliminate(排除)

まず初めに、無駄な業務を「取り除く」ことを考えます。「実はなくせる業務がないか」という視点で、業務や工程を見直してみましょう。業務の目的や目標を改めて確認し照らし合わせてみると、無駄な業務が見えやすいです。
また、いつも「当たり前」のように行っている作業がルーチン化しているだけで、それほど重要ではない可能性もあります。業務そのものに影響しないと思われる「習慣」は、思い切ってやめてしまうのもひとつの方法です。

具体例

  • 会議の議題に合わせ、参加人数を絞る
  • 会議の開催時間を短くする
  • 定例会ではなく連絡事項を1枚にまとめた資料のみを共有する
  • 朝礼を廃止する
  • テレビ会議を利用し本社、支社間の出張を廃止する
(2)Combine(結合)

続いて行うのは、業務を「つなげる」作業です。似ている作業を同時に進める、複数の作業を並行して進めることで、工数を減らすことが目的です。
例えば、会議を開催したときに、定例会も同時に行ってしまえば会議の数や会議にかける時間そのものを節約できますし、メールをグループ送信するだけでも、手間を省くことになります。また、営業データを使い似たような集計表を複数作成しているのであれば、集計表を1つにまとめてしまう方法もあります。
この結合は業務をつなげるだけでなく、類似した業務をする部署がいつくか存在した場合に、部署自体を統合することで人員削減を図ることも手法の1つです。

具体例

  • 会議と定例会を同時に開催する
  • メールをグループ送信する
  • 複数の類似するデータ集計表を統合する
  • 移動時間に日報やプレゼン資料を作成する
  • 類似する業務を行う部署を統合する
(3)Rearrange(交換)

「Eliminate(取り除く)」「Combine(つなげる)」といった方法が難しい場合、業務に優先順位をつけ作業する、もしくは作業順番や作業内容を「組み替え」て、業務効率を改善できるか検討していきます。
例えば資料を作成する場合、事前にテンプレートを作成しておけば、作業効率が格段に上がります。また、客先提出資料など上長の確認を得られないと出せない資料がある場合は、確認に要する時間を考えて先に資料を作成し、上長が確認中に他の仕事を行うと効率的です。
ほかにも業務を細分化し、一部を専門業者に委託するといった方法もありますし、作業を行う担当者を変更することも考えます。

具体例

  • 事前にテンプレートを作成してから資料を作成する
  • 顧客への訪問時間を、移動時間が少なくなるよう変更する
  • 議事録の作成に音声認識ソフトを活用する
  • 承認を得ないと提出できない資料は先に作成し、確認中に他の業務を進める
  • 業務を細分化し、一部を専門業者に依頼する
(4)Simplify(簡素)

最後に、作業の一部を「簡素化」してもその作業をきちんと完結できるか、同じ成果がでるのかを検討しましょう。複雑な作業は、一見「必要不可欠」に見えて無駄な工程を含んでいることがあります。作業を「シンプル」にすることを目指せば、工数を削減することはもちろん、気持ちの面でも余裕が生まれます。簡素化が行われることで属人化が解消され、誰でも、同じ品質で同じ業務をすることができることも期待できます。
例えば自動車メーカーで言えば、車種Aと車種Bで使用するボルトなど部品を統一することも、簡素化を行う1つです。

具体例

  • 集計表に関数を設定し、1つ入力すれば他は自動計算できるようにする
  • 資料のテンプレートを社内で共有する、標準化する
  • 社内メールのみは「あいさつ」を省き、要件を簡潔に書くルールを設ける
  • 製品に必要な部品の種類を統一する
  • 経費精算を表計算ソフトから専用のソフトに変更する

まとめ

働き方改革関連法案が施行された今、「働き方改革」と聞いて「残業時間の削減」をイメージする方は多いと思います。しかし、具体的な対策のないまま残業時間を減らすことに注力してしまうと、サービスや製品の品質低下につながる可能性があり、結果として業績の悪化を招く恐れがあるだけでなく、企業と従業員間の軋轢を生むことになりかねません。

残業時間の削減は、あくまで業務効率化によってもたらされる多くの「価値」のひとつです。無駄を省き、今までの仕事をより早く、より高い質でこなすことで、作業時間あたりの売上や利益が上がります。その結果、コスト削減や生産性向上へと繋がることが、業務効率化の本来の目的です。
また、たとえ作業時間が同じであったとしても、今までよりも高い価値を生み出すことが出来たのであれば、時間短縮と同等もしくはそれ以上の効果があると言えます。

今までのやり方や慣習を見直すことは、決して容易ではありません。ですが、「これまでと同じことが良いこと」という思い込みを取り、常に最善なものはなにか?という視点でアイデアを出すためにも、ぜひ「ECRS」の活用を検討してはいかがでしょうか。

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