子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得とは?企業に求められる対応について

これまで半日単位での取得が可能だった「子の看護休暇・介護休暇」は、令和元年12月27日に公布された法改正によって2021年(令和3年)1月1日からは1時間単位での取得が可能となりました。これは、育児や介護と仕事を両立している方はもちろん、ワークライフバランスの実現を目指す経営者、労務担当の方々も理解しておきたい内容です。
そこで今回は、子の看護休暇・介護休暇制度の基本的な情報から法改正により変わったポイント、注意点などを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

子の看護休暇・介護休暇とは

まずは、子の看護休暇・介護休暇とはどのような制度かについておさらいしましょう。

● 子の看護休暇とは
子の看護休暇とは、小学校就学前の子どもを育てながら働く従業員に対して、育児・介護休業法において定められている権利です。主に病気やケガをした子どもを看護する場合や、予防接種や健康診断などを受けさせる際に利用することができます。

● 介護休暇とは
介護休暇とは、病気、ケガ、高齢などの理由で「要介護状態になった家族」の介護やお世話をする従業員に対して、育児・介護休業法において定められている権利です。介護休暇の対象となる家族は、配偶者、父母、子ども、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。また、配偶者は事実上婚姻関係と同様の事情にある場合も対象となる家族に該当します。

子の看護休暇・介護休暇は労働者に与えられた権利であるため、基本的には従業員から利用を申し出られた場合、企業側はこれに対応する義務があります。なお、日雇い労働者については対象外とされており、また、労使協定を結ぶことで以下の条件にあたる労働者については、対象外とすることが可能となっています。

  • 雇用期間が6カ月未満の労働者
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の労働者

子の看護休暇・介護休暇制度について、もう少し詳しくみていきましょう。
取得が可能な休暇日数は、看護休暇・介護休暇いずれも1年間に最大5日までとなっています。就学前の子どもまたは要介護状態の家族が2人以上いる場合は10日が上限と定められており、例えば3人以上の場合でも上限は変わりません。
また、休暇取得時の給与(賃金)に関しては育児・介護休業法では定められていないため、無給とするか有給とするかは企業の判断となっています。

時間単位取得の義務化で変わったこと

さて、2021年1月1日から子の看護休暇・介護休暇が1時間単位で取得可能となりました、これによってどのような点が変わったのでしょうか。変更点についてみていきましょう。

■ 休暇の取得単位が1日又は1時間単位で可能に
法改正前は、子の看護休暇・介護休暇の取得単位は「1日又は半日単位」でしたが、2021年1月1日からは「1日又は時間単位」で取得が可能となります。ここで言う「時間」とは、1時間の整数倍の時間とされているため、労使協定で2時間単位での休暇取得とすることなどは認められません。
もしも1時間未満単位での休暇取得が可能な制度を既に企業として設けている場合は、法の基準を上回る措置を実施していることになるため、新たに時間単位の制度を設ける必要はありません。

■ 1日の所定労働時間に関係なく取得が可能
法改正前は1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は半日単位の休暇を取得することができませんでしたが、改正後は1日の所定労働時間に関係なく休暇を取得できるようになりました。

■ 取得できる休暇時間は1日の所定労働時間数に満たない範囲まで
取得可能な時間は、所定労働時間数に満たない範囲までと定められています。例えば、所定労働時間が7時間なのであれば、1時間~6時間まで取得ができることになります。また、取得した休暇の合計時間が1日の所定労働時間数に相当するごとに1日分の休暇を取得したものとして扱われます。

■ 日によって労働時間が異なる場合は1年間の1日平均所定労働時間を基準にする
日によって所定労働時間が変わる場合は、1年間における1日あたりの平均所定労働時間が基準となります。なお、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には、所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数とします。

子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得についてのケーススタディー

ここからは子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得について、具体的な例を挙げてより詳しく見ていきましょう。

(1)1日の所定労働時間が1時間で割り切れないケース

1日の所定労働時間に1時間で割り切れない端数がある場合、労働者に不利になることがないように端数を時間単位に切り上げる必要があります。そのため、所定労働時間が7時間30分の場合、30分の端数を切り上げて8時間を1日の所定労働時間とみなし、8時間の休暇で1日分の休暇を取得したこととみなされます。
例えば、所定就業時間が7時間30分であるAさん(対象となる子が1人)が7時間看護休暇を取り、残りの30分勤務したとします。その場合、Aさんが取得できる看護休暇の残数は「4日と1時間」ということになります。

[出典:「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」(厚生労働省)]
(2)時間単位で取得した休暇が休憩時間に被っているケース

