プロセスマイニングとは?重要視される背景・導入による議題解決例
公開:2021年11月10日
数多くの企業にとって、「業務効率化をいかに進めていくか」が大きな課題となっています。
そんな中、「プロセスマイニング」という分析手法に注目する企業が増えています。
本コラムでは、業務効率化を図る上で有効なプロセスマイニングの概要から重要視される背景、導入によりどう課題を解決したのかについて、詳しく解説します。プロセスマイニングの導入方法についても解説していますので、導入を検討している企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
このコラムを読んで分かること
- プロセスマイニング導入による3つの課題解決例
- プロセスマイニングを導入する方法と手順
プロセスマイニングとは?概要・用途を解説
「プロセスマイニング」とは、様々な業務活動の中で得られているログ(イベントログ)から業務の改善ポイントを探る分析手法です。
ログデータを収集し分析を行うことで、現状の業務プロセスを可視化。明らかとなった現状の中から、企業が改善すべき業務を見つけ出し、改善策を講じることで、業務効率化を支援します。
プロセスマイニングには主に下記2つの用途があります。
現状把握 | 現状を把握して課題発見に導く |
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業務監視 | 不正対策や品質管理を強化する |
業務監視を目的としたプロセスマイニングは、日々のログを収集するという行為により、不正や業務プロセスにおける不具合が発生していないかをチェックする役目を果たします。つまり、現状把握自体が牽制機能となるため、不正行為を未然に防ぎ、定めた品質を保つことに繋がるのです。
用途に合わせたプロセスマイニングの活用は、業務効率の向上や企業の健全化だけでなく、働き方の改善や収益増加にも役立ちます。
プロセスマイニングと同様、企業が保有するデータを活用・分析し人事の公正化や人材育成を図ることができる手法として、「ピープルアナリティクス」があります。ピープルアナリティクスについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。
プロセスマイニングが重要視される背景
プロセスマイニングが重要視される主な背景は、下記の2つです。
(1)労働力不足
日本における労働人口は減少傾向にあります。必要なデータ取得を人手で行うとなれば、手間と時間がかかるでしょう。プロセスマイニングを活用することで、労働力が不足するなかでも必要なデータを迅速に集めることができます。
(2)業務プロセス改革の急速化
プロセスマイニングは、スピーディーかつ正確なデータ取得と分析が可能です。RPA(ソフトウェアロボットによる作業の自動化)の導入など業務プロセスの改革が急速化するなかで、様々な業務を可視化できるプロセスマイニングに注目が集まっています。
プロセスマイニングの導入は、業務改善に向けた具体的な課題を特定できないという場合にも効果的です。
プロセスマイニングの導入による課題の解決例
プロセスマイニングの導入は、業務効率化や働き方改革にプラスの影響を与えます。
期待できる効果は課題によって様々ですが、プロセスマイニングを導入するにあたり、まずはどのような課題を解決できるのかを知っておくと良いでしょう。
ここでは、プロセスマイニングの導入による課題の解決例を3つ解説します。
(1)非効率な業務の発見・プロセスの組みなおし
例えば、あなたの職場でこんな疑問や問題を感じていることはありませんか。
- ある特定業務を行う際、毎回残業が発生している
- ある特定業務のみ、他の類似業務よりも完了までに数日多く要している
このように企業の課題が「非効率な業務の改善」である場合、プロセスマイニングの導入が有効です。特に、疑問や問題を感じているものの理由がわからないという場合に、ログを使った業務の可視化・分析によって、非効率な業務をあぶり出すことができます。
プロセスマイニングの導入による改善プロセスは、下記の通りです。
<プロセスマイニングの導入による改善プロセス>
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非効率な業務が可視化されることで、現在の業務プロセスには必要がない業務を廃止する、共通する工程を標準化するなどの対策ができます。その結果、効率的で無駄のない業務プロセスを作り上げることができるでしょう。
(2)規定と異なったプロセスの発見・適切かつ定期的な社内共有
あなたの職場の業務で、こんな問題は発生してはいませんでしょうか。
- マニュアルに記載していた業務の手順が、なぜか守られていない
- マニュアルに記載の業務が簡略化されており、サービスや品質に問題が生じている
