【事例付き】BPOとは?対象業務やメリットとデメリットも解説

本記事では、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)について、その概要からメリット・デメリット、活用が求められる背景、さらに具体的な導入事例までを解説します。
企業が成長を目指す上で重要なポイントとなるのが、自社のコア業務にリソースを集中させることです。
しかし、人手不足や業務の複雑化などの課題によって、現実にはノンコア業務が社内の大きな負担になっているケースがあります。
このような課題を解消するために、専門の外部業者に業務プロセスごと委託するBPOサービスが急速に認知度を高めています。受発注業務をはじめとした幅広い領域で導入が進むことで、コア業務への注力やコスト削減が期待できます。

【目次】

  1. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは
  2. BPOの対象業務
  3. BPOとアウトソーシング、BPRの違い
  4. 人手不足がもたらすBPO活用の必要性
  5. BPOのメリット
  6. BPOのデメリット
  7. BPOで生産性を上げた成功事例
  8. FAX受発注業務の効率化に向けて

このコラムを読んで分かること

このコラムでは、まずBPOの基本的な概念を整理し、その対象業務がどのようなものかを理解できます。経理や総務、人事などのバックオフィスに限らず、受発注業務やコールセンター等にも広がるBPOサービスの可能性を概観することで、企業内のノンコア業務を効率的に見直す糸口になるでしょう。

さらに、人手不足が深刻化する中でなぜBPOが注目されているのか、その背景とメリット・デメリットを具体的に解説します。導入に際しては、外部委託のデメリットやリスクを理解し、事前に対策を打つことが非常に大切になります。
最後に、実際の導入成功事例を通じて、どのようにコア業務へ注力しながら生産性を高めているかを確認できます。社内の課題は多岐にわたりますが、本コラムを通じて自社のオペレーション改革に向けた最初の一歩を踏み出していただければ幸いです。

1.BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは

BPOの定義と、アウトソーシングやBPRとの違いについて解説します。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業が自社の業務プロセスを外部の専門業者へ委託することを指します。通常のアウトソーシングよりも業務範囲が広く、単なる作業依頼ではなく、プロセス全体の設計や運用まで含めて外部に任せる点が特徴です。人手不足が続く中で、特にノンコア業務を中心に需要が高まっています。
BPOサービスが注目される背景には、業務効率化やコスト削減が求められるビジネス環境の変化があります。事務作業やデータ処理などのノンコア業務を外部に委託することで、企業は限られたリソースをコア業務へ集中的に振り向けられるようになります。

2.BPOの対象業務

BPOの対象となる業務は多岐にわたります。代表的なものとしては、経理や総務、人事といったバックオフィス部門の業務がありますが、それ以外にもコールセンターでの顧客対応、営業サポート、受注業務など幅広く展開可能です。特に定型化しやすいノンコア業務は、高い効率化効果を期待できます。
近年では企業のデジタル化が進み、IT関連のヘルプデスクやシステム運用を専門業者に委託するケースも増えています。こうした分野では、専門技術やノウハウが不足している企業にとって、BPOサービスは頼れるパートナーになり得る存在です。
一方、コア業務に直結する部分をどう切り分けるかが、導入検討時の大きなテーマになります。企業独自のノウハウが鍵となる業務は社内で保持しておく必要があるため、BPOの範囲を入念に見極めることが重要です。

3.BPOとアウトソーシング、BPRの違い

アウトソーシングは特定の業務や作業を外部へ委託する仕組みを指しますが、BPOは一連の業務プロセスそのものを外部へ依頼する点で包括性が高いといえます。人手不足の補完だけでなく、業務自体の効率化や品質向上を狙うのがBPOの大きな特徴です。
BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、企業が自社プロセスそのものを抜本的に再設計する手法です。BPRの場合、内部で業務改革を行うケースが多いのに対し、BPOは外部の知見を幅広く取り入れて改革を行う戦略ともいえます。
企業がBPOを導入する際には、単なる部分的なアウトソーシングではなく、中長期的な視点で業務フロー全体を見直す意識が求められます。コア業務とノンコア業務を明確に分け、どの部分を外部委託すべきかを戦略的に判断することで、最大の効果を得られるでしょう。

