RFIDとは?身近なところで利用されている技術の仕組みを解説
公開:2024年06月13日
RFIDは、ICタグやRFタグの情報を電波で読み書きする技術です。複数のタグを同時に読み取れ、また、情報の書き換えなどが可能です。RFIDを導入することで、作業時間の短縮や省人化などが可能で、あらゆる現場で業務効率を高めることが期待できます。
本コラムでは、RFIDの概要、メリット・デメリットや歴史について解説します。導入を検討している方は、RFIDの基本を知り、導入するときの検討材料にしてください。
【目次】
- RFIDとは?基本を解説
- RFIDのメリットとは?
- RFIDのデメリットとは?
- RFIDの種類
- RFIDの活用シーン
- まとめ:RFIDを導入して業務効率を上げよう
RFIDとは?基本を解説
RFIDは、電波の送受信により非接触で専用タグのデータを読み取ったり、書き込んだりする自動認識技術です。身近なものでいえば、交通系ICカードや電子マネーなどが挙げられます。日常的にも利用されているため、私たちにも馴染みがある技術といえるでしょう。
RFIDの種類によっては、電波が届く範囲のタグを一度で読み取れます。この技術を活用できれば、大量の製品などを効率的に検品・管理でき、業務効率化や生産性の向上も大いに期待できるでしょう。
ここからは次の3点について、詳しく解説します。
(1)RFIDの技術
(2)RFIDの歴史
(3)バーコードやQRコードとの違い
(1)RFIDの技術
RFIDは、電波によってデータの読み書きを非接触でおこなう技術であり、この技術を活用するには「ICタグ・RFタグ」・「RFIDリーダーライター」・「処理システム」が必要です。それぞれ以下のような種類・特徴があります。
ICタグ・RFタグ |
|
---|---|
RFIDリーダーライター |
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処理システム |
|
RFIDは、RFIDリーダーでタグを読み取り、情報を処理システムに送信する仕組みとなっています。
(2)RFIDの歴史
RFIDは、原型となる技術が第二次世界大戦の頃に誕生しました。これは、敵味方の航空機を識別するための「IFF(Identification Friend or Foe)」システムとして使われました。
その後、1970年代にRFID技術が商業化され、初めて製品として市場に出ました。しかし、この頃のRFIDは大きく高価で、主に大規模な物流・在庫管理で使われました。
1980年代に入るとRFIDチップの小型化・低価格化が始まり、より多くの産業での利用が可能になりました。
そして日本で急速に広まったのが、2001年の交通系ICカードです。切符を買うために券売機などに並ばなくて済むため、爆発的に普及していきました。
RFIDの利用はさらに広がり、現在では図書館の貸出管理や、スキーリゾートのリフト券などにも活用されています。
(3)バーコードやQRコードとの違い
RFIDと似たようにコードを読み取るものの中に、バーコードとQRコードがあります。それぞれとRFIDがどのように違うのか紹介します。
RFID |
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---|---|
バーコード |
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QRコード |
|
扱えるデータ量が一番大きいのは、QRコードです。一方でRFIDはQRコードと比較して扱えるデータ量は少ないものの、高速読み取りやリアルタイムでの情報更新が可能です。
RFIDのメリットとは?
RFIDを導入すると、作業時間の短縮や省人化、また、セキュリティーの観点からもさまざまなメリットがあります。ここでは、RFIDのメリットについて4点を解説します。
1.離れた場所や条件に限らず読み取れる
RFIDは、タグとリーダーが数十メートル離れていてもデータを読み取ることができるため、面積の広い倉庫内の製品タグを読み取りたい場合に大いに活用できます。また、RFIDは障害物があっても情報の読み取りが可能です。そのため、製品を梱包したままでの在庫管理や追跡が可能となります。
このようなメリットがあることから、特に多くの在庫を抱える現場においては重宝される技術となっています。なお、直接視覚的にスキャンする必要があるバーコードやQRコードでは、遠隔の読み取りができません。
2.汚れに強く、サイズや形状も多様
RFID 無線を使用して情報を伝送するため、タグ自体が汚れていても、正確に情報を読み取ることが可能です。また、RFIDタグは耐久性があり、繰り返し使用することが可能です。
さらに、RFIDはさまざまなサイズや形状に加工できる特長があります。衣類や布製品に縫い込むことができる柔軟なタグが作れるなど、使用用途に応じて最適なタグを選択することができます。
3.複数のタグを一括読み取りできる
QRコードやバーコードの場合、タグを1つずつ読み取らなくてはなりません。しかし、RFIDリーダーは複数のタグをほぼ同時に読み取ることが可能です。
これにより、大量の商品や資材を素早くスキャンしたり、移動するアイテムをリアルタイムで追跡したりすることが可能になります。
また、逆に特定のタグのみ識別して読み取ったり、探したりすることも可能です。
4.セキュリティーに強い
RFID技術は、セキュリティーに強い点も魅力です。
RFIDタグにはユニークな識別子が含まれており、これにより偽造や複製を防ぐことができます。また、RFIDタグとリーダー間の通信は暗号化されることが多いため、データの盗聴や改ざんを防ぐことも可能です。
さらに、RFIDタグとリーダーが互いの正当性を確認する「相互認証処理」技術により、不正なリーダーやタグからのアクセスを防ぐことができます。
RFIDのデメリットとは?
