今注目されているWeb3.0とは?注目を集める背景やメリット、今後の展望まで解説

インターネットの新たな形を表す「Web3.0」。ブロックチェーン技術を基盤とした分散型インターネットで、特定の企業や管理者に依存せず個人に関連するデータを自分自身で管理することができる、次世代のインターネットとして注目されています。
本コラムでは、Web3.0の基本的な概要やWeb2.0、Web1.0との違い、Web3.0に変わることによるメリット、課題などを解説していきます。また、サービス事例も紹介していますので、ご一読ください。

このコラムを読んで分かること

  • Web3.0に関する基礎
  • Web2.0、Web1.0との違い
  • Web3.0になるメリット
  • ビジネスにおけるWeb3.0を使ったサービス事例

【目次】

  • そもそもWeb3.0とは
  • Web3.0が注目を集める理由
  • Web3.0のメリット
  • Web3.0の課題
  • Web3.0の今後の展望
  • まとめ

そもそもWeb3.0とは

「Web3.0」とは、ブロックチェーン技術によって実現される分散型インターネットのことです。分散型インターネットは、特定の企業や管理者に依存せず、データや情報を分散化し、個人で管理できるというメリットがあります。

普段からわたしたちがよく利用するGoogleなどの検索サイトや、Instagram、TwitterをはじめとするSNSなどは、サービスを利用するために登録が必要で、個人情報をはじめとする様々なデータがサービスを提供する特定の企業に集中し、管理されています。
このような一部の企業に情報が集中する現在の「中央集権型ネットワーク」に対し、ブロックチェーン技術によって情報を分散して管理できる「非中央集権型ネットワーク」が、Web3.0の最大の特徴です。

Web3.0が注目を集める理由

Web3.0が注目を集める理由は、大きく2つあります。それは、「個人情報を個人で管理」できることと、「技術の発達」です。この2つを紐解くために、まずはWeb3.0が誕生するまでのインターネットの歴史を見てみましょう。

Web1.0、Web2.0とWeb3.0の違い

Web3.0が登場するまでのインターネットは、Web1.0、Web2.0に分けることができます。

Web1.0

HTMLコードで作成されたテキスト主体のWebサイトがメイン。企業や個人がホームページを作成して情報を発信し、閲覧者はコンテンツを読むだけの一方通行のコミュニケーション。

Web2.0

YouTubeなどの動画サイトやTwitter・Facebook・InstagramなどSNS の普及により、情報を見るだけでなく自分で発信したり、ユーザー同士が交流したりできるようになり、双方向のコミュニケーションが可能に。

サービスを提供する特定の企業に個人情報や行動履歴のデータが集中する中央集権型であるため、プライバシー侵害や個人情報の漏洩などのリスクに直面している。

Web3.0

Webサイトの閲覧など一方通行のコミュニケーションだったWeb1.0から、SNSの普及により双方向のコミュニケーションが実現したWeb2.0。
そして、Web2.0の課題であるプライバシーやセキュリティーなどの問題を解決するために構想されたのが、次世代インターネットのWeb3.0です。

Web2.0との大きな違いは、やはりブロックチェーン技術でしょう。
ブロックチェーン技術とは、情報を記録するデータベース技術のひとつです。ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、それをチェーンのように連結してデータを保管します。
ブロックチェーンには、データの改ざんが事実上不可能という特長があります。また、従来のサーバーでデータを一元管理する仕組みでは、サーバーダウンやハッキングなどによる個人情報の流出など様々な課題がありました。しかし、ブロックチェーンは分散型ネットワークのため、こういったセキュリティーや情報漏洩などの問題を解決し、データをより安全に管理することができます。

また、近年は、個人情報の漏洩や不正な情報収集が大きくニュースで取り上げられ、プライバシー問題への関心が高まっています。
Web2.0ではサービスを利用するために、大切な個人情報をサービス提供企業に預けている状況です。しかしブロックチェーン技術が活用されているWeb3.0では、サービスの利用と引き換えに、個人情報を預けるというやり取りから脱することが可能になります。情報漏洩のリスクなどを心配している人でも安心して利用できるため、Web3.0への関心が高まっています。

