マネージング・アップとは?上司と賢く接して、仕事をしやすくする方法

仕事における人間関係の悩みの中でも、特に上司との関係性に頭を抱えている人は多いのではないでしょうか。上司と良好な関係が築ければ、仕事をスムーズで効率的に進められるようになり、ストレスなく働けるようになります。
そこで、働きやすい環境を構築するためのスキルとして、部下から上司に対してコミュニケーションをとり、積極的に自らアプローチする「マネージング・アップ」が注目されています。
本コラムでは、マネージング・アップの概要やどのようなメリットがあるのか、実践方法やNG行動などを詳しく解説していきます。本コラムを参考に、上司と良好な関係を築き、働きやすい環境を手にするきっかけにしてみてください。

このコラムを読んで分かること

  • マネージング・アップの概要
  • マネージング・アップにより得られる効果
  • マネージング・アップを正しく行うにはどうしらたよいか

【目次】

  • マネージング・アップとは?
  • マネージング・アップ 3つのメリット
  • マネージング・アップ 4つの実践方法
  • マネージング・アップ 3つのNGな働きかけ
  • まとめ

マネージング・アップとは?

仕事で発生する上司と部下のコミュニケーションにおいて、部下から率先して情報を共有すべきシーンは少なくありません。「マネージング・アップ(managing up)」とは、そのような部下から上司への積極的な働きかけを指します。
決して上司に媚を売ることではなく、上司の立場や性格、求められていることなどを理解した上で、部下から働きかけることにより、お互いが信頼できる良好な関係を目指します。

マネージング・アップの目的

マネージング・アップの目的は、上司との良好な関係を築き効率的に仕事を進めることです。上司と部下の人間関係は悩みのタネになりやすく、ストレスに感じる方も多くいます。
上司との関係性が悪いと、ミスやトラブルに繋がる可能性が高く、会社や組織にとってもマイナスになるでしょう。
マネージング・アップを身につけ、人間関係をうまくマネジメントできるようになれば、より働きやすい環境が整い、業務の効率化や成果を出しやすくなるなどのメリットが得られます。また、上司からの評価は会社からの評価に直結するため、将来のキャリアアップや収入にも影響をもたらすことが考えられます。

上司に媚びを売る行為との違い

冒頭でも解説したとおり、マネージング・アップと上司に媚びを売る行為は異なります。上司のご機嫌を伺いながら媚びを売る行為は、一時的に可愛がられるかもしれませんが、上司から仕事に関しての信頼を得ることができるかとは別です。むしろ、人によっては煙たがられてしまう場合もあります。また、同僚や周囲からも浮いた存在として認識されてしまう可能性も高いです。
一方、マネージング・アップは、上司と信頼し合える良好な関係を築くためのマネジメントスキルで、さまざまな人や職業に対して活用できます。嫌々下手に出て媚を売らずとも、マネージング・アップを実践すれば上司との良好な関係を築けます。

まずは上司のタイプを把握することが大切

マネージング・アップの第一歩として、まずは上司のタイプを把握しましょう。上司も一人の人間ですので、性格や考え方はそれぞれ異なります。
例えば、心配性な上司であれば部下の業務に干渉しやすい傾向にあり、大雑把な性格であれば仕事の指示が曖昧になりやすいなど、タイプによって部下への接し方が変わります。大切なのは上司を厳しい人や怖い人と決めつけるのではなく、タイプによって性格や考え方が違うことを理解し受け入れることです。上司のタイプが把握できれば、マネージング・アップで重要なコミュニケーションもとりやすくなり、上司のタイプによってベストなアプローチができるようになります。

