倉庫管理はなぜ必要? 倉庫管理システムを導入するメリットを解説
倉庫内の入出庫や在庫管理を主な業務とする「倉庫管理」は、物流の効率化に大きく影響します。
倉庫管理の徹底は誤出荷や出荷遅れを防ぐとともに、サービス品質を保ちます。日頃から適切に倉庫管理を進めるには、正確かつスピーディな対応が可能な倉庫管理システムの導入が効果的です。
本コラムでは倉庫管理の目的や効率化を実現するポイント、倉庫管理システムを導入するメリットについて解説します。
【目次】
- 倉庫管理とは
- 倉庫管理の課題と必要性
- 倉庫管理システムの具体的な機能
- 倉庫管理システムを利用する4つのメリット
- まとめ
倉庫管理とは
「倉庫管理」は、製品や商品の入庫作業・仕分け(ピッキング)・保管・出荷準備など、倉庫内のあらゆる業務をマネジメントする物流管理の一環です。資材や設備の管理はもちろん、人員配備も倉庫管理に含まれます。
企業が製品や商品を保管する倉庫は、効率的な運用・管理が求められるため、一連のプロセスを組織的に実行する必要があります。
出荷遅れや誤出荷といったミスの防止、コスト削減や業務効率化の実現から、サービス品質を維持・向上することが倉庫管理の目的です。
在庫管理との違い
「倉庫管理」と「在庫管理」は機能として重複する部分があり、混同されやすい業務ですが、管理対象や目的が異なります。
倉庫管理は倉庫内における在庫情報の管理が主な業務であり、在庫管理は倉庫外の在庫データも含めて全体的に管理します。製品・商品や資材の在庫数を正確に把握して余剰在庫や機会損失を減らし、利益を最大化すべく発注量や発注のタイミングを管理することが目的です。
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倉庫管理の課題と必要性
従来の倉庫管理は、倉庫内の物品数や種類が多ければ多いほど人手を要し、スタッフが一つひとつパソコンに数を入力するアナログな方法で管理していました。手動による倉庫管理は無駄が多く、属人的でミスが発生しやすい方法といえます。
例えば、商品を棚に収納する際に人が帳票を確認して作業する場合には、さまざまなリスクが想定されます。帳票番号を見間違えたり、個数を誤って置いてしまったりと、実状とのズレが生じるリスクを常に想定しなければなりません。
もし、食品や医薬品といった使用期限のある製品や商品を保管する際にラベルの確認ミスが起きてしまえば適切な管理がされず、期限切れによる大量の廃棄・損失が生じかねません。
ここからは、従来の倉庫管理において想定される課題をいくつかご紹介します。
ロケーション管理がピッキングに影響
倉庫内に配置されている在庫品の具体的な位置情報を管理する「ロケーション管理」機能は、倉庫管理において非常に重要な要素です。
人手によるロケーション管理は、本来あるべき場所に指定した商品が置かれていないなどのミスが起こりやすく、データと実状のズレが生じる原因となります。
ロケーション管理が不正確でデータどおりに品物が置かれていなければ、ピッキング作業時に要求された品物を取り出せません。
また、ズレが生じるたびに手動で修正するため、迅速に作業を進められず、コストが増加します。
倉庫の状況把握は会計にも影響
製品待ちの部品類も含め、倉庫内の在庫状況を正確に把握するためには、棚卸作業の正確さ・迅速さを常に維持することが重要です。しかし、棚卸作業が不十分の場合、実際の在庫状況と帳簿上の在庫との差異が生じてしまいます。
こうした状況下では適切な月次決算が困難となり、年次決算時の申告漏れにつながります。税務申告における在庫評価の誤りは税額計算のミスに直結するため、税務上のトラブルや罰金リスクを避けるためにも注意が必要です。
適正数での発注に欠かせない
もし、システム上と実際の在庫数に差異が生じている場合は、材料不足による生産ラインの停滞や納期遅れに発展する可能性があります。
また、在庫過剰による発注コストの増加も深刻な問題です。倉庫の在庫状況が正確に把握できていなければ、緊急の材料発注も増え、コストはさらに膨らみます。
取引業者にもイレギュラーな発注を繰り返す要因となり、信頼関係の構築や生産計画の遵守が困難になるリスクも考えられるでしょう。正確な在庫数の把握は、日々の適正な発注を実現するために欠かせません。
倉庫管理システムの具体的な機能
「WMS(Warehouse Management System)」とも呼ばれる倉庫管理システムは、倉庫内の在庫管理や物流業務を効率的に行うために、製造業、小売・卸業、通販など幅広い業種で導入されています。
倉庫管理システムを導入することで、リアルタイムでの倉庫管理が可能になり、業務効率化やミスの防止といったさまざまなメリットにつながります。また、経営層が迅速に状況を把握するうえでも、非常に役立つツールです。
ここからは、倉庫管理システムの各機能についてご紹介します。
入荷管理
商品や資材が倉庫に到着する際に、入荷日時や数量、仕入先、商品状態といった情報をまとめて管理します。商品の識別・追跡に使用されるロット番号、シリアル番号はもちろん、医薬品などの使用期限なども管理対象です。
出荷管理
商品の出荷手配・情報管理を効率的に行う機能です。顧客からの受注情報や出荷に関する出荷日、数量、配送先といった出荷にかかわる情報を管理します。
