ビジネスパーソンに求められる決断力・前編

ビジネスシーンにおいては、あらゆる局面で決断を求められますが、自信のなさや優柔不断な性格などが原因で、決断することをためらってしまうという人も多いようです。しかし、ここぞというときに決断力が発揮できなければ、ビジネスパーソンとしての成長が望めないだけでなく、同僚やクライアントからの信頼を失ってしまうことにもなりかねません。
では、スキルアップに必要不可欠な決断力は、どうしたら身に付けることができるのでしょうか。まずは決断力とは何かということを、見つめ直すことから始めてみましょう。

似ているようで実は異なる「決断力」と「判断力」

「決断力」と同じような意味合いで使われる「判断力」という言葉。物事に対して答えや方向性を示すという意味では同じかもしれませんが、突き詰めて考えてみると、この2つの言葉には微妙な違いがあります。

「判断力」とは、過去の出来事や経験から自分の中で一定の基準を作り、その基準と照らし合わせて正誤や善悪などを決めたり、複数の選択肢の中から1つを選んだりする能力のことです。物事を冷静に分析しなければいけないときには、判断力が求められます。

それに対して「決断力」には、個人の意志が大きく影響します。もちろん、決断をするためには判断力によって導き出した答えも1つの検討材料になりますが、最終的には「私はこうしたいんだ!」という強い意思決定が必要です。そして、決断を下した後には必ず実現させるための行動が伴うのも、判断力
との相違点だといえるでしょう。

新しいことに挑戦するときや、過去の経験値だけでは答えを出せないような課題に直面したときには、「判断力」ではなく「決断力」が必要なのです。

決断力は3つの能力を統合した力

決断力は1つの能力として捉えられていますが、実は決断を下すという行為は3つの要素で構成されています。つまり、決断力とはそれぞれの要素に必要な能力を「統合した力」であると考えることも可能です。決断力を構成する3つの能力を、具体的に確認してみましょう。

決断力を構成する能力(1):思考能力

冷静な判断に基づいた論理的な答えと自分自身の意思決定、そして判断材料がない不確実な部分のリスクや可能性を全て踏まえた上で、最善の結果が得られるかどうかを検討する高い思考能力は、決断するためには必須の能力です。

決断力を構成する能力(2):状況把握能力

ベストなタイミングで決断を下すということも、重要です。決断を迫られたときの状況によって、瞬時に答えを出さなければいけないときもあれば、じっくりと検討したほうが良い結果につながるときもあります。そのタイミングを見極めるためには、周囲の状況を正確に把握する能力が求められます。

決断力を構成する能力(3):責任能力

決断とは、答えを出したらそれで終わりというわけではありません。個人の意思が影響する決断という行為には、必ず責任が生じます。決断を下した後の行動や結果に対して責任を持つことは、決断をする上で欠かせない能力です。

決断できない原因を解明しよう

決断力がある人材は、企業にとっても強力なヒューマンパワーです。誰しも決断力を身に着けたいとは思うでしょうが、自分は優柔不断だからと最初から諦めてしまう方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
「なぜ決断できないのか」という原因を理解しなければ、決断力を身に付けることはできません。決断できない原因として考えられるのは、大きく分けると2つあります。

原因(1):自分の決断に自信が持てない

1つ目は、自分の決断に自信が持てないということです。決断によって様々なリスクが生じることが判明したり、成功率が低いという情報を耳にしたりすると、自分の決断に自信が持てなくなり、決断することから逃れたくなるのは当然かもしれません。
しかし、100%成功が約束された決断はありません。
リスクを把握しておくことは必要ですが、成功率やリスクというのはあくまでも確率論や可能性の話であり、データに振り回されると正しい決断ができなくなってしまいます。

原因(2):決断をすることが億劫になる

2つ目は、決断に伴う行動や責任を考えると、決断をすることが億劫になるということです。これは、ネガティブな感情が先走り、必ずやり遂げるという強い意志や論理的な思考が低下している状態だと考えられます。
このような状態に陥ると、決断できない理由を並べ、自分を正当化してしまうため、本人の意識が変わらない限り解決は難しいでしょう。これらの原因を解決して決断力を身に付けるためには、決断しやすい状況へと自ら思考をシフトする必要があります。

まとめ

協調性が重要視される日本の社会では、明確な意思表示を避け、責任の所在を曖昧にする傾向があるといわれていますが、ビジネスシーンにおいては、決断力を示し責任感を持って仕事に臨んだほうが、良い結果が生まれることでしょう。だからこそ、決断力のある人材が多くの企業で求められているのではないでしょうか。
後編では、決断力を身に付けるためのノウハウや、決断力を仕事に活かす方法をご紹介します。

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