RFIDは、万能な点ばかりではありません。導入コストがかかってしまったり、タグを読み取れないシーンがあったりします。導入を検討する際には、デメリットに関しても把握しておく必要があります。
ここでは、RFIDのデメリットについて、2点解説します。
1.コストがかかる
RFIDは、導入するときのコストがバーコードシステムに比べてかかります。特に、大量のアイテムを管理する必要がある場合、タグのコストが大きな負担となることがあります。
具体的には、物流や在庫管理によく使用されるUHF(超高周波)RFIDタグであれば、1枚あたり数十円から数百円かかります。また、ハンディタイプのRFIDリーダーでも数万円から数十万円、ゲート式であれば数百万円が必要となるでしょう。
さらに、RFIDデータを管理・分析するためのソフトウェアも必要ですし、維持管理のコストも必要でしょう。
RFIDシステムの規模や使用する技術により大きく変わるため、導入する際にはこれらのコストを詳細に見積もることが重要です。
2.水や金属の影響を受けやすい
タグは、汚れや衝撃に強いというメリットがある反面、水や金属の影響を受けやすいデメリットがあります。
例えば飲料や生鮮食品など水分を多く含む商品や、金属製品に直接タグをつけると、読み取りに使用する電波が吸収・拡散されてしまい、正確に読み取れなくなる可能性があります。そのため、水や金属に対する耐性を持つ特殊なRFIDタグを使用するか、タグとリーダーの配置を工夫するなどの対策が必要となります。
RFIDの種類
RFIDには主に3種類のタグがあります。それぞれの特徴、使用用途は次の通りです。
タグの種類 | タグの特徴 | 主な使用用途 |
---|---|---|
パッシブタグ |
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アクティブタグ |
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セミパッシブタグ |
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|
また、RFIDは4つの周波数に分かれています。
周波数帯 | 特徴や利用用途 |
---|---|
低周波(LF) |
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高周波(HF) |
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超高周波(UHF) |
|
マイクロ波帯 |
|
RFIDの活用シーン
RFIDは、便利な機能であることからさまざまな業界で利用されています。ここからは、実際にどのような活用方法があるのかをご紹介します。
在庫管理・検品作業
工場や倉庫、バックヤードなどでの在庫管理や検品・棚卸し作業は、物流量が多くなるほど人手と時間が必要です。このような現場では、製品や部品・工具・機材・商品などにタグを取り付け、リーダーで読み取ることで、在庫数の把握、入出庫時の検品作業を短時間・少人数で実施できます。具体的には、ピッキング作業や空港での手荷物チェックなどの際に活用されています。
RFIDを活用することで、在庫数を把握するだけでなく自動仕分け、万引き対策、在庫の紛失や取り扱いミスなどの防止が可能です。
医薬品・医療機器の管理
医療現場では、医薬品や医療機器などを多く取り扱っています。医薬品は特に在庫数や期限切れなどに注意する必要があり、正確な管理が求められる現場です。医薬品や医療機器、患者さんのリストバンドなどにRFIDタグを取り付けることで、タイムリーな在庫数の把握、投薬時の確認時間の短縮や医療機器の使用状況などを管理する際に活用でき、同時に人為的ミスを減らすことも可能です。
勤怠管理
RFIDを活用することで、勤怠管理や入退室管理が可能です。タグを埋め込んだ社員証と勤怠管理・入退室管理システムを連動させることで、社員の入室・退室管理ができたり、不正侵入を防げたり、勤務時間の把握ができるといった利点があります。
まとめ:RFIDを導入して業務効率を上げよう
RFIDは、タグを電波で読み込んだり、書き込んだりする技術です。活用することで、在庫管理や入出庫作業、棚卸し作業などが効率的に行えます。
<このコラムのPOINT>
- RFIDは、電波の送受信により非接触でタグのデータを読み取ったり、書き込んだりする技術
- RFIDを利用することで効率的に大量の荷物・在庫を管理でき、人為的ミスを防げる
- 導入コスト面での懸念点もあるが、さまざまな業界で活用が進んでいる
RFIDは、小売や物流業だけでなく畜産業での利用も進んでおり、今後も幅広い業界で活用されるでしょう。業務の効率化やコスト削減、品質向上などが実現可能ですので、ぜひこの機会に自社のビジネスに活用できないか検討されてはいかがでしょうか。
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