「工数管理」。意外と知らないビジネス用語を徹底解説
テレワークの普及により、柔軟な働き方ができるようになったなどのメリットを得られた一方で、従業員の業務進捗状況を可視化する難しさを感じている経営者や管理者も多いのではないでしょうか。そのような背景もあり、企業において「工数管理」が今まで以上に重要視されるようになりました。
工数管理は、プロジェクト達成までの所要時間を把握し、進行を円滑にさせ、コスト最適化による売上向上および利益確保において重要な役割を果たします。
そこで本コラムでは、工数管理の本来の意味や役割はもちろん、工数管理の活用事例についても詳しく解説します。
現在取り組まれている工数管理に課題を抱えている企業のご担当者、テレワークを導入して本格的な工数管理を行いたいとお考えの企業ご担当者の方は、ぜひ本コラムを参考にしてみてください。
このコラムを読んで分かること
- 工数管理を行う3つのメリット
- 工数管理の活用で失敗しないための2つの注意点
- 業種別にみる工数管理で押さえるべきポイント
【目次】
- 工数管理とは?活用するメリット
- 工数管理の重要性と注意点
- 工数管理の活用事例と成功させる方法
- 工数管理に効果的なツール
- まとめ
工数管理とは?活用するメリット
まず「工数」という言葉の意味をご説明しましょう。
工数とは、「ある作業が完了するまでに必要な時間と人数」のことです。ある作業が完了するまでに必要な業務量を「○人月(にんげつ)」や「○人日(にんにち)」といった単位で表します。
そして、ある作業が完了するまでに必要な時間と人数を管理することを「工数管理」と言います。
進捗状況の管理だけでなく、プロジェクトに必要な人員・時間を算出する際にも用います。
例えば、ある作業を完了するために4名体制で2ヶ月間要したとしましょう。この場合、この作業の工数は、以下の通りとなります。
4名 × 2ヶ月 = 8人月 (8人で作業すれば1ヶ月で完了する) |
工数管理という言葉は、プログラム制作などを行うIT業界や製造業でよく使われていました。現在は、様々な業界でも使われています。
ここからは、ビジネスの現場で工数管理を行う3つのメリットについて解説します。
メリット1:プロジェクト・作業の進捗管理に役立つ
工数管理を行うことで作業の進捗具合と照らし合わせ、当初想定していたスケジュールよりも順調に進んでいるのか、あるいは遅れているのかを判断できます。また、作業を担当している従業員それぞれの作業効率や進捗状況を把握することで、特定の人に負担がかかっているなどを知ることもできるでしょう。
早期段階で進捗の遅れを把握できれば、適切な対処をとることで作業の遅れをカバーできます。
メリット2:業務生産性の可視化に役立つ
部門ごと、個人ごとに工数管理を行うことによって、それぞれの生産性を可視化することにもつなげられます。効率が悪く生産性が低いボトルネックを発見できれば、原因を究明し業務改善に向けた対策を講じることもできるでしょう。
メリット3:見積の精度が上がる、不採算プロジェクトの早期発見に役立つ
プロジェクトや作業を行うにあたって、過去に類似したプロジェクトや作業の工数がわかれば、見積金額を算出する際の有益な参考データになるでしょう。見積の精度を高めることもできますし、利益確保できるのかを正確に把握できるようになります。
また、進行中のプロジェクトにおいても、万が一不採算となっているものがあれば早期発見につなげることもできるでしょう。
工数管理の重要性と注意点
工数管理は決して現場だけで求められるものではなく、企業の経営的な視点から見ても重要です。ここでは工数管理の重要性を紹介するとともに、工数管理を行う上での注意点もあわせて紹介します。
工数管理の重要性
工数管理を行う真の目的は、企業として利益が出ているかを確認することです。
大きな企業であればあるほど、多くのプロジェクトが動いています。企業全体として利益を上げていたとしても、1つ1つのプロジェクトを見た場合に黒字となったプロジェクトもあれば、赤字になってしまったプロジェクトがあるかもしれません。また、単価1,000円のAという製品を1つ作るのに、それ以上のコストがかかってしまっていたとしたらどうでしょう。
収益を改善し利益を生むためには、作業毎やプロジェクト単位で収益を把握し、問題がないかをウォッチし改善していくことが重要です。そのためにも、工数管理が重要になります。
また、工数管理を実施することで、各プロジェクトに何人が、それぞれ何時間ずつ関わったのか把握することができ、プロジェクトの収益性を把握できます。このように、工数管理は単なるプロジェクト進行だけでなく、経営の面からも有効です。
さらに、従業員が自社に対してどの程度貢献できているのか、成果を可視化しモチベーションを向上させるためにも、工数管理は重要な役割を果たします。
工数管理の注意点
