2020年最新の人事評価制度トレンド4選

従業員のパフォーマンス向上や離職率の低下など、従業員の就業にかかわる課題の解決方法としてよく挙げられるのが、「人事評価制度の見直し」です。そもそも企業が人事評価制度を取り入れる目的は、従業員に気持ちよく働いてもらうことで、企業が思い描く経営戦略を実行することにあると言われます。しかしビジネスの環境変化が激しい現在、働き方にも変化がある中で旧来の評価制度では従業員それぞれの行動や成果、得意な分野や不得意な分野などを適切に評価することが難しくなりつつあります。

このコラムでは、多くの企業が人事評価制度を見直している中、昨今注目されている「最新の人事評価制度」を4つご紹介します。それぞれの概要やメリット、事例を知ることで、導入検討の際にお役立てください。

(1)バリュー評価

「バリュー評価」とは、従業員の評価項目の中にその企業の行動規範である「バリュー」に沿った行動ができているかどうかを取り入れた評価制度のことで、いわゆる「行動評価」と呼ばれるものです。従来の結果や成果に重点を置く人事制度とは、異なる考え方といえます。バリュー評価を取り入れることで、従業員が企業の価値観を理解し「自分がやるべき仕事」を考え行動できるようになる点が、バリュー評価のメリットです。

デジタルテクノロジーの発展により、私達を取り巻くビジネス環境は日々変化しています。これからの時代は、企業の方針を理解し自分で判断しながら行動できる従業員を育てることが企業間競争を勝ち抜くために重要になっているため、そうした人材を育成することを目的に、バリュー評価を導入する企業が増えているのです。

モバイル向けアプリケーションを運営するある企業では、従業員の四半期ごとの評価にバリュー評価を取り入れることで、競合サービスやユーザーニーズの変化に柔軟に対応できる人材育成を目指しています。これにより、同企業では従業員が「最も注力すべきことに速やかにシフトできる」体制づくりに成功、同時に企業の競争力を保つことに成功しました。

(2)リアルタイム評価

一週間や数日、ときには「その場で」働きぶりや成果、行動などを上司と部下で振り返る制度が「リアルタイム評価」です。従来の評価制度では、一年、若しくは半年単位で評価を行うことがほとんどでした。しかしこの場合、評価の基準が一年単位であれば後半の半年、半年単位であれば後半の三ヶ月に集中しがちになり、前期で良いパフォーマンスをしても評価されにくい、というデメリットがありました。また、目標設定時に定めたプランを見直さずに過ごしてしまった結果、評価期間終了間際には現状にそぐわないプランになってしまう、ということもありえます。
一方、リアルタイム評価を取り入れることで、必然的に上司と部下とのコミュニケーションが密に取れるようになります。従業員は頑張った仕事に対し、リアルタイムで評価してもらえるようになり、モチベーションも上がるでしょう。また、業務の進め方や目標に問題がある場合、早期に軌道修正できるという点もメリットと言えるでしょう。

あるウェブサイトを運営している企業では、週に一回15分程度部下とミーティングを行う形でリアルタイム評価を導入しています。それにより同社は従業員一人ひとりがどのような悩みを抱えているか、仕事を進めるためにどのような工夫をしているか、ということを把握することに成功しました。上司が部下の行動や目標の達成状況に合わせて適切なアドバイスをすることで、同社では組織全体のパフォーマンスが向上し、時代の変化に合った働き方を実現しています。

リアルタイム評価を運用する際のポイントは、上司が積極的にミーティングの場を設けることです。仮に制度を導入したとしても上司が多忙でなかなか時間を作れないのでは、評価の時期が遅れがちになり、結局従来の評価制度と変わらないものになってしまいます。
また、リアルタイム評価を定着させるためには、部下自らが気付きを得られるような場をつくることが重要です。上司が積極的に振り返りの場を設けつつも、基本的には傾聴の姿勢を保ち、部下の考えやモチベーションを測りながらアドバイスするようにしましょう。
必然的に上司側の負担が増えることにもつながりやすい制度のため、企業としては上司側をフォローする仕組みを同時に検討することもおすすめします。

(3)ピアボーナス

「ピアボーナス」とは、従業員同士が仕事の成果・貢献について評価したり認め合ったりするだけでなく、従業員同士で報酬を送り合う制度のことです。ピアボーナスは、給与や賞与と並び今や「第3の給与」とも呼ばれています。
ピアボーナスの注目度が高まった背景には、昨今の労働環境を取り巻く「人材の確保が難しい」という問題があります。人材を確保するため、企業はリモートワークや時短勤務を推進するなどさまざまな施策を実行していますが、労働モチベーションやエンゲージメントを高めるためのさらなる施策として考えられたのが、このピアボーナスという制度です。