4.人手不足がもたらすBPO活用の必要性

少子高齢化や厳しい競争環境の中で、外部のリソースを活用する必要性が高まっています。
現在、多くの企業が深刻な人手不足に直面しています。新規採用の難しさや離職率の高さはもちろん、人員確保のためのコストも増大し続けており、経営に大きな負担がのしかかっています。
そうした状況下でBPOサービスの活用が注目されるのは、必要なリソースを柔軟に外部に求めることができるからです。繁忙期には受注業務を中心に外部へ委託量を増やし、閑散期には委託範囲を調整するなど、コストを変動費化する運用が可能となります。
これにより、企業はコア業務を担う社員に集中投資ができ、組織全体の生産性向上につなげることができます。特に急速に変化する市場に対応するためには、社内リソースの柔軟な再配置が欠かせません。

5.BPOのメリット

BPO導入によって得られる主なメリットを3 つに分けて解説します。
企業がBPOを導入する一番の利点はセカンドオピニオンや専門知識をスムーズに活用できる点です。
特定領域で専門性を持つ外部パートナーに業務を委託することで、業務品質の向上が期待できます。
さらに、コア業務への時間とコストを集中的に振り向けられることで、新たなビジネスチャンスを創出しやすくなる点も見逃せません。人手不足に悩む企業にとって、限られた社内リソースを最大限に活用できるメリットは非常に大きいといえます。
以下では、特に注目すべきメリットを3つに整理し、それぞれの具体的な利点を明らかにします。

(1)コア業務に集中できる

企業の成長を支えるアイデアや戦略を生み出すためには、コア業務に多くの時間と人材を投じることが欠かせません。営業戦略の立案や新製品の開発といった本質的な業務に経営リソースを集中することで、イノベーションの速度も高まります。
一方でノンコア業務を内製化し続ける場合、日々のルーチンに追われて本来重視すべき仕事に手が回らないリスクが生じます。そこでBPOサービスを導入すれば、外部に任せても問題ない部分を切り離し、コア業務の価値を高めることが可能となるのです。
人手不足に悩む場合でも、専門業者のリソースを活用することで、社員のモチベーションや生産性を維持しながら事業展開を進められます。結果的に、組織全体でさらなる成果を生み出すスペースが生まれるでしょう。

(2)人件費を削減できる

BPOを利用することで、従来は固定費として計上されていた人件費を一部変動費化することができます。常にフルタイムの人員を抱える必要がないため、受注業務など季節や景気によって変動する業務量にも柔軟に対応できます。
また、人材採用や育成、離職時のリスクといったコスト面での課題を軽減できるのも大きなメリットです。特に専門性の高いノンコア業務においては、外部のプロフェッショナルを活用したほうがトータルコストを抑えられるケースも多々あります。
こうした仕組みを取り入れることで、浮いた人件費をコア業務に再投資できるため、効率的かつ戦略的な経営判断が可能となります。

(3)業務を効率化でき品質を向上できる

BPOサービスを提供している企業は、その分野に特化したノウハウや技術を有している場合が多いです。彼らの専門性が加わることで、業務の標準化や自動化が進み、結果として作業のスピードや正確性が高まります。
さらに、外部業者間の競合によりサービス品質を切磋琢磨する風土もあり、継続的な品質向上が期待できる点は大きな魅力です。自身では気づかなかったプロセス改善の提案を受けることもあり、一層の効率化が見込めます。
このように、プロフェッショナルの知見を取り入れることで、企業の生産性向上と高品質なサービス提供を同時に実現できるのがBPOの強みといえます。

6.BPOのデメリット

BPO導入にはリスクや課題も存在するため、あらかじめ留意が必要です。
メリットが多いBPOですが、外部に業務を委託するからこその懸念点やデメリットも存在します。情報管理やノウハウの蓄積面では、十分な対策を講じないと企業の競争力低下や信頼損失につながる可能性があります。
そこで、以下では主なデメリットを2つに整理して解説します。事前にこれらのリスクを認識し、適切なマネジメントを行うことが欠かせません。

(1)情報漏えいの危険がある

BPOの導入では、機密情報を含むデータを外部企業に提供する必要が生じます。万が一セキュリティ対策が不十分なまま委託を進めると、不正アクセスや情報流出といった重大なリスクに直面する可能性があります。
特に受注業務など顧客情報を扱う部門の場合、信頼確保の観点からセキュリティレベルの高さを十分に検討する必要があります。委託先が政府や業界のセキュリティ基準を順守しているかを事前にしっかり確認しましょう。
導入後も定期的に監査やセキュリティテストを実施し、万全の体制を整えておくことが企業の責任といえます。

