ITやIoTを導入して活気ある書店に

たとえば駅で誰かと待ち合わせをした時に、少し早めに到着したら、すぐ近くにある書店に入ることはありませんか?
気になっていた話題の本を手に取ってみたり、これから挑戦しようとしている資格試験の最新情報が載っている本を見てみたりと、書店で本を見て回るのは楽しいですね。しかし、ITが発達したことで、本をネット通販で買ったり、電子書籍をダウンロードして読んだりする人が増え、町の書店での売上は徐々に減っているのが現状です。
そのような中、書店にITやIoT(Internet of Things:様々な製品が相互にインターネット接続され、情報交換することで、ユーザーに新しい使い方や価値を提供する仕組み)を導入して、書店を活気づけようという試みが始まりました。

書店にITやIoTを導入するアイディアを競う「ハッカソン」開催

今年1月、IT技術やIoT技術を活用し、書店で書籍を手に取る時にもっと楽しめるようにする仕掛けを、実際に作って競い合うイベントが開かれました。出版社と書店の間に立つ仲介業である書籍取次大手企業と、IT・デジタルコンテンツ人材養成スクールの共同開催です。参加できるのは、ITやIoTのエンジニア、デザイナー等のクリエイターです。また、出版業界経験者もプランナーとして参加することができます。

このイベントは「ハッカソン」と呼ばれる開発イベントであることも特徴のひとつです。イベントに集まった人同士でチームを作り、与えられたテーマに関するアイディアを出し合い、意見を交換しながら2日間でIoTプロダクトを生み出すというものです。「ハッカソン」とは、「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、ITでアイディアを生み出す手法として大手IT企業でも使われています。

今回のハッカソンでは、最優秀作品は、実際の書店に機器を設置して実証実験をすることができます。作る側にとっては賞金獲得だけではない、開発意欲や創造力をかき立てられるイベントとなっていました。

POP(店頭販促広告)をAR(拡張現実)で見せる作品が最優秀作品に

このイベントで最優秀賞を獲得したのは、書店でよく見る書店員の手書きPOPを、ARで見せるアイディアです。
書店内をスマホ(スマートフォン)のカメラ越しに見ると、AR技術によってカメラを向けた先の本に関連するPOP画像が浮かび上がるという仕組みです。紙のPOPがついていない本にも、サーバーにあらかじめ登録されたPOP画像が浮かび上がり、それを見ながら本選びを楽しむことができます。また、選んだ本のバーコードをスマホでスキャンしても、その本に関連するPOPを閲覧できるという丁寧な作りになっています。

まとめ

スマホ越しに店内を見ると、手書きPOP画像が一冊一冊の本に浮き上がってくるような書店があったら、仕事帰りにちょっと足を運んでみたくなりますね。このような取組が広がって、書店に限らず、ITを利用した斬新な見せ方で商品を展示する店舗が、次々と生まれてくることを期待します。

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