社会保険(健康保険・厚生年金保険)資格喪失届の提出方法[まとめ]
社会保険の手続について、人事・労務の担当者であれば、これまでの経験や社内マニュアルに従って進めている方が多いかもしれません。しかし、日頃から行っている業務だからこそ、たまに「自分が進めている手続方法は間違っていないだろうか?」と思うことはないでしょうか。
このコラムでは、今まであまり業務に携わったことがない方はもちろん、既に業務に携わっている方の「おさらい」にもなるよう、社会保険(健康保険・厚生年金保険)資格喪失届の提出方法について、改めてご紹介します。
社会保険の資格喪失届とは
社会保険の資格喪失届とは、企業に勤める従業員が退職または死亡等により「健康保険」と「厚生年金保険」の資格を喪失した際に提出が必要となる書類を指します。一般的には「資格喪失届」と呼ばれているため、この名称で定着していますが、正式な名称は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」です。
従業員が退職した場合、すみやかに資格喪失届を日本年金機構へ提出する必要があります。なぜなら、退職により、将来支給される年金、健康保険料の負担額、加入する保険者(任意継続への変更や国民健康保険への切り替えなど)に変化が生じるからです。
資格喪失届の提出期限は、解雇・退職・死亡等から5日以内とされています。もし、提出が遅れてしまうと、例えば従業員の退職理由が転職だった場合、転職先での健康保険証の交付が遅れてしまいます。その結果、退職した従業員と転職先の企業に迷惑をかけてしまうことになります。
提出にあたり必要な書類
ここからは、資格喪失届を提出する際に必要な書類を確認しましょう。
まずは、日本年金機構のホームページから『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届』をダウンロードし、以下の項目を記入します。
届け出をスムーズに受理してもらうためにも、記入した内容に間違いや漏れが無いか、チェックすることをおすすめします。
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次に、添付書類についても間違いや漏れが無いかチェックしてください。
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また、従業員の雇用状況によっては提出する書類が異なる点にも注意が必要です。例えば、定年退職した従業員をその日のうちに再雇用する際(60歳で退職後の継続再雇用)は、以下の書類を揃えなければなりません。
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なお、今回の内容とは若干異なりますが、上記のような場合は同時に同日付の資格取得届の提出も必要になります。こちらも忘れずに作成しましょう。
従業員の雇用状況や企業が加入している保険者によって、必要な書類は異なってくるため、どんな書類の提出が必要になるのか、遅滞なく手続きを進めるためにも事前に把握しておくことをおすすめします。
資格喪失届の提出の流れ
次に資格喪失届を提出する流れを確認しておきましょう。
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前述の通り、ここまでの流れはすべて従業員が退職してから5日以内に行う必要があります。保険証の回収が難しい場合には、「健康保険被保険者回収不能届」を別途作成したうえで、資格喪失届に添付しなければなりません。そのため、事前に保険証を紛失していないか、被扶養者分を含めた全ての提出が可能であるかを確認しておくと良いでしょう。なお、自社が組合管掌健康保険(健康保険組合)に加入しているなら、保険証は健康保険組合に提出します。
資格喪失届提出後の社会保険料の控除について
退職した従業員にかかる社会保険料については、資格喪失日が属している月の保険料は徴収されず、その前月分までの保険料が徴収対象となります。しかし、同月であっても退職日によって徴収される対象が異なります。
- 3月15日に退職した従業員の場合→3月16日が資格喪失日となり、2月分の保険料までを徴収する
- 3月31日に退職した従業員の場合→4月1日が資格喪失日となり、3月分の保険料までを徴収する
例えば、退職日が3月31日で、かつ退職した翌月(4月)に給与の支払いがない場合、退職月である3月分の社会保険料は3月分の給与から控除しましょう。
~ちょこっとメモ:従業員が70歳になった場合~ 平成31年4月に厚生年金保険法施行規則が一部改正され、事業主等の事務負担軽減を図るために「厚生年金保険被保険者資格喪失届 70歳以上被用者該当届(70歳到達届)」の提出が不要(届出省略)となりました。しかし、一部の条件に該当する場合は、これまで同様に提出が必要です。詳しくは、日本年金機構サイトのリーフレット「70歳到達時の被保険者等の届出が一部省略となります」をご一読ください。 |
まとめ
資格喪失届の提出は、慣れるとルーチン化できる業務ではあります。しかし、「従業員が退職してから5日以内の提出」という期限があり、退職する従業員の社会保険料が正しく算出され、保証を受けられるようにするためにも、提出業務を迅速かつ効率的に行える体制を整えましょう。また、必要な手続きについて説明した資料などを用意し退職する従業員に渡しておくと、漏れもなく期限までに手続きが完了できるでしょう。
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