ピアボーナスの魅力は「第3のボーナス」をもらえるという金銭面だけではありません。仕事をする「仲間」に自分の成果や取組を評価してもらうことで、従業員間に円滑なコミュニケーションが生まれるというメリットもあるのです。自分の仕事の価値をチームの垣根を超えて認められるというモチベーションへの寄与だけでなく、社内コミュニケーションの活性化という観点から人材の流出防止にもつながる制度としても注目されています。

「バリュー評価」の導入企業としても紹介したフリマアプリを運営する企業では、ピアボーナスの制度も導入しています。同社では、従業員がお互いを感謝したり賞賛したりするとき、「1ポイント=1円」のポイントを送り合うことで、部署や役職の壁を越えたポジティブなコミュニケーションを実現することに成功しました。

金銭を報酬としてやり取りするピアボーナスの実施には元となる資金を用意する必要があり、また、運用する仕組みを導入するなどコストが発生します。そのため、本当に効果があったかどうか定期的にチェックする必要があるでしょう。また、限られた従業員に報酬が集中してしまい、不満が出る可能性も考えられます。ピアボーナスを導入する際は評価する基準を明確にし、従業員全員が満足できる仕組みになっているか確認することが重要と言えるでしょう。

(4)ノーレイティング

「ノーレイティング」とは、一言で言うなら「従業員をランク付けする年次評価(レイティング)をしない人事評価」のことです。従来のランク付け評価システムでは、従業員の業績や功績を年度単位でランク付けすることで、従業員同士の競争意識を高め成長を促すというメリットがありました。しかし一方で、「評価タイミングの直前の行動や成果が評価されやすい(リアルタイム評価と同様)」、「従業員同士の相対的な評価となりがちで、自身の正当な評価としての納得感が薄くなる」というデメリットがありました。

ノーレイティングは、「評価」という仕組みは残しながらも、「リアルタイムの目標設定」と「リアルタイムのフィードバック」に時間を費やすことを重視しています。これにより上司との密なコミュニケーションが実現し、パフォーマンスを向上させるには何をするべきか?という点を、上司と部下が一対一でじっくりと話し合うことが可能になりました。
また、上司と常にコミュニケーションを取ることで、目標設定や行動目標が変わっても迅速な軌道修正をすることができます。迅速な対応が可能であれば、トラブルが起きたときも被害を最小限にとどめることが可能です。

ソフトウエア開発を行うあるIT企業では、ランク付けを廃止し、上司・部下間のコミュニケーションを重視することで、従業員一人ひとりに合った成長を促せる人事制度を構築しました。また、給与の決裁権をマネージャーが持つことで、従業員のモチベーション管理にも成功しています。

しかし、ノーレイティングにもデメリットがないわけではありません。従来のように従業員を「ランク付け」しないということは、評価に対する一律な基準がないということです。つまり、評価をする上司のマネジメント能力や管理能力に左右されやすくなります。仮に上司のマネジメント能力が低い場合、部下から「正当な評価が受けられない」という不満が出てしまう可能性があります。また、ノーレイティングは上司と部下の密接なコミュニケーションの積み重ねによって成り立つ制度のため、上司への負担が増えることも懸念されます。

以上のことから、ノーレイティングを導入することで、現場が混乱してしまうケースもあることが分かるでしょう。こうした事態を避けるため、「評価する側」の上司には、高いマネジメント能力が求められます。そのため企業としては、適切に部下を評価できるように、評価する側にはそのノウハウや知識を伝える必要があります。

まとめ

ビジネス環境が目まぐるしく変わる現在、人事制度を従来のままにしておくことで、時代に即したパフォーマンスを従業員が発揮できなくなってしまっているかもしれません。時局にあったパフォーマンスを行うためには、自社が置かれている状況をしっかりと見極め、従業員の仕事ぶりをリアルタイムで評価したり、上司・部下のコミュニケーションを密にして、適切な目標設定を行ったりすることが重要と言えるでしょう。

実際、最近では従来の人事制度を廃止し、今回ご紹介したような評価制度を導入することで、従業員のパフォーマンスの向上や離職率の低下防止に成功した企業が数多くあります。しかし、こうした評価制度に関しては、企業の業務内容や従業員の志向によって「向き不向き」があることも事実です。

新しい人事評価制度を導入する際は、まず自社の実情と課題が現時点での人事評価制度とマッチしているかを見極めた上で、取り入れる制度は適切か、マネジメントをできる人材の育成は進んでいるかという点を検討し、導入することをおすすめします。

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