多くのサービスが展開中!最新AI活用事例まとめ

近年、科学の発展とともに私たちの生活は大きく変化してきました。特にここ数年で注目を集めているのが「AIの活用」です。民間のマーケット調査会社の調査によると、2018年度には約5千億円と見込まれていた国内のAI市場規模は、2030年には約2兆1千億円にも跳ね上がると予測されています。これまで限られた環境下でのみ取り入れられてきた「AI」の利用範囲が、私生活から仕事環境までへと拡大していくことが、この予想から読み取れます。
既に一部企業では先駆けてAIを導入している事例もあり、労働環境を改善するにあたって大きな役割を担っているケースも増えています。そこで今回は、製造業や医療などの現場におけるAI導入の事例についてご紹介します。

製造業におけるAI活用事例

人手不足による労働力確保や、従業員の高齢化による技術力・ノウハウの継承といった点に問題を抱える製造業。限られた人員でいかに効率よく安全に、そして品質の高い製品を生み出していくかは大きな課題ですが、この打開策として期待されている技術がAIです。導入した企業ではどのような成果が挙げられているのか、具体的に見ていきましょう。

事例1:AIによってプレス工場の品質管理を自動化
ドイツの大手自動車メーカーA社は、プレス工場で製造する部品に発生するヒビ割れを検知するためのAIを開発し、成功を収めています。
A社が開発したAIには「ディープラーニング」という機械学習機能が搭載されており、部品に発生するあらゆる種類のヒビ割れのサンプル画像を読み込ませて学習させました。
今までは、人間による目視と画像認識ソフトウエアによる内視鏡撮影画像判定を行っていましたが、手間がかかることや判定の精度が不安定ということが課題でした。しかしこのAIの開発によって、これまで検知が難しかったわずかなヒビ割れも検知できるようになったといわれています。また、わずか数秒で検査を終えることができるそうです。
この技術がA社の全てのプレス工場に導入されることになれば、製造コストの大幅削減につながることでしょう。

事例2:AIが最適な生産計画を立案
国内大手の飲料メーカーB社では、生産と販売を最適化する目的でAIを活用しています。
飲料品は、気候の変化や消費者動向に合わせて生産計画を変更することが重要なのですが、今までは従業員の経験に頼った生産計画の立案と変更、エリアごとの個別最適化で対応していました。
そこで、国内大手の総合電機メーカーと共同で、生産計画をAIで自動立案するシステムを開発。欠品や過剰などの在庫状況を自動抽出し、タイムリーな生産計画の立案と変更が行われるようになりました。これにより、複数人の従業員が40時間かけていた生産計画作成の作業が約1時間に短縮され、大幅な効率化とともに商品の安定供給体制を実現しました。

事例3:AIで設備の異常予兆を検知
国内大手石油会社であるC社は、国内最大規模の原油処理能力を持つ製油所のボイラー設備にAIを活用した予兆検知システムを導入しています。
ボイラー設備に設置した大量のセンサーからは温度や圧力、流量、水位、バルブ開度といった情報を収集できるのですが、その情報の相互関係から「通常とは異なる」という状態をAIが見つけ、アラートを上げるという仕組みです。このちょっとした違いを発見できるようになったことで、設備異常の予兆をこれまでよりも1週間早く検知できるようになりました。
また、原因分析の時間短縮や作業負担の軽減、保全計画の最適化といった効果も現れています。

医療現場におけるAI活用事例

製造業と同様に、医療業界の人員不足は深刻な問題です。また、地域格差や医療の質といった問題も抱えていますが、そのような現状を打開するためにAIを活用する動きが高まっています。
積極的に実証実験を行っている医療現場では、どのようにAIを活用しているのか、詳しく見ていきましょう。

事例1:がんの診断をAIが担う未来医療
病気による死因の上位に分類される「がん」ですが、特に胃がんや大腸がんは患者数・発症数ともに多いとされています。多くの医療機関では、がんの診断をするために内視鏡での病理診断を行なっていますが、検査数が増える一方で病理医の人手不足と高齢化が問題視されていました。

そうしたなかで、今注目されているのがAIによる病理画像解析システムです。ディープラーニング方式を採用し4,000例を超える胃がん・大腸がんに関する情報を読み込ませることで、病理専門医の診断と非常に近い精度が得られたと発表されています。既にいくつかの病院でこのシステムの検証も開始されており、病理医の右腕になるのではと期待されています。

事例2:AIで傷病者の搬送時間を短縮
傷病者の搬送は一刻一秒を争うもの。しかし、以前に比べ、救急自動車が現場へ到着するまでに要した時間も、傷病者を病院に収容するまでに要した時間も伸びているのが現状です。
総務省消防庁が刊行している「令和元年版 消防白書」によると、平成30年中の現場到着所要時間の平均は8.7分、病院収容所要時間の平均は39.5分であり、10年前(平成20年)と比較すると、現場到着所要時間は1.0分延伸、病院収容所要時間は4.5分も延伸しているのです。これは、救急出動件数が10年前と比べ30%も増加していることが原因と考えられています。

