2021年介護報酬改定について【第一弾:2020年11月時点の最新情報】

公開:2020年11月18日

2021年4月の介護報酬改定に向けて、厚生労働省介護給付費分科会では議論が重ねられています。今回の改定では、科学的介護・地域包括ケアシステムの推進に加え、コロナウイルス感染症への対応力強化も重要なポイントになるでしょう。コロナ対応を見据えた経営環境を考える経営者や現場管理者は気にかけている方も多くいらっしゃるかもしれません。また、介護業界のICT化についても注目すべき点でしょう。そこで、今回は来年度の介護報酬改定におけるポイントについて解説します。どのような方向性となるのかを事前に知ることは今後の事業所運営方針のヒントとなるはずですので、是非参考にしてみてください。

「VISIT」と「CHASE」が推進する科学的介護とは

2020年10月9日に開催された「第187回社会保障審議会介護給付費分科会」の中で、『令和3年度介護報酬改定に向けて基本的な視点(概要)(案)』が取りまとめられており、令和3年度介護報酬改定においては次の5つの主要テーマについて議論が進められています。

  1. 感染症や災害への対応力強化
  2. 地域包括ケアシステムの推進
  3. 自立支援・重度化防止の推進
  4. 介護人材の確保・介護現場の革新
  5. 制度の安定性・持続可能性の確保

このうち、「自立支援・重度化防止の推進」において、介護サービスにおける質の評価の在り方や現場での負担軽減、業務効率化のための「科学的介護」の実現を目指す内容となっています。「科学的介護」とは、介護分野のエビデンスを集めるデータベースを構築し、そのエビデンスを基にした客観的根拠をもって介護利用者に最適なサービスやケアを提供することです。
科学的介護を展開するための重要な基盤のひとつとして、リハビリ分野に関するデータベース「VISIT(monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care)」が令和元年の改定で導入されました。しかし、令和元年10月時点での算定率は通所・訪問リハビリテーションともに1%台と、利用率の低さが課題となっています(第185回社会保障審議会介護給付費分科会「【資料】自立支援・重度化防止の推進」より)。VISITは、リハビリマネジメントに必要なデータを提出することで分析結果のフィードバックを受ける仕組みですが、データ入力の業務負担が大きいことが、利用率が低迷している主な要因のようです。

また、今年2020年から介護分野のエビデンスを集めるデータベース「CHASE (Care, HeAlth Status & Events)」の運用が開始されました。CHASEは、介護サービス利用者の状態やサービス内容などを可視化する目的で開発されたシステムです。VISIT とCHASEという2つのデータベースが一体となって稼働することで、詳細なエビデンス蓄積・分析が可能となり、より質の高い介護・リハビリパフォーマンスを提供できると期待されています。
フィードバック機能の統合や介護業務ソフトの連携はデータ入力・収集などの介護現場における作業負担を軽減し、必要なデータの自動抽出を可能にします。VISITとCHASEの連携で得られるデータに基づいたPDCAサイクルを推進し、ケア全体の質の向上につながるメリットがあります。

[VISIT・CHASEによる科学的介護の推進(イメージ)]

地域包括ケアシステムと在宅介護の推進

介護報酬改定において、「地域包括ケアシステム推進」の論点はどこに置かれているのでしょうか。
社会保障審議会介護給付費分科会では、ポイントを次のように示しています。

  • 認知症への対応力を向上するための取組
  • 人生の最終段階における本人の意思に沿ったケア(看取りへの対応など)
  • 医療と介護双方のニーズがある高齢者への在宅サービスの在り方
  • 介護保険施設・高齢者向け住まいにおける対応の在り方

日本の高齢者人口が増えるなかで、2025年には75歳以上の団塊世代が後期高齢者(75歳)の年齢に達し、介護と医療のニーズはさらに高まりますが、労働力人口は約5~13%程度減少します。介護人材が不足するだけでなく、介護難民の増加、孤独死リスクの増加といった様々な課題があり、早急な改善が必要です。このような背景を踏まえ、厚生労働省は地域にサポートセンターを設置し、介護と医療それぞれのサービスが連携した地域包括ケアシステムの構築を目指しています。システムの目的は、高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう、包括的な医療・介護・生活支援サービスを提供することです。

地域包括ケアシステムの実現を目指した介護と医療における連携の推進について、リハビリテーションの取組をご紹介します。

■医療との連携強化・リハビリテーション計画書の互換性
医療から介護への円滑な移行を図るため、医療機関から介護保険のリハビリテーション事業所への情報提供をスムーズにし、簡略化した様式を使用する場合の評価を新設する取組です。リハビリテーション計画書は、互換性を持った様式にします。

リハビリテーションマネジメント加算「リハビリテーション計画書」(※)
算定要件 多職種が協働し、継続的にリハビリテーションの質を管理した場合に算定
文書の内容 利用者と家族の希望、健康状態(原疾患名、経過)、参加の状況、心身機能の評価、活動の評価(改善の可能性)、リハビリテーションの目標と具体的支援内容、他職種と共有すべき事項 等

介護人材の確保・介護現場の革新

介護業界は慢性的な人材不足であることを裏づけるデータがあります。厚生労働省が発表した第7期介護保険事業計画の「介護サービス見込み量」などに基づき、都道府県が推計した介護人材の需要を見ると、2025年度末には約245万人の人材確保が必要です。

[2025年に向けた介護人材ニーズ(第7期計画に基づく介護人材の必要数)]

政府は2025年までに介護人材を確保するため、介護職員の処遇改善、多用な人材の育成、離職防止・定着推進、介護職の魅力向上、外国人材の受入れ環境整備といった総合的な施策に取り組んでいます。
介護職は仕事が忙しく、賃金が低いという認識を持っている方もおり、業務内容に不満があったり将来性に不安を感じたりしている人が多いという背景があるため、離職率の高さにも繋がっています。介護職の採用率が16.5%に対して離職率は15.7%と、産業計と比べるとやや高い水準というデータもあります。
こうした課題を解決するため、国と関係団体が一体となって介護現場を改善する取組が始まっています。特に注目すべき革新は、ICT活用における業務改善施策です。2019年度には、全国7つの自治体でパイロット事業が実施されました。そのうちの1つである北九州市の取組について、見てみましょう。

■北九州市が取り組む介護現場革新
北九州市では、人とテクノロジーの融合による新たな介護の働き方の構築を目指し、取り組みました。

  1. 北九州モデルの具体化(事業仕分け・ロボット・ICT・元気高齢者活用の三位一体効率化)
  2. 介護記録、見守りセンサー等のプラットフォーム化の実現
  3. 人とテクノロジーが融合して実現する先進的介護ワークショップ開催(介護業務のイメージ改善)
  4. ロボット等を活用した働き方等の好事例の作成
  5. 介護ロボットマスター育成講習の実施

介護ロボット・ICTを活用し、入居者の暮らしの充実を図る先進的介護の成功モデルの創造と発信を掲げ、ノウハウを全国に横展開していく予定です。

まとめ

2020年11月現在もなお、2021年の法改正の内容が議論されています。2025年には需要に対し約34万人の介護職員が不足するとの推計も出ており、人材不足対策を焦点として必要な見直しを検討していくことになるでしょう。また、課題解決のためにICT化の推進が求められており、今年度は様々な補助金制度も登場しました。現場に必要なICTを導入する際は、補助金を活用しながら事業所のICT化を進めていきましょう。

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