法改正による会計監査人の設置義務化
平成27年4月3日に国会へ提出された「社会福祉法等の一部を改正する法律案」。審議の結果、平成28年3月31日に法案が成立しました。この改正によって、平成29年4月1日から、一定規模以上の社会福祉法人において会計監査人の設置が義務づけられることになりました。
そこで今回は、社会福祉法改正による会計監査人の設置義務化の内容についてご紹介します。
設置が義務化される会計監査人
会計監査人とは、財務諸表など計算書類に記載されている財務状態が適正に表示されているかどうかを確認することを主な職務・権限としている人のこと。社会福祉法人においては、社会福祉法の会計基準に沿って計算書類などが作成されているかをチェックします。
会計監査人となれるのは、監査法人、または公認会計士のみ。加えて、監査をする社会福祉法人とは利害関係のない第三者でなければなりません。
社会福祉法人といえば、公益性の高い法人です。そのため、経営状況を公表するのが責務といえます。このことから今回の法改正で会計監査人を置いて、財務状況の透明性を証明していくことになったのです。
今回、会計監査人を設置しなければならないのは、下記に該当する社会福祉法人です。
・平成29年度、平成30年度は、収益30億円を超える法人又は負債60億円を超える法人
・平成31年度、平成32年度は、収益20億円を超える法人又は負債40億円を超える法人
・平成33年度以降は、収益10億円を超える法人又は負債が20億円を超える法人
ただし、上記については、実施状況を踏まえて、必要に応じて見直しを検討していくことになっています。
会計監査人の設置に向けて整備しておきたいこと
会計監査人を設置することになった場合は、監査の受け入れ体制を整えておく必要があります。
その一例として、事前に次のような準備をしておきましょう。
(1)組織内で業務手順を共通化する
(2)業務マニュアルを整備する
(3)納品書、検収書、請求書など会計処理の根拠となる書類を検証しやすく整理する
(4)証憑書類(相手方から受け取った見積書、注文書、契約の申込書、送り状、納品書、検収書、請求書、契約書・領収書の一部等。自己の作成したこれらの書類の写し)の管理体制を整備する
この中でも、特に(3)と(4)における書類の整理法や証憑書類の管理は重要です。なぜなら、監査時にどの会計処理にどの証憑書類が対応しているのか確認する必要があるからです。
また、国税関係の帳簿や決算関係書類、証憑書類の保存方法には、電子帳簿保存法の規定に則った決まりがあります。
その決まりとは、以下の通りです。
・電子データでの保存、もしくは紙文書での保存が義務付けられている
・3万円以上の契約書と領収書は紙による保存が必要である
つまり、会計処理に必要な書類や証憑書類などをどのように保管し、管理していくのか、職場内でルール作りをしておく必要があるということです。
まとめ
会計監査人設置が必須となる事業所は、まずは会計処理関連の業務マニュアルを整備・共通化してはいかがでしょうか。
加えて、会計監査をスムーズに導入するために、会計関連の書類についての管理体制を整えておくことをおすすめします。
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