上司の役割が何かを考える

マネージング・アップでは、上司の立場に立ってどのような役割を課せられているのかを考えることも大切です。上司も部下と同じように、それぞれの使命や役割を担っています。
例えば営業部門であれば、上司は部下を含めた営業チームでの合計契約数や成約数を求められるでしょう。技術部門であれば、製品やサービスの設計・開発における成果の質や、予算・納期を守ることなどが求められます。
上司が部下に成果を求めるのは、上司も会社から成果を求められているためです。上司の役割を考えて理解することで、部下に何を求めているかも理解しやすくなります。上司が求めていることに対していち早く行動できれば、上司からの信頼を得ることができ、良好な関係構築にも繋がります。

マネージング・アップ 3つのメリット

マネージング・アップのスキルを身に付けることで、どのようなメリットがあるのか解説していきます。

1.上司を理解できるようになり仕事がしやすくなる

上司のタイプや役割、使命を理解することで、自身の仕事がしやすくなるというメリットがあります。
例えば、急に業務を振られると、準備不足や焦りからミスが起きやすくなります。また、いつ何を言われるかわからない状況というのは精神的にも良くありません。しかし、いま何を求められているのか、どのくらいの頻度で報告すればいいのかなどを把握しておくだけで事前に準備がしやすくなり、ムダを省いて効率的に仕事を進められます。

2.対人関係のスキルが身に付く

上司と良好な関係を築けるようになれば、人間関係のマネジメントもできるようになるというメリットがあります。上司に限らず、同僚やあなたの部下、顧客などにも共通してマネージング・アップを活用できます。会社や組織に属していれば、少なからず人と接する機会はあります。マネージング・アップを身につけておけば、いかなる環境でも良い人間関係の構築に役立てられるでしょう。

3.仕事の優先順位や時間の使い方に干渉されなくなる

仕事の優先順位を自分で管理できるようになり、時間の使い方にも干渉されなくなるメリットがあります。上司と部下との間に信頼関係が築かれていない場合、上司が仕事の優先順位を指示したり、スケジュールを管理したりするケースがあります。自分で思うように進められないため、業務を効率的に取り組めない可能性がでてきます。しかし、上司との信頼関係が構築されていれば、過度な干渉はされなくなります。業務をどの順番で進めるのか、日々のスケジュールについても比較的自由に決めることができるようになるでしょう。

マネージング・アップ 4つの実践方法

ここではマネージング・アップの実践方法について解説していきます。

1.率先して情報を共有する

上司の立場からすると、任せているプロジェクトの進捗状況やクレームなどの問題は随時把握しておきたいものです。仕事をする上で、「報告・連絡・相談」は重要です。部下から上司に率先して情報を共有することで、上司の信頼を得られ良好な関係を構築できるようになるでしょう。
最近では、在宅勤務やテレワークの増加により、コミュニケーションを取る機会が減少しています。出社して対面する場合と比較すると、在宅勤務やテレワークの方がコミュニケーション不足になりやすいのは当然です。そこで、こうした状況でこそマネージング・アップが役立ちます。自ら上司に仕事の進捗やスケジュールを共有しておくことで、上司は部下の状況を把握できるようになるので信頼して仕事を任せてくれるようになるでしょう。

テレワーク時のコミュニケーション方法としては、主に以下が挙げられます。
・Web会議システム
・ビジネスチャット
・バーチャルオフィス
・グループウェア

メールなどの文面だけでやり取りするより、オンラインで顔を見ながら報告や相談する方が、お互いにコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。また、コミュニケーションをとる際には、1日のスケジュールやタスク管理、勤怠状況、悩み事など、業務に関係する内容をはじめ、雑談などを交えることも大切です。

2.上司が好む仕事のスタイルを探す

上司が好む仕事のスタイルを探し、それに合わせるのもマネージング・アップの方法のひとつです。
例えば、あらかじめ目標設定を明確にして計画的にプロジェクトを進めたい上司の場合、進捗状況を細かく把握します。その場合、日報などを活用して日々コミュニケーションをとることにより、お互いストレスなくスムーズに仕事が進められるでしょう。また、「報告・連絡・相談」の仕方についても、上司のスタイルに合わせるとより好ましいです。メールやチャットなどで反応してくれる人もいれば、できるだけ対面での会話や電話を好む人もいます。仕事の取り組み方だけでなく、コミュニケーションの方法についても、上司の好むスタイルに合わせることで衝突やトラブルを避け、より良い関係を築けます。