Web3.0のメリット

Web3.0になることで社会やわたしたちの生活がどのように変化していくのか、具体的にメリットを解説していきます。

(1)セキュリティーが向上する

先程ご紹介した通り、Web3.0ではサービスを利用する際の個人情報の登録も基本的に不要です。データも分散して管理するため、情報漏洩のリスクが大幅に解消されます。
Web3.0で使用されているブロックチェーンでは、インターネット上の取引に関する情報を、すべてのユーザーで分散して保持します。つまり、ユーザーが相互に監視している状態です。データを改ざんすれば、他のユーザーが保持するデータとの差異が発生して、不正がすぐ検知される仕組みになっています。
そのため、不正アクセスやデータの改ざんが不可能と言われており、セキュリティーの向上が期待できます。

(2)サービスの安定化

Web3.0は分散型のネットワークのため、サーバーを経由せずにユーザー間で通信することが可能です。そのため、サーバーにアクセスが集中してシステムダウンすることもなく、通信の安定や通信速度の向上も期待できます。

(3)企業とエンドユーザーが直接取引できる

Web3.0は、GoogleやAmazonなどのような仲介業者を必要とせず、企業とユーザー間、またはユーザー同士で直接取引が可能になります。
つまり、これまで仲介業者を介してサービスを利用する際に発生していた手数料が省けるということです。費用削減になるため、企業にとっても大きなメリットといえます。

(4)言論が自由になる

現在のWeb2.0のサービスでは、利用者間同士でのやりとりや発言に対して、サービスを提供する企業など第三者からのコントロールが入ったり、情報の検閲が行われたりすることがあります。
しかし、Web3.0は非中央集権型のため、発信に対するコントロールを受けることがなくなり、表現の自由が生まれます。言論の自由を実現する上で、Web3.0は有効的です。

Web3.0の課題

Web3.0には様々なメリットがある一方、解決しなければならない課題も残されています。どのような課題があるのか、解説していきます。

利用までのハードルが高い

Web3.0でのサービスは、基本的に仮想通貨を利用することになります。そのため、仮想通貨などの知識やITリテラシーの低い方には、仮想通貨購入までの過程も簡単とはいえず、誰でも気軽に利用できるとは言い難い状況です。
今後Web3.0の普及を推進するためには、ITリテラシーの低い人や初心者でも利用しやすい仕組み作りが必要でしょう。

トラブルは自己責任となる

現在のWeb2.0のサービスでは、パスワードを忘れた場合、運営側に問い合わせれば再発行が可能です。また、決済方法に関する問い合わせや、何かトラブルが起こっても、サービスを提供している企業に対応してもらうことができます。
しかし、Web3.0では管理者がいないため、何かトラブルが起きても個人で対処することになります。
セキュリティーレベル向上が期待できるとはいえ、お金を騙し取ろうとする詐欺行為も発生してくると予想されており、詐欺師や犯罪者のターゲットにならないためには、自己防衛のためのリテラシーが必要です。
また、言論の自由度が高まる一方で、誤った情報や過激な発言などもそのまま流れてくる可能性があります。情報を安易に信頼しないよう、注意も必要になってくるでしょう。

法的に整備されていない

Web3.0だけではなく、ベースとなっている技術や概念もまだまだ新しいものであるため、法的な整備が追いついていません。一般社会に広く浸透するには、時間がかかるでしょう。
しかし、国会でも議題にあがるほど、法的な整備が必要であるとされているため、今後に期待し、情報収集をしていくことをおすすめします。

