生産管理システムとは?主な機能や導入メリットを解説

製造業において、QCD(Quality:品質、Cost:原価、Delivery:納期)を最適化することは重要課題の一つです。QCDを最適化するため、生産計画に基づき製造工程の全体を管理するためのシステムが生産管理システムです。本コラムでは、生産管理システムの主な機能、導入メリットや注意点について解説します。

このコラムを読んで分かること

  • 生産管理システムの概要
  • 生産管理システムでどんなことができるのか
  • 生産管理システムの導入効果
  • 生産管理システムを効果的に利用する方法

【目次】

  • 生産管理システムとは
  • 生産管理システムの主な機能とメリット
  • 生産管理システムを導入する際の注意点
  • まとめ

生産管理システムとは

はじめに申し上げたいのは、「生産管理」は、企業目標達成の手段であり、生産管理すること自体が目的とならないように注意してください。この手段(生産管理)をシステム化したものが生産管理システムであり、冒頭に述べたように製造業においては、QCDの最適化が重要です。

生産数や部品の所要量、単価、納期など、製造過程では様々な数字を目にします。それらの数字をすべてアナログで管理することも可能ですが、作業に時間がかかるのはもちろん、業務品質の低下に繋がる可能性もあります。そうしたアナログ業務をより効率化しながら、製品そのものや製造過程の品質を高めるために有効なのが、生産管理システムです。

生産管理システムの導入が進む理由

生産管理システムの導入が進む理由として、業務効率化やコスト削減、旧来型の基幹システムの更新が挙げられます。特に、2021年以降はデジタル化の加速を⾒据えたDXの推進により、先送りにしていた設備投資をする企業が増えています。事実、経済産業省が出している「2022年版 ものづくり白書(経済産業省)」によると、製造業自体のIT投資は、21年は前年比0.1兆円の減少であったものの、

  • 鉄鋼業
  • 業務用機械機器具製造業
  • 情報通信機械器具製造業
  • 自動車・同付属品製造業

上記においては、前年に比べ増加したとされています。

[出典:「2022年版ものづくり白書:図 500-5 IT 投資の推移(業種別)」(経済産業省)

また、製造業におけるIT投資の対象は、生産管理システムが全体の65.4%を占め、投資先の中でも1位となっています。このように現在も製造業の多くの企業で、生産管理システムの導入が進んでいる状況です。

[出典:「2022年版ものづくり白書:図 500-29 具体的な IT 投資の対象」(経済産業省)

生産管理システムの主な機能とメリット

生産管理システムを導入することで具体的にどんなことができるのでしょうか。 生産管理システムの主な機能6つと、それぞれのメリットをご紹介します。

①生産計画

生産計画とは、製造業などにおいて、納期や個数、費用から生産を計画するものです。発注があった製品を納期に間に合わせることの他に、過去のデータなどから安定した売上をあげるための生産計画が立てられるというメリットもあります。生産管理システムの生産計画の機能の大半は、大日程計画・中日程計画・小日程計画に分けて計画を細分化し、日々の製造工程を管理できます。

②原価管理

生産管理システムでは、原価管理を行えます。たとえば、製品を製造するにあたって必要となる素材や部品などの材料費、製造に関する人の賃金である労務費、特許使用料や光熱費などの経費を明らかにするとともに、データとして管理します。また、それらデータから製造原価の算出や分析、シミュレーションなども行うことができます。原価改善するには原価を把握することが基本であり、利益の最大化やリスクヘッジができるようになります。

③受注管理

受注業務とは、取引先からの注文を受ける業務にあたりますが、注文を受けた後、製品を出荷するまでの範囲を担うことが一般的です。この受注業務を管理するのが受注管理であり、社内の在庫部門や製造部門とも密接に関係します。

受注管理のメリットとしては、受注に関する書類や伝票作成がシステム化され、人的ミス軽減や業務効率化を図ることができます。また、在庫管理にリアルタイムでデータが反映され、最適な製造工程の計画・実行、出荷が可能となります。リードタイムが短縮されることで、顧客満足度の向上が期待できます。

④工程管理

実際に製造を行う工程の管理を行います。製造業務全般の流れを管理し、予定通り進められているのか、遅延がないかなどの進捗管理が可能です。
大規模な生産工場では、必然的に把握すべき生産ラインや従業員の数も多くなります。そのため、各工程での負荷を把握しづらくなり、従業員の稼働負荷に偏りが生じてしまうリスクもあります。生産管理システムによって、各工程の生産負荷状況を見える化できれば、偏っていた仕事量の平準化にも役立てることができるでしょう。