3.上司の成功は何かを考え行動する

上司は部下のマネジメントやチームでの成果を求められることが多く、それらを達成することで会社から評価を得ます。そのため、部下に対して注意したり、業務に対してのフィードバックをしたりと、厳しい上司としての姿を見せるのも仕事のひとつといえるでしょう。マネージング・アップでは、上司の立場や何が成功になるのかを理解して自ら行動することすることが非常に重要です。今何を求められているかを把握し、行動できるようになれば、自分自身の成長にも繋がるのです。

4.感謝の気持ちを伝える

マネージング・アップでは、感謝の気持ちを伝えることも大切です。叱ってくれる人や注意してくれる人でも、部下に嫌われたいと思っている上司はいないでしょう。上司と部下という立場を抜きにして、人と人との関係であるということを忘れないことが大切です。タイミングを見計らって、ひと言「いつもありがとうございます。」と感謝の気持ちを伝えるだけで、印象は大きく変わるでしょう。

マネージング・アップ 3つのNGな働きかけ

マネージング・アップを活用して上司と良い関係を築こうと取り組んだ結果、逆効果になってしまったという方も少なくありません。そういった方のなかには、気づかないうちにNGな言動をしている人もいます。最後に、マネージング・アップでのNGな働きかけについて紹介していきます。

1.上司より上に立とうとする行為

マネージング・アップを実践する上で、上司より上に立とうとする行為はNGです。上司からすれば、部下に指図されて気分が悪くなるのは当然です。関係は悪化するだけになってしまいます。もし上司の取り組みに不満や非効率的な部分があった場合には、質問や改善を提案してみるのが最適です。それでも変化がなかった場合は、別の上司などに相談すると良いでしょう。上司より上に立とうとする行為は、上司を監督しようと考えてしまった時、無意識にとってしまうことが多いため、自分の言動を客観視することが大切です。

2.自分を責めすぎないこと

上司との関係が上手くいかない、関係性に改善がみられない場合でも、自分を責めすぎないでください。前提として性格や考え方は人それぞれです。どうしても合う部分と合わない部分があるものと考えるのが大切です。仕事をする上で反省や改善は必要ですが、自分を責めすぎても良い結果は生まれません。自分を責めた結果、諦めて上司の言うことをすべて受け入れる必要はありません。仕事での人間関係に悩み、どうしようもなくなってしまった場合は、我慢や無理をせず、周囲の人に相談する、部署異動や転職を視野に入れるのもひとつの手段です。

3.上司の性格やスタイルを無視した言動

上司の性格やスタイルを無視した言動は、関係性の悪化につながります。このような行動は、上司に限らず多くの人にとって人間性を否定されていると感じるため、良好な関係を築くことに繋がりません。
マネージング・アップは上司を理解することから始まります。上司の性格やスタイルを把握し、それらに合わせてコミュニケーションをとり、行動することで良好な関係性を築けます。上司の性格やスタイルを尊重しつつ自分からアプローチすると、上司もあなたを理解してくれるようになります。

まとめ

ここまでマネージング・アップについて、概要やメリット、実践方法などについて解説してきました。本コラムのポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • マネージング・アップとは、上司との良好な関係を築くスキルで働きやすい環境を自ら作ること
  • 上司に媚びを売るのではなく、上司と部下がお互いに信頼し合える関係を目指す
  • マネージング・アップは上司を理解することからスタートする
  • 上司の性格やスタイルに合わせてアプローチすることが重要

働き方が多種多様になった現代でも、仕事において人との関わりは必ずあります。マネージング・アップを実践できれば対人関係の悩みも解消でき、どのような環境でも対応できるようになるでしょう。また、自分が上司になった際にも活きるスキルなので、ぜひ積極的に実践してみてください。

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