所定就業時間が9:00~18:00(休憩時間12:00~13:00)の企業において、子の看護休暇を9:00~14:00まで取得する場合について考えてみましょう。この場合は、休憩時間を除いた4時間分(9:00~12:00、13:00~14:00)が休暇取得時間としてカウントされます。休憩時間は労働義務のない時間にあたるため、休暇時間には含まれません。実際に労働に従事することとなる時間帯の中で、連続する時間単位を看護・介護休暇として取得できると考えましょう。

(3)制度施行日前に半日のみ看護・介護休暇を取得した人のケース

今回の法改正は施行日が令和3年(2021年)1月1日の為、4月1日から翌年の3月31日を一つの年度として運用している企業の場合は、施行日以降の休暇取得日数をどのように考えれば良いのでしょうか。
例えば、1日の所定労働時間数が7時間であるAさん(要介護状態の家族が1人)が、令和2年4月1日から施行日までに「1日半」介護休暇を取得していたとします。このように半日間位の休暇を「奇数回」取得していた場合には、改正制度の施行日から令和3年3月31日までの間に取得可能な介護休暇の日数・時間数に「半日」が残ることとなります。この残った「半日」は、所定労働時間数の2分の1の時間数として取り扱う必要があるため、今回の例で言えば「4時間」分となり、残数は「3日と4時間」になります。
Aさんのように所定労働時間を2分の1にした際、1時間に満たない端数が出た場合には、労働者にとって不利にならないように端数を切り上げた時間数として取り扱うことが必要となります。

[出典:「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」(厚生労働省)]

時間単位での看護休暇・介護休暇取得に向けた運用ポイント

ここでは、子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得を導入するにあたってのポイントをご紹介します。

● フレックスタイム制度を導入している企業はどうすべきか
始業や終業の時間を柔軟に調整することが可能なフレックスタイム制度。始業や就業を自分で調整できるのだから、時間単位の看護・介護休暇の対象としなくてよいのではないか、とお考えの事業主の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、看護・介護休暇は労働者の労務提供義務(時間)を消滅させる効果を有するものであるため、フレックスタイム制度とは主旨が異なります。そのため、コアタイムのないフレックスタイム制度が適用されている労働者であっても申出があった場合には、時間単位で看護・介護休暇を取得できるようにしなければなりません。

● 流れ作業や交替制勤務に従事している従業員について
例えば以下のように、業務の性質上または実施体制に照らして時間単位取得が困難な業務に従事している労働者については、労使協定を締結した場合のみ時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。

(困難とされる業務例)

  • 流れ作業方式による製造業務を行っている場合で、かつ短時間勤務の労働者を勤務体制に組み込むことが困難な場合
  • 交替制勤務による製造業務を行っている場合で、かつ短時間勤務の労働者を勤務体制に組み込むことが困難な場合
  • 個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

困難な業務の範囲はあくまで例ですので、労使間で十分に話し合って決める必要があります。また、できるだけ多くの従業員が時間単位での介護・看護休暇を取得できるようにすることが望ましいとされています。仮に時間単位での休暇取得ができないと労使協定で定められた従業員であっても、半日単位での休暇取得はできるようにするなどの配慮が、企業として求められます。

● 「中抜け」となる休暇取得について
今回の法改正において、就業時間中に時間単位の休暇を取得して再び勤務に戻る「中抜け」は、求められていません。原則的には、始業の時刻から連続した時間、または終業の時刻まで連続する時間単位での取得を可能とすることが企業に求められています。ただし、看護や介護を取り巻く家族の状況や労働者の勤務状況などに対して柔軟な対応ができるように、厚生労働省は事業主に対し中抜けを認めるよう配慮することを求めています。
介護や看護をする従業員がより柔軟に時間休暇を取得できる環境つくりは、人材不足に悩む企業にとってもメリットとなるはずです。管理はより複雑になることが想像できますが、優秀な人材の確保、定着にも繋がる点を重視されも良いのではないでしょうか。

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子の看護休暇・介護休暇が1時間単位で取得できるようになったことで、今まで以上に従業員の勤怠管理が複雑化することが予想されます。こうした変化にしっかりと対応するために、法改正や企業の働き方改革に沿った就業管理を実現するシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ

法改正によって2021年1月1日から子の看護休暇・介護休暇の制度が大きく変わりました。制度変更にあたって企業内の福利厚生や管理体制の見直しが必要になる場合もあるでしょう。
優秀な人材の確保や定着にも寄与する制度ですので、柔軟に対応できるよう変更内容をしっかりと確認し、制度導入に向けた社内体制の整備を行いましょう。

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