こうした傷病者の搬送時間増加問題を解決すべく、消防庁消防大学校消防研究センターと大手通信会社グループが協力し、ビッグデータやAIを用いた救急自動車最適運用システムを構築しました。
過去の救急搬送データと、過去の気象予報データ、地域別のデータなどをAIに学習させることで、救急要請数を予測。事前に救急隊を配置する実証実験も進められています。
また、過去の病院受入データを学習させ、受け入れられる可能性の高い医療機関をピックアップする、道路の段差など地形情報をデーターベース化し走行ルートを導き出すといった研究も進められています。救急隊員の経験に頼っていた部分をサポートすべく、実証実験が始まろうとしています。

事例3:AIが最適な薬の情報を提供
薬は使い方や投薬量よって毒にもなりうる可能性があります。薬を安全に使うためには専門知識を備えた薬剤師の処方が不可欠ですが、膨大な種類の薬や用法、飲みあわせなどをすべて把握するのは難しいものです。
そこで、薬剤師の助けとなるべく導入されたのが、国立大学病院とAI研究開発会社が共同で開発したAI搭載型医薬品情報提供支援ツールです。AIが薬に関する質問に、最適な答えを導き出してくれます。
これまでQA形式で蓄積してきた約8,000件もの医薬品情報をアップデートし、AIに学習させただけでなく、異なる言い回しや曖昧な表現、いくつもの呼び名がある薬の名称や同義語を同じ言葉として教えこみました。そのため、正確なキーワードがなくても、AIが文脈から正確に読み取り、最適な回答を迅速に導き出してくれるようになったそうです。
薬剤師の補助をしてくれるだけでなく、患者さんの安全を守ることにも繋がると期待されています。

その他ビジネス分野におけるAI活用事例

先程ご紹介いた製造・医療現場だけでなく、その他の分野でもAIの活用は進んでいます。いつくか事例をご紹介しましょう。

事例1:AIが商品パッケージのデザインを評価
商品パッケージはその商品の売れ行きを大きく左右する要素のひとつだけに、デザイン決定は重要です。そこで話題となっているのが、消費者が好むパッケージデザインをAIが予測し評価してくれるシステムです。このシステムは410万人にのぼる消費者調査の結果を元に構築されており、デザインの好意度を5段階で表示するだけでなく、AIが注視した部分をヒートマップで視覚的に表す、好意度の理由を言葉で予測するなど多彩な機能をもっています。
パッケージデザインを開発する際に要していた数百万のコストと時間を、大幅に削減できると期待されています。

事例2:AIが英語の発音を評価
英会話の上達には、自身での反復練習やネイティブスピーカーとの会話量が重要だと考えていた英会話教室のD社とある研究所が、共同でAI搭載英会話アプリを開発しました。
このアプリはゲーム感覚で楽しめる点が特長で、アプリ内のキャラクターと様々なシチュエーションで会話をすることが可能です。また、英会話が初心者の方の発音でもきちんと対話ができるだけでなく、発音のレベルも判定することができます。
英会話教室に通いにくいという、昨今のニーズにもマッチしたシステムとなっています。

まとめ

年々市場規模を拡大しているAI産業。ディープラーニングの登場を期に進化したAIは今、「画像認識」や「自然言語処理」といった高度な技術を用いたサービスやシステムとなり、我々の生活に浸透しようとしています。今後、技術が進歩することで今よりもさらに高度な処理をAIが行えるようになれば、産業や生活といったシーンだけでなく、社会インフラにも進出するかもしれません。
ますます身近な存在となる可能性を秘めたAIに、ぜひ注目しましょう。

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最後に、介護現場におけるAIの活用方法についてご紹介します。
介護の現場では、提供したサービスを記録した「介護記録」がとても重要な役割を果たします。誰が見ても分かりやすく、必要な情報が書かれていることが求められる介護記録ですが、作成するにあたって次のような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?

  • 介護記録の書き方が人によって違うので確認しにくい
  • パソコンに不慣れなため、介護記録の作成に時間がかかっている
  • 専門用語が多く、新人スタッフや外国人スタッフが介護記録を作成できない

これらの悩みを解決できるのがAIによる自然言語処理技術を用いた「介護AI入力予測ツール 記録NAVI」です。現場の介護記録をベースにAIが分析し、学習。ケアの内容ごとに文例が表示されるので、マウスやタッチパネルで該当文例や文例候補を選択していくだけで、統一化された介護記録が作成できます。
介護記録に要する膨大な時間から解放される手段として、AIの活用を検討されてはいかがでしょうか。

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