(2)ノウハウの蓄積が難しい

BPOを活用すると、業務を専門企業に任せてしまうため、社内には日々のオペレーション上の知見やノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。特に、将来的に自社の強みとしたい分野を外部に完全に委託してしまうと、独自性を育むチャンスを逃す可能性があります。
また、BPO化した業務の細かな状況を把握しきれず、社内の担当者がプロセス全体の流れを把握しづらくなることも考えられます。これによって、現場感覚と経営判断のミスマッチが発生する事例もあります。
解決策としては、定期的なコミュニケーションやレポートの共有体制を整え、必要な情報は社内に還元できる仕組みを作ることが挙げられます。

7.BPOで生産性を上げた成功事例

実際にBPOを活用して成果を上げた企業の事例を紹介します。

「業務量の増加」と「繁閑の差」をBPOで解消したOA機器業界A社

OA機器製造を行うA社では、新製品のヒットに伴い受注業務が急増しました。その結果、繁忙期の一時的なスタッフ増員では対応しきれず、人手不足によって顧客対応のスピードが落ちてしまうという問題を抱えていました。
そこでA社では、ピークタイムの業務をBPOサービスに委託することで、柔軟な人員配置が可能となりました。これにより、社内スタッフはコア業務である製品開発や顧客フォローアップに注力し、ビジネス全体のスピード感を保つことができました。
最終的には、顧客満足度の向上とコア業務のクオリティ強化の両立に成功し、売上全体の底上げにつながったといいます。

コア業務とノンコア業務の仕分けや効率化を実現した医薬品業界B社

医薬品の研究開発を専門とするB社では、開発プロジェクトが増える一方で、バックオフィスや営業支援部門の作業負荷が慢性的に高い状態でした。特に資料作成や各種データ入力など、ノンコア業務が社員の時間を圧迫していたのです。
そこでB社は、まず徹底的な業務可視化を行い、コア業務とノンコア業務を精査しました。その結果、定型的な業務の多くをBPOサービスに移管。外部の専門チームが担当することで、常に高い品質の業務遂行が確保されたといいます。
社員はコア業務に集中できる環境を得て、研究開発のスピードと成果が向上しました。大幅な時間創出とコスト削減が実現し、新薬開発にかけるリソースを増やすことに成功したのです。

8. FAX受発注業務の効率化に向けて

もし、FAX受注業務でのOCR導入を検討している場合には、当社の「MELFOS」をご検討ください。
OCR技術をベースとしつつ、FAX業務にも特化した製品として、FAXを受け取るために出社しないと業務ができない、といった FAX関連業務によくあるお悩みも解決できます。

MELFOSとは何か?

MELFOSは、FAXで受信される注文書・申込書などを自動で OCR処理し、業務デジタル化を支援するシステムです。AI OCR対応、クラウド対応、24時間サポート体制といった強みを備えています。
MELFOSは「FAX受注のDX化」を目的とし、FAX → OCR → 自動仕分け → システム連携までをワンストップで支援できる仕組みを提供します。
FAXなどの紙ベースの帳票を取り扱う現場においては、OCRによる電子化と自動入力が大きな効果をもたらします。作業時間の短縮はもちろん、ヒューマンエラーの削減やコストダウンにもつながり、業務全体を飛躍的に効率化できるでしょう。
今後は AI OCRとBPOを一体化させるソリューションもますます進化していくと考えられます。企業はこれらの技術を上手に取り入れ、FAXの受発注処理や帳票読取りを含む多様な業務を効率化し、さらなる競争力を獲得していくことが期待されます。

まとめ

BPOは、外部リソースを上手に取り入れることで、人手不足やコスト増といった課題を解消しつつコア業務へ集中できる数少ない有効策の一つといえます。他方で、情報漏えいやノウハウの社内蓄積といったデメリットも見逃せません。
だからこそ、導入前に業務範囲や委託先の選定、セキュリティ対策をしっかり検討することが大切です。
短期的なコストダウンだけでなく、中長期的に企業の成長に貢献する視点でBPOを活用することが成功の鍵となります。

<このコラムのPOINT>

BPOはコア業務への集中やコスト削減に大きく寄与する一方、ノンコア業務を委託する際にはリスク管理や社内ノウハウの保持が課題となります。委託範囲を明確にし、選定基準を厳格に定め、情報セキュリティや契約内容を十分に検討することが不可欠です。
人手不足への対応策としても注目されるBPOですが、最終的に目指すべきは企業の付加価値向上です。コア業務を磨き、ノンコア業務をプロに任せる仕組みによって、組織全体の生産性を飛躍させる道筋を描きましょう。

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