Web3.0の今後の展望

最後に、Web3.0を使ったサービス事例をご紹介するとともに、今後の展望について解説していきます。

事例1:検索ブラウザ「Brave」

次世代の高速ウェブブラウザ「Brave」は、Google Chromeに対抗するブラウザとして開発されました。最大の特長は、ユーザーの検索や閲覧履歴などによって表示される広告を自分でコントロールできることです。広告をブロックすることもできるため、プライバシーを保護し、快適にインターネットを利用できます。
一方で、ユーザーが特定の広告表示を許可した場合は、報酬としてBraveに紐づいた仮想通貨が支払われる仕組みも。収益を得ることもできる、まさに次世代のプラットフォームといえます。

事例2:マーケットプレイス「OpenSea」

「OpenSea」は、アートや音楽、ゲームのアイテムやキャラクターなどのNFT(※1)コンテンツを売買できる世界最大規模のマーケットプレイスです。
NFTのコンテンツを誰でも気軽に出品し売買できるため、近年人気を集めています。

「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」とは、偽造や代替ができない鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータのこと。デジタルデータに固有の資産価値がついたもの。

事例3:分散型金融「DeFi」

「DeFi」とは「Decentralized Finance」の略称で、イーサリアム(Ethereum)という仮想通貨のブロックチェーン上に構築された、金融に関連するアプリケーションのことです。従来の金融システムとは違い、銀行や証券会社などの中央管理者が存在せず、ユーザー同士で直接取引ができる金融の仕組みです。入出金にかかる時間が短く、手数料などのコストを抑えられるのが特長です。また、国籍に関係なく、誰もが同じサービスを利用できる点がメリットです。

新たなビジネスモデルと分散型社会という未来

Web3.0が活躍できる分野としては、「ゲーム関連」が最初に思い浮かぶかと思いますが、今後NFTが身近になれば、漫画やアニメといった日本を代表するカルチャーをNFT上で発信していくことも増えるでしょう。NFTビジネスで優位に立つ可能性もあり、今後はたくさんの日本企業が参入を検討するかもしれません。

また、Web3.0最大の特長である「非中央集権型ネットワーク」の考え方は、これまでの企業形態を変える可能性もあります。それは、分散型自律組織「DAO」の誕生です。
DAOとは、中央集権的な権限を持った管理者がいない組織形態のことです。ブロックチェーン上にあるプログラムによって運営される組織のため、非常に透明性が高いなどのメリットがあります。また、トップはいないため、何か物事を決める際には投票が行われ、過半数を獲得したほうへと方向性が決まるなど、民主的に運営されます。

このような分散型社会が実現されれば、今よりも個人の意志や自由な発想などにフォーカスがあたる可能性があります。また、同じ種類の資産を持った世界中の人々が協力し合ったコミュニティーや、同じ目的を持ったコミュニティーなど、様々な分散型自律組織が誕生するかもしれません。

まとめ

ここまで、Web3.0について、注目されている理由やメリット、課題などを解説してきました。
最後に、本コラムのポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • Web3.0とは、プライバシーやセキュリティーなどインターネットにおける課題を解決するために構想された分散型インターネットのこと
  • Web3.0のメリットには「セキュリティーが向上する」「サービスの安定化」「企業とユーザーの直接取引ができる」「言論の自由」などがある
  • 利用までのハードルの高さや、法的な整備なの課題も残されているが、日本にとって大きなチャンスの可能性もある

Web3.0は次世代型のインターネットとして注目を集めていますが、まだまだ発展途上です。これからたくさんの分野で新しいサービスが展開されていくことが予想されますが、利用者が安全に利用できるための法的整備など、解決しなければならない課題も残されています。
新たな経済圏がWeb3.0で構築されることを見据えて、ビジネスに有効活用できるよう、今後もWeb3.0への理解を深めてみるとよいかもしれません。

Brave はBrave Software 社の製品名です
OpenSea はOzone Networks, Inc の製品名です
イーサリアム(Ethereum)はStiftung Ethereum(Foundation Ethereum)の登録商標です

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