システムでは、ピッキング指示や実際の在庫引き当てなど、出荷完了までのあらゆる作業を一括して管理可能です。
製造業においては、販売管理や生産管理、会計といった基幹システムと連携して運用する場合もあります。
入庫・出庫管理
倉庫管理では「モノを入れる」「モノを出す」といった入出庫業務が、最も人的ミスが発生しやすいといえます。
倉庫管理システムでは、ハンディターミナルを使用することで、倉庫から取り出す製品や商品の数量をその場で入力し、正確かつ適切な倉庫管理が可能です。
また、倉庫からの出荷時以外にも、製造に必要な部品を取り出す場面でもシステムを活用できます。出庫後、直ちに出荷に至らない場合にも対応するなど、倉庫管理システムにはあらゆる状況を想定した管理機能が備わっています。
在庫管理
倉庫内の商品や資材の在庫情報を追跡・管理する機能です。収納場所や保管方法といった「ロケーション管理」をはじめ、数量や使用期限など、在庫にかかわる情報を適切に管理します。
棚卸管理
定期的に倉庫内在庫を確認し、データベース上の数値と実在庫の整合性をとる機能です。正しく棚卸管理を行うことで、在庫の欠損や誤情報を特定・修正し、在庫の正確性を維持します。
帳票・ラベル発行機能
入荷伝票や出荷伝票、ラベルなど、倉庫内のあらゆるアクティビティに関する書類を自動で発行する機能です。
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倉庫管理システムを利用する4つのメリット
ここからは、倉庫管理システムを利用するメリットをご紹介します。
【メリット①】リアルタイムで情報を管理できる
倉庫管理システムの導入により、担当者は部品数や部品の入庫・検品情報、出荷情報などをリアルタイムで確認・管理できます。
突発的な注文や、製造現場における予定外の部品ロスなど、急に発生する情報も即座に反映。過剰在庫や在庫不足による製造・出荷遅れのリスクを低減可能です。
【メリット②】倉庫のスペースを効率的に利用できる
倉庫管理システムのロケーション管理機能を活用することで、倉庫内のスペースを効率的に利用可能です。
ロケーション管理には、特定の商品・資材に対して固定された収納場所を割り当てる「固定ロケーション」、自由に空きスペースを活用する「フリーロケーション」の2種類があります。
双方を適切に組み合わせることで、限られたスペースをより効率的に使用可能です。また、商品の保管場所をシステムで「見える化」することにより、ミス防止や保管効率の改善につながります。
【メリット③】業務効率化を推進できる
入出荷時の商品保管場所をシステムから指示することで、確認作業などにかかる多くの工数を削減可能です。また、これまで手動で行っていた各種帳票やラベルも自動で発行できます。
【メリット④】DX推進にも力を発揮する
倉庫管理システムの導入は、昨今経営課題としてクローズアップされる「DX推進」にも力を発揮します。
ハンディターミナルを使用した検品
バーコードやQRコードをハンディターミナルによって読み込むことで、正確な数値を即座にシステムへ反映可能です。また、作業の指示や在庫状況をデジタル表示で確認できるため、人的ミスの軽減にもつながります。
ICタグによる管理
ICタグには、無線通信によってデータを読み書きするRFID(Radio Frequency Identification)技術が使用されており、状況に応じて上位システムへの連携に役立てられます。
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このほかにも、倉庫管理システムでは、倉庫内のデータ分析に使用されるレポートの発行など、人の手で行っていたあらゆる作業を自動化することが可能です。
限られたリソースの最適化や業務プロセスの改善は、DX本来の目的である「新規ビジネスの創出」や「自社の強みを発見し活用した企業優位性の向上」といった企業間の競争力を高め、経営戦略に大きな効果をもたらします。
まとめ
AmazonなどECサイトの利用が加速し、物流・製造業など倉庫を持つさまざまな業種で高度な倉庫管理が求められています。
倉庫管理システムの導入は、倉庫内の状況をリアルタイムに把握できることはもちろん、業務を一元管理することで業務効率化をもたらします。また、経営層へスピーディかつ正確に状況報告ができることも大きなメリットです。
倉庫内の業務効率にお悩みの方は本記事をご参考のうえ、入出荷・検品・棚卸作業・在庫管理などの物流・倉庫業務を標準化し、ロス削減をサポートする「HYPERSOL WMS 倉庫管理システム」など、自社に適した倉庫管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
森野 真
製造業・技術系ライター
国立高専機械工学科を卒業後、大手工作機械メーカーにて機械設計を担当。その後、電子機器を扱う町工場にて生産管理をはじめ幅広い業務に従事。現在は15年にわたる製造業での実務経験を活かし、製造業専門の技術系ライターとして活動中。現場を知る人間ならではの執筆を得意としている。
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