工数管理において注意すべきポイントとしては、主に以下の2点が挙げられます。
注意点1:工数管理そのものを目的にしない
「工数をチェックすること自体が目的となり、その後の業務改善に活かしきれていない」ということが、ままあります。計画していた工数から乖離しているという事実を指摘して終わるのではなく、それを受けて何をどのように改善しなければならないのかを考えることが工数管理の本来の目的です。
当該部署やチームに所属している担当者にヒアリングしたり、業務改善の方法を関係者で話し合う場を設けたりするなど、何らかのアクションを起こすことを心がけましょう。
注意点2:工数管理にリソースをかけすぎない
正確な工数管理を心がけるあまり、管理する工程が細分化し、工数管理自体に多くのリソースが割かれてしまうこともあります。
例えば、製品の梱包から発送までを行っている担当者や部署に、各自で所定のテンプレートに工数を入力してもらう運用を行っていたとします。このとき、梱包する製品ごとに入力項目が分かれていると、入力作業だけで多くのリソースが割かれてしまい、「工数管理を導入したがために業務の効率が落ちてしまった」という結果にもなりかねません。
このような事態を防ぐためにも、工数管理で記録する工程は細分化しすぎず、担当者が簡単に入力できるフォーマットやシステムを用意しておくなどの工夫が求められます。
工数管理の活用事例と成功させる方法
ひと口に工数管理といっても、業種によって最適な管理方法や考え方は異なります。そこで、まずは製造業をはじめとした業種別に工数管理の活用事例を紹介しましょう。
製造業のケース
製造業の場合、毎日同じ製品を作り続ける場合もあれば、日によって生産ラインを変更し異なる製品を作る場合もあるでしょう。また、時期によっては生産ラインをフル稼働させなければならない場合もあれば、半分程度の稼働でも間に合う場合もあります。
そこで、各従業員の工数を把握しておくことがポイントとなります。
各従業員の工数データがあれば、何人の従業員が何時間作業すれば、どれくらいの生産が見込めるかが把握できるようになります。計画的かつ効率的な生産管理を行うためにも、工数管理は重要なのです。
また、工数管理を行うことで生産性が低い作業を洗い出すことができます。ボトルネックの発見は生産性向上のチャンスです。よりよい作業体制や作業工程に改善することで、効率的な生産が見込めるでしょう。
ソフトウエア開発のケース
ソフトウエア開発においては、プロジェクト完遂までに必要な人員を割り出すことや、必要な期間を算出する際に、工数管理を用います。当然ながら、プロジェクト担当者毎に必要となる工数も、担当者の単価(人件費)も異なります。スケジュールやコストを算出し、利益が見込めるのかを把握できなければプロジェクトが成功したとは言えないため、最初の計画が重要です。
プロジェクトが進行したら、予定通りのスケジュールで工数も守られているかを確認しましょう。当初予定していた工数で収まらないといったトラブルは、少なからず発生します。しかし、計画からずれていることを早めに把握できれば、フォローすることが可能です。
また、工数管理のデータを貯めていくことで、「この作業は工数が予定よりもかかりやすい」といった、ボトルネックの把握が可能となります。このようなデータは企業にとって大きな財産になるでしょう。
工数管理に効果的なツール
工数管理は、工程ごとに記録しておく必要があるため、現場で働く従業員にとっては手間がかかります。そのため、できる限り簡単かつ効率的に記録できる仕組みにしておくことをおすすめします。工数管理を継続していくためには、ツールの活用がおすすめです。ツールを活用するメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
- シンプルなユーザーインターフェースで操作が簡単
- 工数の集計が簡単で管理しやすい
- モバイル端末での工数管理も可能
- 勤怠管理システムとしても併用可能
工数管理に役立つツールの多くは、クラウドシステムとして提供されているため、PCのブラウザーはもちろんスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からも登録が可能です。また、登録した工数の集計も自動的に行ってくれるため、管理者にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した工数管理の詳細について、あらためて振り返ってみましょう。
<このコラムのPOINT>
- 工数管理はコスト・生産性の把握やプロジェクトの進捗管理に役立つ
- 工数管理そのものが目的ではなく、重要なのはその後の改善に活かすこと
- 工数管理にはツールの活用が効果的
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