⑤品質管理

ある一定の基準を満たした製品を製造するために行うのが品質管理です。
不良品の発生を抑え、無駄なく効率よく製造できるよう、製造工程で発生する様々なデータを管理、分析できるため、品質改善に役立ちます。万が一、出荷後に問題が発覚した場合でも原因が特定できるように、トレーサビリティの仕組みを導入することも品質向上に有効です。

⑥在庫管理

在庫管理機能は材料や部品、商品といった在庫の管理だけではなく、無駄な在庫や欠品を減らすことにも役立ちます。つまり、受注したものが納期までに納品可能なのか在庫状況からすぐに判断ができます。

上記の主な6つの機能は、製造業で直面し得る生産管理の問題解決に役立てられています。モノと情報の流れを生産管理システムで一元管理することにより、効率的かつ品質の高い生産管理が実現できるでしょう。

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生産管理システムを導入する際の注意点

最後に、生産管理システムを導入する際の注意点をご紹介します。生産管理は、事業運営の根幹にあたる部分のため、会社の利益にも直結します。導入失敗を避けるためにも、4つの注意点を押さえておきましょう。

1.導入目的を明確にしないと効果的に活用できない

生産管理システムを導入する場合は、導入目的を明確にしないと効果的に活用できない可能性があります。

現在の生産管理業務にどんな問題があり、どの会社のシステムを使って解決するかという明確な目的がないと、システムを活用しきれません。
また、とりあえずスペックの高い生産管理システムを導入したり、さまざまなオプション機能を追加したりしたものの、実際に使う機能は一部だけという状況に陥ってしまう企業も少なくありません。

生産管理システムは機能カスタマイズが可能なものもあるので、解決したい課題に合った機能をカスタマイズするとよいでしょう。

2.導入に対する投資対効果があるか見積もる

システム導入にあたって投資対効果があるかを見積もりましょう。
生産管理システムの導入目的と導入後の目標を明確にすることで、システム導入に関する費用と効果を見積もることができます。

3.製造工程と適合しているかを確認する

製造業における重要なポイントは製造工程との適合性です。ひとつの工程の効率を上げるだけでは、全体の効率化は図れません。生産管理システムを導入する際には、全体の製造工程に対して生産管理システムがどれだけ適合できるかを重視して、システム選定をしましょう。

4.社員研修が必要になる

新しいシステムを導入する場合、システムを使用する従業員向けに社員研修が必要になります。今まで、Excelや紙媒体を利用していたものからデジタル化した場合などは慣れないことも多く、ミスも発生しやすいでしょう。

生産管理システムを導入したあとは、必ず社員が操作方法を覚えられるような研修を用意しましょう。そのためには、まずは導入担当者が操作方法を覚えていく必要があります。

操作方法で不明点がある場合は、サポートデスクなどを利用し、疑問点を解消していきましょう。操作に慣れてしまえば、作業効率、品質ともに向上しますが、覚えるまで時間と手間がかかることもあるので注意してください。

まとめ

ここまで、生産管理システムの主な機能、導入メリットや注意点について解説してきました。本コラムのポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • 生産管理システムとは、製造業務における管理や作業の効率化、問題解決をサポートしてくれるシステム
  • 製造工程だけではなく、売上や原価などのコスト管理、品質管理も行えるため、事業成長に役立つ
  • 生産情報を一元管理できるため、過剰生産や生産負荷の偏りが改善でき、仕事量が平準化される
  • システム導入後は社員研修を実施し、現場の従業員の不明点を解消し、操作できるようにすることが大切

生産管理システムの導入は、「生産計画」「原価管理」「受注管理」「工程管理」「品質管理」「在庫管理」といった、製造業のあらゆる業務工程の効率化や見える化に役立ちます。
しかし、生産管理システムは導入する目的、費用対効果なども考えて導入しなければ、うまく活用できません。

まずは、現場で働く従業員の声を聞いて、どんなところに問題点があるのかを把握し、最適な生産管理システムを選定しましょう。

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生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF」は、3つの生産形態に対応したラインアップとなっており、個別受注生産に対応した「製番管理版」、繰返受注生産に対応した「MRP版」、個別受注生産と繰返受注生産の両方に対応した「ハイブリッド版」があります。金属製品、機械器具、電気機械器具、輸送用機械器具、精密機械器具など、適応業種は様々です。
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