本来であればマニュアル通りに業務を遂行すべきところ、このような問題が起こっている場合、業務プロセスの中にマニュアル通りでは難しいと感じる点、あるいは何らかの不都合があるのかもしれません。
このように「規定と異なるプロセスの改善」が課題である場合にも、プロセスマイニングの導入が有効です。業務を可視化して、問題となるプロセス・問題が起こる理由を洗い出し、適切なプロセスへ内容を見なおしましょう。
<プロセスマイニングの導入による改善プロセス>
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規定と異なるプロセスで業務を続けてしまうと、サービスや生産物の品質低下だけでなく、ミスやトラブル発生の元となるおそれがあります。改善策の実行により、企業の健全化を目指すことが可能です。
また、改善後のプロセスは、正しく従業員に伝わるように定期的に社内で共有しましょう。
(3)繰り返す単純作業の発見・RPAの導入
日々同じ業務を繰り返し行っているような職場では、このような問題が起こっている場合があります。
- 単純作業によるケアレスミスが頻発している
- 単純作業の効率化が図れておらず、別の業務が増えるたびキャパシティオーバーに陥っている
単純作業は慣れ故のケアレスミスが起こりやすく、その結果、リカバリーのために無駄な業務が発生することもあります。
このような「単純反復作業によるケアレスミスの改善」を課題とする場合は、繰り返す単純作業とその負担を把握したうえで、効率化に取り組みましょう。
<プロセスマイニングの導入による改善プロセス>
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DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術で業務プロセスを改革する取り組みを意味します。プロセスマイニングとDX・RPAは相性がよいため、長時間労働の削減や業務効率化などの課題解決にもおすすめです。
プロセスマイニングの進め方
ここからは、プロセスマイニングを実行するための手順をご説明します。
【STEP1】 対象とするプロセスを決める |
まずはどのプロセスのデータを見ていきたいか、プロセスマイニングの目的・対象とする範囲を決める。 ツールを利用する場合にはどのツールを用いるか、また、分析手法も検討する。 |
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【STEP2】 データ収集 |
収集したデータをもとにイベントログを作成する。イベントログには、分析に必要となる「業務単位で発生するID」「作業内容」「タイムスタンプ」などの情報を揃える。 |
【STEP3】 問題点とその原因の発見 |
イベントログにより可視化された業務内容から、問題点や原因を見つけ出す。 プロセスマイニングツールを活用すると、総合性評価機能により標準的なプロセスから逸脱するプロセスを絞り込むことも可能。 |
【STEP4】 問題解決へのアクション実行・プロセス強化 |
問題解決のために、「不要な業務の削除」「ボトルネックの解消」「プロセスの組みなおし」「マニュアルの改訂」などのアクションを実行する。問題解決へのアクションに加え、プロセスの強化にも取り組むと良い。 |
【STEP5】 進捗状況のモニタリング |
改善した業務プロセスの定着度合いやパフォーマンスが向上したか、進捗状況のモニタリングを行う。 企業の組織体制や外部環境によって最適な業務プロセスは変化するため、モニタリングだけでなくフィードバック、そしてさらなる改善・展開を進めることも重要。 |
プロセスマイニングは、「データの収集と分析」「問題点の抽出」だけでなく、「評価」「改善策の実行」「モニタリング」までがセットです。それぞれの工程を確実に行うことで、業務の現状把握・効率化につながります。
なお、プロセスマイニングでは、業務データを分析する専用ツールの活用もおすすめです。ツールによって機能や特徴が異なるため、内容や導入コストを比較した上で選びましょう。
まとめ
ここまで、プロセスマイニングの概要から、導入による課題の解決例、導入プロセスまで解説しました。
<このコラムのPOINT>
- プロセスマイニングの主な用途は「現状把握」「業務監視」の2つである
- プロセスマイニングの導入により業務改善や効率化が期待できる
- プロセスマイニングによる課題解決には「改善策の実行」「モニタリング」も重要である
企業が抱える課題を解決し業務の効率化を進めるためには、プロセスマイニングの導入が効果的です。ただし、十分な効果を得るためには、改善に向けた取組や定期的なチェックが欠かせません。手間・時間・コストを省けるプロセスマイニングツールを活用しながら、効率よく業務改革を目指しましょう。
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